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- 2010年 第5回大会
- 決勝レポート
日本一を決めるため、14人の審査委員が慎重に食味審査
審査が始まった。テーブルに並べられた給食を見た目、味で評価していく。「年々地場産物をうまく使った献立が増えている。彩りも鮮やかで、いかにも美味しそうだ」。審査員泣かせの光景が今年も繰り広げられた。
「野菜がたくさん入っている。家庭ではなかなかこうはできない」。確かに大根、ごぼう、にんじんといった根菜類やはくさいなどの葉物野菜を豊富に使った料理が多い。嫌いな子どもが食べやすいように工夫を凝らした献立も増えた。
「今年は混ぜごはんが多い。これなら子どもも喜ぶだろう」。ごはんにこだわる給食が増えているのも最近の特徴だ。汁物の出汁もしっかりしている。「薄味でも美味しい」との声も聞かれた。
審査員は一つずつ味見をしていく。納得したようにうなずきながら食べる人、ちょっと首をかしげる人。調理時間と同じ1時間を掛けて審査は続けられた。
「どれも甲乙つけがたい」と
審査員泣かせの食味審査
女子栄養大学特別賞は香川・高松市立国分寺南部小に
いよいよ審査結果の発表だ。12チーム24人の選手は緊張した面持ちで待つ。全チームが入賞の表彰を受けた後、特別賞から発表された。女子栄養大学特別賞からだ。香川県高松市立国分寺南部小学校の名前が読み上げられた。
21世紀構想研究会特別賞は鳥取・三朝町調理センターが受賞
続いて21世紀構想研究会特別賞に鳥取県三朝町調理センターが選ばれた。同じ中国・四国ブロックからの選出となった。
準優勝は富山・砺波市学校給食センターの亀ケ谷昭子さんと山田久美子さんに
残るのは優勝と準優勝。会場の応援陣も身を乗り出して、発表を待った。「準優勝は富山県砺波市学校給食センター」。亀ケ谷昭子さんと山田久美子さんが壇上に向かう。初出場での準優勝だ。感激した様子で準優勝カップを受け取った。
亀ケ谷さんは「とてもうれしい。生産者の方や前に出場した富山代表の人からのアドバイスに感謝している。これからも地場産物を使った学校給食を進めていきたい」と決意を込めて喜びを話した。山田さんは「練習してきた甲斐があった」と述べた。
優勝の栄冠は岐阜・郡上市白鳥学校給食センター
皆、司会者に注目する。「優勝は岐阜県郡上市白鳥学校給食センター」。どよめきが起こる。ここも初出場での栄冠だ。白瀧芳美さんと見付清美さんの優勝コンビが壇上に上がった。優勝カップ、優勝旗が授与される。
「私たちの力ではなく子どもたちや周りのおかげです。夢のようです。いい報告ができるのがとてもうれしい」。白瀧さんの喜びの言葉はかすかに震えた。調理員の見付さんも「皆さんのおかげ。とてもうれしい」と控えめに栄誉の喜びを口にした。センターではなく別の場所で練習を積み重ねてきた2人。この努力が実を結んだ。
「優勝する自信なんてありませんでした。ただできる限りのことはやってきましたから、その力が出せればいいなとだけ考えていました。本当に子どもたちや周りの人たちのおかげです。いい報告ができ、給食に関心を持ってもらえるのがとてもうれしい」。優勝した岐阜県郡上市白鳥学校給食センターの栄養教諭、白瀧芳美さんはあくまで控え目に喜びを表現した。
「夢のよう」と優勝の喜びを語る
岐阜・郡上市白鳥学校給食センター
白瀧芳美さんと見付清美さん
白瀧さんと調理員、見付清美さんは、給食センターではなく別の市の施設で練習を重ね、7回は作ってきた。これまでに出場した先輩から会場の調理台の様子を教えてもらうなど事前の研究も行ったと言う。
子どもたちは皆、決勝出場を知っていて、全員が応援メッセージを書いてくれてセンターまで届けてくれた。「日本一になってね、とか、普段の力を出せるように頑張ってね、とか書いて励ましてくれた。これを宝物に持ってきた」と、子どもたちの応援に感謝する白瀧さんの声は途切れがちだ。
「給食と子どもたち、地域が繋がる活動をしている。後は衛生管理に気を遣っている。美味しくっていい献立でも安全でなくてはいけないというのが学校給食。安全という部分がきちんとできるように練習してきた」と、白瀧さんの給食に懸ける思いを話した。
献立の中で「あゆとあまごの梅とろり」は、「魚が苦手な子どもも美味しい、食べやすいと言ってくれたので、ちょっと自信があったんですけど」と、自信ものぞかせた。インタビュー中、隣りの見付さんに同意を求めたり、確認したりとコンビの息もピッタリだった。