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3th contest 2008年 第3回大会

プロの仕事を審査。審査委員の舌が苦悩する

盛り付けが終わった給食が食味審査会場に運ばれた。テーブルに作品が並ぶ。12人の審査委員がまず「見た目審査」。全体の出来栄え、彩りを見る。「ご飯の色がきれいですね」「これは何種類の食材が入っているんですか」「食器で感じが変わりますね」。審査票のボードを片手に、批評や感想を述べ合う。プロの仕事を審査する。目は厳しい。

「食味審査」に移った。「納豆の形はないけど確かに納豆の味がする。子どもたちが食べやすいように工夫したんでしょうか」「このてんぷらおいしいなあ」「魚の骨が少し気になるような気がするけど、子どもたちは気にならないんだろうか」「このデザートは良く出来ている。喜ぶだろうな」。

報道陣からも声が飛ぶ。「こんな給食食べたことなかったなあ。これなら好きになるよ」。審査とは関係ないが実感かもしれない。審査委員も苦笑い。「今回はレベルが高いな。迷ってしまうよ」。栄養素や調理中の基本動作などに加えて、子どもたちが笑顔で食べる味に仕上がっているかの食味審査の合計で優勝は決まる。審査委員の舌が苦悩する。

栄冠は多治見共栄調理場に 〜感激の特別賞2チーム

今回は特別に、財団法人学校給食研究改善協会賞が追加され、中国・四国ブロック代表の島根県松江市立八雲学校給食センターの長島美保子さんと宇山宏文さんが選ばれた。

次は準優勝(味の素株式会社 だし・うま味賞)。鹿児島県出水市立米ノ津東小学校の榊順子さんと岩崎由美子さんのチームが読み上げられた。「子どもたちや地域の生産者の人たち、学校、PTA、給食室の仲間の支えがあって取れた賞です。これからも地場産物を使った献立を作っていきます」。カップを手に榊さんは感激の面持ちで喜びを話した。うれしさが伝わる。言葉が途切れる。

残るはひとつ。最後の優勝(やきとり・うなぎ・そうざいの株式会社日本一賞)だけになった。皆かたずをのむ。MCが封筒を開ける。「優勝は岐阜県多治見市…」。共栄調理場の2人は信じられない表情。優勝旗、カップが授与され、MCが感想を求める。「幸せです。仲間のおかげです。これからも子どもたちのために地場の産品で給食を作っていきます」。松原恵子さんは短い言葉で感激を伝えた。話したいことはいっぱいあるはずなのに言葉が出てこない。調理員の水野はるみさんは「(松原さんと)二人三脚で頑張った成果。とってもうれしいです」と、言葉を詰まらせた。