レタス
NO.34
戦後出てきたサラダの主役
日本では昔から 、限られた野菜しか生で食べませんでした 。ネギを薬味に使ったり 、野菜を漬物にしたり 、ヤマイモ 、大根おろしなどでした。いまでも同じです。
西洋では古代ギリシア 、ローマ 時代から 、肉を食べるときはレタスやキャベッに塩をかけて食べていたと言われています 。洋食が普及し 、戦後は外食のみでなく一般家庭でもサラダを食べるようになりました 。生野菜サラダに 使う食材の主役は瑞々しく 、シャキシャキした歯ざわりのレタスがもてはやされるようにな ったのです 。
平安時代に 中国から渡来したレタスの仲間全体を 、和名ではチシャと呼んだようです 。レタスは英語でlettuce、ラテン語Lacrucaです。ラクは乳の意味です 。和名のチシャも「乳草(ちちくさ)」、からきたという説があります 。レタスの葉や茎の切り口から白い液が出るので、「乳」をイメージしたようです 。白い液体はラクチュコピクリンと呼ばれるポリフェノールの一種なのです 。
レタスは 、サラダ 、サンドイッチ 、ハンバーガーなどに利用する生食が一般的です 。最近は、海苔ではなくレタスで巻いたレタス巻も登場しています。また 、レタスに焼肉を乗せ 、クルクルと手巻きにするのも人気があるようです 。
レタスは生食以外に 、炒め物にしたり味噌汁の実やスープ 、鍋物に 使うなど 、加熱してもおいしく食べられます 。加熱してもしゃきっとした歯触りが残るのがうけているのでしょう。筆者は、レタスをオリーブオイルで煮たものが大好物です 。煮てもしゃきっとしており 、塩味だけのオリーブ煮は本当においしいのです 。
多彩な形状をしたレタスたち
レタスの種類は、特徴的な形状によって多彩です。大きく分けてリーフレタス、コスレタス( 別名ロメインレタス)、ステムレタス 、玉レ タスに 分類されます 。リーフレタスは非結球レタスで 、緑色 のグリーンリーフ以外サニーレタスのように赤色を帯びる品種もあります 。
ヘッドレタスは二つの型があります 。ひとつはクリスプヘッド型で 、一般的な結球性のレタスとして普及しており 、パ リパリとした歯触りが特徴です 。
一方バ ターヘッド型は結球が緩く 、日本では 一 般にサラ ダ菜と呼ばれているものです 。最初レストランで使われる程度でしたが 、明治以降栽培されるようになって普及していきました 。
コスレタスは楕円形に緩く結球し 、白菜のように丈が高く 、炒めてもシャキシャキしています 。フランス 、イタリアではよく利用されているそうです 。アメリカでは約3割がこの種類です 。
カッテングレタスは成長に 従い 、下の葉は収穫しながら食用とするもののようです 。古く奈良時代から日本に導入さ れました 。生食せず 、茄でてお浸しや 、味噌和えが主でした 。近年 、サンチュで 焼肉を包んで食べる方法が普及したため 、再び流通が増えてきています 。
ステムレタスは茎が長く伸びて皮を取り除き 、茎を細く切って乾燥加工したものは「 山くらげ」と呼ばれています 。コ リコリしてくらげのような食感があります 。お湯で戻して 、四季の野菜や 、袖揚げ等と炒め物 、煮物などに 調理します 。中国では、生のステムレタスの茎を炒め物に使います。
予冷技術と保冷車の活用で広く普及
玉レタスの栽培が本格的になったのは戦後で 、今では全国的に 栽培されています 。最近は、都会のど真ん中でも水耕栽培器を使って室内でレタスを育てている人がいます。LEDの人工照明と液体肥料を使って水耕栽培で野菜を作るもので、限られた小さなスペースに畑を作って楽しむ人もいます。「マイクロファーミング」という言葉もあるくらいです。光に照らされた野菜はちょっとした観葉植物のようにも見えるので、室内のインテリアとしても一役買っています。
日本では昭和48年(1973年)、長野の農協が 、真空冷却を初めて導入しました 。今では 、野菜の予冷技術と保冷車とを活用して全国への出荷が可能になりました。最近輸入野菜が増えてきていますが、レタスはカルフォルニア産が多いようです。
レタスは 95% が水分です 。レタスの主な栄養価として 、カロチン 、ビタミンC、E 、K、葉酸 、カリウムがあげられます 。食物繊維 、ミネラル類も含まれることから 、生活習慣病 、動脈硬化 、高血圧 、などに効果があります 。また 、美肌効果が期待でき 、ダイエットにも適しており 、安眠効果もあると古くからいわれています 。
文:ばばれんせい 絵:みねしまともこ
レタスの食品成分
出典:食品成分データベース
レタスの生産量の都道府県ランキング(平成30年)
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 長野県 | 208,900t | 35.70% |
2位 | 茨城県 | 89,800t | 15.30% |
3位 | 群馬県 | 46,000t | 7.90% |
4位 | 長崎県 | 33,800t | 5.80% |
5位 | 兵庫県 | 28,900t | 4.90% |
6位 | 静岡県 | 24,700t | 4.20% |
7位 | 福岡県 | 19,200t | 3.30% |
8位 | 香川県 | 18,700t | 3.20% |
9位 | 熊本県 | 16,800t | 2.90% |
10位 | 北海道 | 14,200t | 2.40% |
11位 | 岩手県 | 9,900t | 1.70% |
12位 | 千葉県 | 9,200t | 1.60% |
13位 | 鹿児島県 | 7,000t | 1.20% |
14位 | 徳島県 | 5,990t | 1.00% |
15位 | 栃木県 | 5,970t | 1.00% |
16位 | 愛知県 | 5,690t | 1.00% |
17位 | 沖縄県 | 4,740t | 0.80% |
18位 | 埼玉県 | 3,970t | 0.70% |
19位 | 大分県 | 2,320t | 0.40% |
20位 | 青森県 | 2,100t | 0.40% |
21位 | 佐賀県 | 1,970t | 0.30% |
22位 | 愛媛県 | 1,710t | 0.30% |
23位 | 岡山県 | 1,180t | 0.20% |
24位 | 奈良県 | 564t | 0.10% |
25位 | 大阪府 | 382t | 0.10% |
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