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応募献立データベース分析 No.2

地域別や審査段階での
地場産物の利用状況
第13回全国学校給食甲子園の全応募献立を分析する

長島美保子・全国学校栄養士協議会会長、全国学校給食甲子園審査副委員長

貴重な応募内容を丸ごと活用するデータベース

全国学校給食甲子園には、毎回、2000件内外の応募献立が集まってきます。どの献立にも栄養教諭、学校栄養職員がアイデアを絞り、努力して作成した内容が見えています。審査する立場になると、まさに「心を鬼にして」審査していかないと絞ることができません。

第1次から4次審査まで行い、決勝戦出場の12代表を6ブロックから各2代表ずつ選定し、選ばれた24人の選手たちが実際に調理して優勝を争います。決勝戦に選定される献立は、正直に言うと運が良かったとしか言いようがないくらいの激戦の中から選定されています。

しかし地域代表、都道府県代表などに選定されなかった応募献立にも、ピカリと光る内容が多数あります。そこで応募された全献立を活かす方法として考えたのが、全応募献立をデータベースとして活用することでした。これが実現すると応募された全献立がサンプルとしての価値が出るので、応募してきたすべての栄養教諭、学校栄養職員の皆さんの努力を無駄にしないことになるのです。

今年はその分析結果を第7回日本食育学会で発表することができ、応募された先生方の努力を無駄にしないで活用できたことを嬉しく思いました。

6ブロックの地域別で地場産物活用に差はあったか

この連載の第1回目では、全献立1673サンプルを対象にした地場産物の利用状況を分析しました。今回は6ブロックの地域別に差はあったかどうかを分析してみました。

分析結果をグラフにしたものが下の図表です。

6ブロックのうち、地場産物の割合が元も高かったのは北海道・東北の48.8%で、続いて中国・四国と九州・沖縄が各48.7%でした。逆に最も小さい割合だったのは、中部・近畿の42.3%で、次に小さかったのは甲信越・北陸の45.2%でした。

どの地域の地場産物の割合でも、国の目標の30%より大幅に上回っていることに正直驚きました。全国学校給食甲子園に応募する先生方が特に意識して地場産物を活用しようとしている表れかも知れませんが、むしろ国の目標基準の決め方やサンプルの分析方法に課題があったのかも知れません。いずれにても今後の研究テーマとして検討材料にしたいと思っています。

最上位と最下位を比べてみると、この程度の差は意味があるほどのものとは考えにくく、総じて45%前後の地場産物活用率ではないかと思いました。

第1次―4次審査段階の地場産物利用状況

全国学校給食甲子園は、第1次から4次までの審査で決勝戦出場の12代表を選定します。いずれも応募書類の審査になりますが、その絞っていく過程は次のようになります。

第1次審査
応募総数の約15%にあたる254件を選定
第2次審査
254件から都道府県代表として54代表を選定。応募数の多かった県からは複数の代表を選定しました。
第3次審査
54件の中から全国6ブロックから各4代表ずつの合計24代表を選定
第4次審査
24代表から各ブロック2代表の合計12代表を選定

下のグラフは、第1次―4次審査までの各審査段階の地場産物の活用割合です。

審査が上位になるにしたがって地場産物の割合が、わずかに増える傾向が見られます。と言っても、グラフで見る通りほとんど差はなかったというのが、私たち審査委員の感想でした。

今回は、データベース分析としては第1回になるので、このような基礎的な分析から入ってみました。今後、どのような分析ができるのか、大学の研究者らのアドバイスを受けながら、食育推進のために役立てたいと思っています。