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16th contest第16回大会について

食育授業コンテスト

21人で競い合った食の学びの集約授業

  • キッコーマン食育授業最優秀賞は食育発祥の地・福井県の櫻川朗江・栄養教諭に授与

    食育授業コンテストの最優秀賞であるキッコーマン食育授業最優秀賞は、福井県立南越特別支援学校の櫻川朗江栄養教諭が受賞しました。櫻川先生の授業は、特別支援学校の子どもたちに向かって分かりやすく興味を引き付ける授業を展開し、審査委員会の全会一致で最優秀賞に推挙されました。
    会場には、地元のマスコットキャラクターたちも駆けつけて応援していましたが、最優秀賞の発表があった瞬間、はぴりゅうとたべりゅうも飛び上がるように喜び、周囲の教員や、応援団らと手を取り合って喜んでいる様子が、画面からあふれていました。
    櫻川先生の授業は、噛んで含めるようにゆったりした分かりやすい説明が続き、おにぎり給食へと進んでいきました。授業の途中で、おにぎりのつくり方をビデオで説明する光景を挿入するなどICTツールも使いこなしており、子どもを飽きさせないで魅力を感じる食育授業に取り組んでいる努力が随所に見られました。

    発表の瞬間マスコットキャラクターたちも一緒に歓声をあげて喜ぶ画面が日本全国に届けられました。

    受賞理由について香川明夫・審査副委員長は「福井県は食育教育の発祥地でもあり、県民がその意識を持ってがんばっており、子供の興味や関心を惹きつける教材や説明による食育授業でした。授業をする様子は、明るく表情も豊かで、匂いまでも表現していて素晴らしい内容でした」と講評しました。

    またプレゼンターであるキッコーマン経営企画室中島みどりさんは「食の楽しさ、豊かさ大切さが伝わり、歌を歌いながらおにぎりを作るなど、一生記憶に残る授業だと思いました。特別支援学校ならではの、声の出し方や手の使い方などの指導方法も、とても感銘を受けました。先生のおいしい記憶がますます広がっていくことと思います」と高く評価しています。

    世界で初めて「食育」を提唱した福井市出身の石塚左玄

    石塚左玄は、1851年に福井市子安町(現、宝永4丁目)に生まれ漢方医学を学びました。医師と薬剤師の資格を持っており陸軍薬剤監になった医師でした。
    1896年(明治29年)に世に出した「化学的食養長寿論」で、「学童を持つ人は、躰育も智育も才育もすべて食育にあると考えるべきである」と唱えて体育、知育、才育と並んで「食育」という言葉でその重要性を述べました。
食の栄養、安全、選び方、組み合わせ方の知識とそれに基づく食生活が心身ともに健全な人間をつくるという教育の大切さを説いたのです。食育という言葉は中国にもない日本独自の言葉であり、その概念とともに現代でも通じる食文化の基本として受け継がれています。(参考資料:福井市ホームページ、左玄の著書などから)

  • 食育授業優秀賞は6人が受賞

    長崎県 大村市中学校給食センター栄養教諭 佐田マキさん

    青森県 おいらせ町立学校給食センター栄養教諭 大坊未世子さん

    千葉県 成田市立公津の杜小学校共同調理場栄養教諭 古川愛さん

    徳島県 つるぎ町学校給食センター栄養教諭 峯田晴美さん

    愛媛県 西条市立玉津小学校 栄養教諭 井上彩さん

    岐阜県 川辺町学校給食センター栄養教諭 藤井千穂さん

    優れた食育授業を行った6人の学校栄養士に最優秀賞に次ぐ優秀賞が授与されました。プレゼンターを務めた文部科学省初等中等教育局・健康教育食育課の清久利和食育調査官から「動画などをうまく使い、昨年度よりもレベルアップした授業内容ばかりでした。どれも差がない素晴らしい授業であり、日ごろの努力がよく出ていました」と総評を述べました。その後で個別に講評がありました。

    講評・長崎県

    SDGsと給食を関連付けた点がたいへん優れていました。適切な事例紹介で、中学生に向けて「なぜ地産地消が必要なのか」を巧みに説明されていました。授業の中で、子どもたちが育てたバジルのビデオを使用するなど、生徒の生の声を動画にして取り入れることでより興味を引く教材となっていました。

    講評・青森県

    献立のコンセプトが明快で、「青森型給食」というテーマをはっきりとさせていました。動画も用いながら、給食を生きた教材として活用しています。塩分を控えめにするための調理の工夫や、野菜やご飯を食べる量をわかりやすく伝えていました。長寿につながる食べ方の知識は、子どもたちに一生の宝になります。

    講評・千葉県

    サツマイモの食育に重点がおかれており、日常の食育として評価しました。動画をつかって生産者を紹介し、地産地消とうまく結びつけていました。タブレットと大画面を効果的に連動させた授業は、たいへん引き込まれるものでした。動画が立体的に使われていて、子どもの興味関心を高める工夫がされていました。

    講評・徳島県

    食品を通して、傾斜を利用した農業の特徴などを学ぶことのできる授業でした。阿波踊りと阿波尾鶏といった洒落のきいたことばで、わかりやすい説明でした。総合学習の時間と関連させ、徳島の世界農業遺産と郷土料理をうまくリンクさせており、テーマとされた「ふるさと再発見」コンセプトがよく生きていました。ホワイトボードでスライドショーを展開し、地元の文化財と食材の結びつきを丁寧に説明していました。

    講評・愛媛県

    防災給食というテーマ性が高い意欲的な食育授業で、食と防災を同時に考えさせる教材がうまくまとまっていました。いざというときに役立つ知識は、生徒にとって一生の宝になるのではないでしょうか。冒頭にクイズを使って防災食というキーワードに誘導する、授業のあとにパック・クッキングを予定されているなど、より自律的な体験要素を入れている点も素晴らしいです。

    講評・岐阜県

    2年生の国語の授業「大きなかぶ」と、地元産のかぶを関連付けた親しみやすい演出が、印象的でした。ラッキーニンジンを使った工夫も秀逸。好き嫌いをせずに食べることの大切さを学ぶよい授業となっています。献立の説明がていねいで、対象である2年生に合った語り口が、たいへん好ましかったです。