• HOME
  • 2007年 第2回大会
  • 決勝レポート

2th contest 2007年 第2回大会

「子どもたちの目が輝く給食のために」と選手宣誓

11月4日午前9時45分から開会式。辻村哲夫実行委員長の挨拶の後、 関東ブロック代表の千葉県匝瑳(そうさ)市野栄(のさか)学校給食センターの秋山真理子さんが力強く選手宣誓を行った。

「わたしたちは、郷土の食材を活かした安全で、おいしく、楽しい、学校給食を調理するプロフェッショナル精神にのっとり、子どもたちが、目を輝かせて、喜ぶ、学校給食を作ることを誓います」。初めての体験だが、堂々としている。

24人の選手は、白のキャップに白の上下と、いつもの調理スタイル。上気した顔が見える。会場の空気が引き締まった。

いつものように、焦らず急げ!

「調理開始!」-。辻村委員長の声で一斉に調理が始まった。2人一組の各チームは、自分の調理台で念入りに手を洗う。基本をおろそかにはしない。もう審査は始まっているのだ。

食材を切る、鍋を準備する、調味料を混ぜる。コンビの技の見せ所だ。「そっちはいい?」「OK」。「ニンジン大丈夫?」「はいっ」。あちこちで、声が飛び交う。役割分担をしっかり決めてきたチームもいる。黙々とやるべきことを進める。これも作戦だ。全体に静かだ。

誰の手も止まってはいない。タンタンタンタン。リズミカルな包丁の音が聞こえる。速い、速い。スローモーションででも見ないと、動きがよく分からない。無駄がない。いつものように、焦らず急げ。

取材の記者が、カメラマンが、TVカメラが追う。レンジの熱が狭い調理場に広がる。熱い。選手の顔に汗がにじむ。もう緊張はしていない。真剣なだけだ。一心に作り続ける。

おっ、いきなりメロンを切った。甘い香りだ。こっちでは見たこともない赤いこんにゃくが三角に切られた。小松菜が練りこまれたナンの生地ができた。きれいなエメラルドグリーンだ。

調理台の上には、切られた野菜が並ぶ。緑、赤、黄色。鮮やかな色だ。地元の大地の恵み。生産者の愛情が詰まっている。使い慣れた包丁が、野菜の芸術品を刻む。

30分経過。煮物が始まる。ぷーんと美味しそうな匂いが広がる。ピッチが上がる。片手で鍋の中をかき混ぜながら、もう1本の手は天ぷらの準備。ただ自分たちのメニューの完成に向けて、体が動く。

焼き物、揚げ物、鍋の中、とにかくよく温度を測る。温度管理は熱がきちんと通ったかの第一歩。安全・安心な給食の鉄則だ。ごはんに一工夫を加える。具をまぜ、うちわで扇ぐ。

50分経過。速いチームは完成に近づいた。昨年は時間切れのチームが出たこともあって、みんな時間に敏感だ。「あと何分?」目の前の時計に目が行く。盛り付けが始まる。見る見るうちに器に盛り込まれていく。見た目の美しさは和の食の極み。あだやおろそかにはできない。

4分前。一番乗りのチームが完成した。他のチームも完成直前だ。5人分の料理がそれぞれの調理台の上に並ぶ。「終わりました」。全チームが時間内にでき上がった。みんなホッとした様子。終わった。終わったのだ。後は審査を待つだけだ。