食のこばなし

オクラ

NO.83

オクラは「OKRA」なんだ

茹でたオクラにかつお節をふりかけ、醤油をたらした簡単なオクラのおひたしは、ビールなどのおつまみとして筆者の大好物です。料理屋で出されるオクラの天ぷらもおいしいです。

オクラとは、「OKRA」という英名をそのまま呼んでいるユニークな野菜です。植物分類はアオイ目アオイ科トロロアオイ属とあります。和名はアメリカネリ。オカレンコン(陸蓮根)という異名もあるそうです。英名のOKRAの語源は、アフリカのガーナで話されている現住語のNKRAMAから来たと言われています。これで想像できるようにオクラの原産地はアフリカ、それもエチオピアあたりではないかということです。

ねばねばした粘度のある食べ物は、日本に根付いた食文化です。ちなみにオクラの茹で加減は、さっと茹でるとされていますが、ねばねば感と歯ごたえ感が出るのは茹で時間2分が最高という評価も出ているようです。りおろすととろろの代用にもなるし、酢の物、和え物にもよく使われています。

納豆、メカブ、ナメコ、ヤマイモ、オクラ・・・。粘度のある食べ物をよく食べる日本では、オクラは良くなじむ野菜なのでしょう。粘度のある食べ物には、疲労を回復しスタミナをつける効果があるとされています。確かにねばねばを食べるといかにもスタミナがついたように思えます。

納豆にオクラを少々入れ、それにかつお節をまぶして醤油をたらす。これに卵の黄身を追加するのもいいでしょう。よくかき混ぜてから熱々のご飯にかけてかきこむ幸せ感は、何ごとにもたとえようのない日本の食文化です。

アフリカからアメリカへ

紀元前から栽培されて食物にされていたようで、アメリカに奴隷として渡った西アフリカ人がアメリカ大陸に持ち込み、西インド諸島から南米大陸へと広がっていきました。

アメリカでは奴隷の多かった南部で栽培されていますが、オクラはもともとが南の植物なので霜が降るような寒い土地では育たないようです。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が、来日する前ニューオリンズで新聞記者をしていましたが、その当時に書いたアメリカ南部のクレオール(混血)文化と土地の料理の本にオクラが出てくるということです。

日本へは江戸時代の末期から明治時代にかけて移入されました。関東以南の比較的温暖な土地で栽培されています。筆者が子供のころ、オクラは見かけませんでした。いつからかオクラを食べるようになったとき、この野菜は輸入品かなと思った記憶があります。調べてみると、日本で広く食べられるようになったのは、1970年代に入ってからだそうです。それまでは、珍しい野菜だったのです。

世界各地のオクラ料理

アフリカから世界中に広がっていった野菜ですから各地にさまざまなオクラ料理があります。スープやシチューの材料として使われることも多く、トマトとオクラと鶏肉を煮込んだシチューなどもあります。

トマトの酸味と食塩とオクラの粘性物質がよく合っているようで、ねばねば感がとろとろ感になるということです。熱によって、粘性物質が水溶性から不溶性に一部変化したからでしょう。

オクラとベーコンを炊きこんだオクラご飯もあるそうです。ベトナムでは、オクラをスライスしてヤギの焼肉と一緒に焼いて食べています。

オクラは糖質が多く、カルシウム、鉄などのミネラル、カロチン、ビタミンC、カリウムを含んでいます。ねばねばの元は半分がタンパク質で、残り半分はペクチン、ガラクタン、アラピンなどという水溶性食物繊維ということです。

便秘に悩んでいる人が便秘解消にオクラを勧めていましたが、その理由はここにあったのです。コレステロールを減少させる効果があるそうで、夏バテ防止にもいいそうです。

オクラの種を炒るとコヒーの代用になるようで、外国では飲まれているということです。

文・ばばれんせい  絵・すなみゆか

順位 都道府県 収穫量 割合
1 鹿児島県 5,210t 43.4
2 高知県 2,050t 17.1
3 沖縄県 1,060t 8.8
4 熊本県 806t 6.7
5 福岡県 390t 3.3
6 香川県 319t 2.7
7 宮崎県 316t 2.6
8 愛知県 255t 2.1
9 徳島県 235t 2
10 群馬県 158t 1.3
11 兵庫県 131t 1.1
12 埼玉県 92t 0.8
12 神奈川県 92t 0.8
14 東京都 86t 0.7
15 長崎県 84t 0.7
16 新潟県 81t 0.7
17 和歌山県 73t 0.6
18 大阪府 72t 0.6
19 秋田県 61t 0.5
20 愛媛県 56t 0.5
21 京都府 47t 0.4
22 大分県 36t 0.3
23 千葉県 31t 0.3
24 山形県 24t 0.2
25 佐賀県 17t 0.1
26 茨城県 16t 0.1
26 広島県 16t 0.1
28 北海道 14t 0.1
28 山口県 14t 0.1
30 宮城県 12t 0.1
31 福島県 11t 0.1
31 福井県 11t 0.1
31 滋賀県 11t 0.1
34 栃木県 10t 0.1
35 三重県 9t 0.1
36 富山県 7t 0.1
37 石川県 6t 0.1
37 静岡県 6t 0.1
37 奈良県 6t 0.1
40 青森県 5t 0
40 岩手県 5t 0
42 岡山県 4t 0
43 山梨県 3t 0
43 島根県 3t 0
45 長野県 2t 0
45 岐阜県 2t 0

出典:地域の入れ物

カテゴリ

あげもの うなぎ うめ おかゆ おでん お正月 お祝い お茶 きのこ くだもの こんぶ ごぼう さといも すし そうめん そば たけのこ たまご たら 魚 たんぱく質 だいこん ちくわ ちらし寿司 つくだに つみれ とうきび とうふ とうもろこし なれずし はんぺん ふぐ ぶり めでたい もち もも やぶきた茶 りんご アイスクリーム アサリ アスパラ アスパラガス アボカド アユ アリシン アルコール アワビ アントシアニン イカ、ヤリイカ、スルメイカ、軟体動物 イタリア イチゴ イナゴとハチの子 イワシ エダマメ オクラ オリーブ オリーブオイル オレンジ カキ カツオ カツサンド カツレツ カボス カボチャ カレー カレーライス カレー粉 ガーリック キウイ キムチ キムチ鍋 クリ グリーン グリーンピース コロッケ コンニャク ゴルゴンゾーラ ゴールド サクランボ サツマイモ サラダ サンドイッチ サンマ シイタケ シソ シメジ スイカ スダチ スティルトン スナップエンドウ スパイス スパゲッティ セリ科 セロリ ソラマメ ソーセージ タイ タクワン タコ タマネギ ターキー ダイズ チーズ ツタンカーメン デザート トコロテン トマト トンカツ ドジョウ ナシ ナス ニシン ニンニク ネギ ハマグリ バナナ パスタ ビタミンC ビール ピンク フキ フルーツ フルーツサンド ブドウ ブルーチーズ ブルーベリー ヘイワード ホットドック ポークカツレツ マカロニ マクワウリ マロン メロン ユズ ライスカレー ルチン レタス レンコン ロックフォール ワカメ ワサビ 七面鳥 下仁田ネギ 下関 二十世紀なし 伊藤博文 佃煮 南国 厄除け 味噌 和食 土用 土用の丑の日 夏野菜 夕張メロン 大和 大根 大豆 奈良 寒天 寿司 小魚煮 山菜 山葵 干しシイタケ 徳川家康 慶事 揚げ物 握り寿司 新茶 昆布 春野菜 松前船 果物 枝豆 柑橘 根菜 桃太郎 梅仕事 横須賀 歴史 水餃子、焼き餃子 沢庵 河豚 海、 海のミルク 海藻 淡水魚 滋養強壮 漬物 煉瓦亭 熨斗紙 牡蠣 番茶 疲労回復 白ネギ 石垣いちご 納豆 紫エンドウ 緑色 緑茶 羅臼昆布 茄子 茶がゆ 茶色 菜の花 萌黄色 葉ネギ 葉野菜 西洋のカツオ節 西洋料理 豆腐 豊臣秀吉 豚肉 郷土食 酢飯 醤油 野菜 青魚 韓国 風邪の予防 食文化 食材 食物繊維 香味野菜 高級食材 魚、サケ、 魚介 鶏肉 黄色