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6th contest 2011年 第6回大会

不屈の東北、岩手・福島の代表も参集
〜第6回全国学校給食甲子園®決勝の前夜祭〜

第6回目を迎えた全国学校給食甲子園®の決勝大会前夜祭が11月5日、会場となる東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで行われた。東日本大震災で甚大な被害を受けた東北の岩手、福島からの代表チームを始め、全国6ブロック代表12チームの24人が出席し、明日の決勝への決意を新たにした。大会には過去最多となる全国の2,057校・施設から応募があり、厳正な一次、二次、三次の書類審の結果、決勝大会出場校・施設が選出された。

学校給食は安全・安心であるのは当然として、地場産品を活用し、郷土の伝統料理も伝承しながら、栄養量、ボリュームが適正でなければならない。その上子どもたちが喜んで食べる味付けや調理の工夫も必要となる。この頂点を競う給食甲子園は年々レベルが向上し、全国でひたむきで地道な努力が積み重ねられていることが窺える。

今回は震災の影響から出場応募の減少が心配されたが、青森、岩手、宮城、福島などから前回を2割も上回る応募が寄せられた。逆境の中だからこそ、「安全・安心な給食で子どもたちの笑顔を」と、一層の献立作りに取り組んでいる給食現場の底力である。前夜祭会場では、学校給食という強い絆で結ばれた仲間同士が復興への支えを誓うとともに、明日の戦いへの思いを語り合った。

決勝出場12チームが緊張の面持ちで勢ぞろい

「東北の応募増に感激」と主催者

前夜祭は午後6時半すぎから同大学内のレストラン、松柏軒で開かれた。24人の選手が緊張の面持ちで入場し、後援、協賛、特別協賛の企業や団体の関係者、主催者らが拍手で歓迎した。

主催者を代表して歓迎の挨拶に立った特定非営利活動法人21世紀構想研究会理事長の馬場錬成・東京理科大学知的財産専門職大学院客員教授は、「3月11日の未曾有の大災害で応募は昨年を大きく下回るのではないかと心配した。ところが史上最高の2,057施設から応募があり、しかも東北6県は20%も増えていた。被災を受けた施設からもこうした多数の応募をされたことに感激した」と述べた。

銭谷実行委員長は「12チームに差はない」

この後大会実行委員長の銭谷眞美・東京国立博物館長が「2,057施設の応募の中から選ばれた12チームの皆さん、本当におめでとう。明日は存分に力を発揮してほしい。この大会は地場産物を使って豊かな学校給食活動を展開しようという趣旨で始まり、文部科学省、農林水産省が後援しているのを始め、多くの会社、団体から協賛いただき、手作りで行っている。今年は学校給食を巡って感染症などの問題もあったが、全国の学校栄養教諭、栄養職員、調理員の皆様方が安全で豊かな給食作りに大変な努力をされている。また国民からの信頼も大変高いものがある。その頂点に立つ選手の皆さんの力の差はない」と、12チームを激励した。

「給食が一番いい教育制度」と香川女子栄養大学長

第1回から快く会場を提供していただいているのは80年の歴史を有する女子栄養大学。来賓の挨拶で同大の香川芳子学長は、「これほど学校給食の改善に役に立つ行事はない。私は学校教育の中で学校給食が一番いい制度だと思っている。審査委員として試食させていただくが、毎回どの給食も全部美味しい。学校の調理室は狭くていつもと勝手が違うかもしれないが、あすは頑張ってください」と述べた。

文科省の布村局長が「乾杯」

学校給食を担当する文部科学省の布村幸彦スポーツ・青少年局長が「大震災以降ようやく2学期になってほとんどの学校で学校給食ができるようになった。行政としては元に戻るようにさらに支援を進める。また放射線の影響が子どもたちに及ばないように最大限の努力をしていきたい」と挨拶し、乾杯の音頭を取った。

「栄養教諭らの6人に1人が応募」と田中学校給食調査官

文科省スポーツ・青少年局学校健康教育課の田中延子学校給食調査官は「皆さん、ここに来たというだけですごいことなので誇りに思っていただきたい。給食は美味しくなくてはいけない。どんなに食育を叫んでも、美味しくなければ先生も子どもたちもついてきてくれない。それで美味しい献立作りを習慣づけてほしいと思い、大会を応援してきた。以前は文科省としても応募を要請してきたが、栄養教諭、栄養職員1万2千人のうち2千人が応募したということは6人に1人が応募したことになる。これはすごいことだ。明日は衛生管理から審査になるので、手を抜かずに」と、場内の笑いも誘いながら選手の緊張をほぐした。