• HOME
  • 2014年 第9回大会
  • 決勝レポート

11th contest 2014年 第9回大会

開会挨拶、選手宣誓

冬の晴天に恵まれたものの、本格的な寒さに包まれた12月7日、全国学校給食甲子園の決勝大会が開催された。
1〜4次の、通算4つもの審査に勝ち進んできた12校・施設の選手たちが、いよいよこの日を迎えた。
会場となった女子栄養大学のカフェテリアで、開会式が始まる。

銭谷 眞美 東京国立博物館長

「全国学校給食甲子園は、平成18年にスタートし、今回で9回めとなりました。
今年も2,157もの、多くの校・施設のご応募をいだたきました。
長期に渡り審査し、第1次審査で220に、第2次審査で58に、第3次審査で24に、第4次審査で12校・施設に絞られてきました。
今年も熱のこもったご応募をいただきまして、すばらしい内容のものばかりでした。
みなさんはその代表です。本当におめでとうございます。

また、この大会は、多くの後援・協賛企業団体のご協力を得て開催しております。心から感謝を申し上げたいと思います。

この大会は、学校給食が食育の大切な機会である…食育振興という観点から始められました。
審査に当たりましては、献立の栄養価・バランス、安全安心である衛生上の管理、調理技術、栄養士と調理員のチームワーク、地場産物の活かし方などをポイントにしています。
しかし、肝心なのは子どもの視点ですから、審査員も子ども達の気持ちになって、見た目や味つけを捉えてみようと思います。

折りしも、和食がユネスコの無形遺産に登録され、日本の伝統的な価値が見直されています。
学校給食も、世界に誇る学校教育の一環です。
皆さんは、その誇るべき学校給食の成果を、本日、存分に発揮していただきたいと思います。

最後に、後援・協賛企業団体の皆様への感謝を改めて述べたいと思います

銭谷眞美 実行委員長の開会挨拶

昨日の前夜祭レセプションでの抽選で選出された福井県代表、福井市大東中学校、栄養教諭の田中範子さんが、全選手を代表して、選手宣誓を行った。

「私達は、郷土の食材を活かした、安全でおいしく楽しい学校給食を調理するプロフェッショナル精神に則り、児童生徒が目を輝かせてて喜ぶ、おいしい学校給食作りをすることを誓います」

選手宣誓

開会式

いよいよ1時間の調理作業が始まる

選手達は調理室に移動し、まず最初に手洗い検査を受ける。
手洗い検査キットで、手洗い後の雑菌のチェックをする。
給食は、常日頃の衛生面においても、非常に厳しいラインが求められている。間違いなく、世界随一の衛生管理であろう。

指の間、爪の先もチェック

選手は持ち場となる調理台に着き、審査員の「調理開始」の発声と共に、機敏な動きですぐに作業に取りかかる。
普段の調理場とは異なる、狭い空間。小さな調理台。
しかし、「野菜を洗うのは3回」「水道の蛇口は、手ではなく肘で操作」などという、学校給食においてのルールは遵守し、普段どおりの作業が求められる。

落ち着いたスタート

戸惑いそうなものであるが、どの選手もテキパキとして無駄な動きがない。
どの校・施設も、栄養士、調理員の二人の動きはすでにちきんと仕分けされている。
何度も練習を重ね、導線を整え、時間配分も計算しているのだ。

壁に張られた工程表や、導線図などが、それを物語っていた。
各校・施設が、それぞれ工夫を凝らして、このようなものを作ってきている。
開催回数を増すごとに、調理はもちろんのこと、細かな部分のレベルも確実に上がっているようだ。

それぞれ工夫されている

また、二人のチームワークもとても重要なポイントである。
限られた1時間の中で、調理、盛りつけ、片付けまでをもこなさなくてはならない。
二人が、分担で作業をし、協力し、そして声を掛け合う。
各々の差はあるものの、複数回数の出場となった校・施設などは特にこの部分が徹底している。

温度、時間などを記録していく

「温度を図りました。92度です」「はい。記入します」
「ありがとうございます」「次の作業に入ります」などと、頻繁に確認の会話を交わしていたのが印象的だ。
しかし、たまに、チームワークがかみ合わなくなり、小さなトラブルが起きている校・施設があるのも事実である。

食品の温度測定

普段は多くの食数を提供している選手たちにとって、6食のみの調理は勝手が違うのだが、てきぱきと進んで行く。
あらかじめ分担された作業、そして声をかけ合う選手たち。
このチームワークも見所の一つ。
決勝大会はこの1時間だけのものではない。
今までの練習の成果が細かいところにも生きてくる。
選手たちはどれだけの時間をかけてここまでたどり着いたのだろうか。

食品の温度測定

時間内に洗い物、済ませる必要があるため、調理の合間の時間を計算して、洗い場の調理器具もどんどん洗浄され片付けられていく。
この時、エプロンを換える必要がある。

調理しながらも片付けていく

壁には、一人につき何枚ものエプロンがかけられている。
これは使用用途によって、エプロンを使い分けるためだ。わかりやすく色分けされている。
ここにも、日本の学校給食の衛生管理の確実さが現れている。

多くの報道のカメラの目、そして審査員の目が光る中で、選手達の作業は進む。
30分を回る頃には、調理室全体が、食欲をそそる出汁や焼き物の香りに包まれてきた。

用途別エプロン

多くの報道陣と審査員

常日頃は最大12,000食を提供している施設もあるが、この決勝大会では、6食分を作るのである。
小さなフライパンや鍋、使い慣れないオーブンでの作業は、かなりの注意が必要かと思われる。
例年、オーブンでは焼きすぎなどのトラブルもあったが、今年はそのようなトラブルもなく、整然と進行しているようだ。

小さな器具での調理

残り時間15分となったころから、ほとんどの校・施設が盛りつけに入っていた。
使用するトレイや皿などはいつも給食に提供しているものを持ち込んでいる。
ご当地キャラクターのイラストがついたトレイもあった。
この盛りつけも審査の対象となる。

盛りつけも大切なポイント

残り3分を切ったところで、まだ修了していない校・施設も少なくなかった。
時間内の盛りつけはもちろんのこと、洗い物も全て済ませて、開始前と同様の整然とした調理台にしなくてはならない。
果たして間に合うのだろうか…と少々心配な気持ちで見守っていたが、選手達には大きな焦りも見られない。
見事、3分で盛りつけが完成していく。

そしてタイムアップを迎えた。盛りつけの一部と、洗い物、片付けが終わらなかった校・施設が若干あったものの、調理の時間オーバーとなったところは1つもなかった。

残り1分を切る

調理修了!

調理

※この決勝の様子は、インターネットUstreamで生配信された。