餅(もち)
NO.18
お祝いの日にはもちつきが日本の風習
日本のお正月になくてはならないもの、それはもちです。古来から日本人の家庭では、お祝いの日にはもちをついて食べました。仙台の田舎に行くと「坊やがきたからもちをつくか」と言って杵と臼が持ち出され、近隣のおじさんたちがやってきてもちつきが始まります。アンコとキナコが定番であり、そこにダイコンおろし、納豆が加わります。見ていると子どもだけでなく、大人も楽しみだったのです。夏になるとズンダもちを作ってくれるのが最大の楽しみでした。
ズンダとは、枝豆をつぶして砂糖と塩少々を入れたもので、これにもちをからめて食べます。枝豆の香りに風味があり、とても美味しいもちです。ズンダを作るときのコツは、最後にお醤油を一滴入れることだと教わったものでした。
お雑煮でわかる文化圏
先日、学校給食甲子園事務局スタッフで管理栄養士の江副貴子先生が、一足早いお雑煮を作って、第15回大会の内輪の打ち上げ会をしてくれました。コロナ禍でもあり三密になるので数人の地味な打ち上げ会だったのが惜しまれますが、福岡県に古くから伝わる「かつお菜」を使った博多雑煮を作ってくれました。江副先生によるとかつお菜は、福岡地方で作られてきたアブラナ科の葉野菜で、高菜の近縁種ということです。旨みがあるのでカツオの出汁がなくても美味しいということからカツオ菜と呼ばれるようになったとか。「勝男菜」とも書き、縁起のいい食材とされており、まさにお正月にはぴったりです。
お雑煮の具は、ブリ切り身、トリ肉、ダイコン、ニンジン、サトイモ、干しシイタケ、かまぼこ、かつお菜に丸もちが入っていました。これが絶品のお雑煮であり、初めて食べたかつお菜は、ちょっと小松菜の味わいのする野菜でした。
お正月のお雑煮を調べると、もちの文化圏を知ることができます。まず、もちの形です。お雑煮に入れるもちには、角もちと丸もちがあります。角もちは東日本、丸もちは西日本と二分されています。その分岐線は石川県金沢市と岐阜県高山市と三重県四日市市を結ぶあたりだと、地誌学・民俗学の権威である市川健夫先生に教えてもらいました。
丸もちは京都の文化を受けた土地であり、角もちは江戸文化を受けた土地とされています。さらにお雑煮にも味噌仕立てとすまし仕立てに二分されます。味噌仕立ては、丸もち文化と同じ京都派であり、頑固に伝統を守ってきました。
一方のすまし仕立ては、醤油や塩で味付けするもので、角もちを食べる東日本一帯の文化になっています。ただ江戸時代には、参勤交代で西日本でも江戸の文化が広がり、近畿、山陰、四国などではすまし仕立ての雑煮を食べる地域もあります。まるで東西の文化の顔を立てたように、すまし仕立てに丸もちという地方もあるそうです。
お雑煮の具も地方によって千差万別です。秋田県でハタハタの塩辛からとった調味料を使っています。岩手県釜石地方では、ほやを使ったお雑煮があるそうで、一度食べてみたいと思っています。
質素倹約というとケチと言いたくなりますが、その美風を今に残すのが徳川家康のご当地愛知県地方のお雑煮です。すまし汁に別名もち菜と呼ばれる小松菜ともちだけ。たったこれだけとつい言いたくなりますが、この地方の人に言わせれば、お雑煮にいろいろ入れるのが外道ということになるようです。
広島県では、西日本では珍しい角もちにご当地の名物牡蠣が入ります。四国高松は、煮干のだしに白味噌仕立てに小豆飴もちが入るという変わった雑煮です。長崎は外国文化が人ったお雑煮で、トリ肉だしに干なまこ、サトイモ、タケノコ、シイタケ、青菜、結び昆布、カマボコと賑やかです。
筆者の古里、仙台地方のお雑煮はトリ肉、かまぼこ、ゴボー、大根、ニンジンのせん切り、シイタケ、セリ、それにサケの卵のイクラを散らします。もちでおなかがふくれてくると、もちぬきの野菜だけ食べたものです。
もちから学ぶ故事ことわざ
もちは伝統的な日本の食ですから、もちにまつわる故事、ことわざ、和歌、 俳句などが多数残されています。誰でも知っている「絵にかいたもち」は故事の代表です。「焼きもち焼くとて手を焼くな」と言うことわざは、やきもちを焼くのはいいが、感情的になり過ぎて後で処置に困るようにならないようにといういましめだそうです。うーむ、難しそうですね。
「もちはもち屋」もよく言われます。もちは誰でもつけますが、一番うまいもちは、やつばりもち屋がついたもちということで、何事も専門家に任せるのが一番だという意味です。
もちを素材にした料理もたくさん出ています。友人が教えてくれたもち料理では、近代的な磯部もちがありました。角もちの真ん中に切れ目を入れて焼き、醤油をつけます。切れ目にバターをはさみ、チーズとレタスともちをノリで巻いてできあがり。
「もち腹七日」と言われるようにもちはカロリーが高いので、おなかが長持ちします。だから食べすぎには注意という訳です。
文:ばば れんせい 絵:とよだ ゆき
もちの栄養
【餅の栄養(100g)】
・118キロカロリー。
・糖質(49.5グラム)
・食物繊維(0.8グラム)
・たんぱく質(4.2グラム)
出典:カロリーslism
順位 | 都道府県 | 金額 | 個数 | |
01位 | 福井県 | 福井市 | 1,417円 | 44.2個 |
02位 | 広島県 | 広島市 | 1,050円 | 31.1個 |
03位 | 富山県 | 富山市 | 982円 | 30.4個 |
04位 | 岐阜県 | 岐阜市 | 924円 | 30.4個 |
05位 | 石川県 | 金沢市 | 866円 | 25.6個 |
06位 | 京都府 | 京都市 | 843円 | 25.4個 |
07位 | 新潟県 | 新潟市 | 885円 | 25.4個 |
08位 | 高知県 | 高知市 | 733円 | 24.8個 |
09位 | 大阪府 | 大阪市 | 735円 | 23.4個 |
10位 | 三重県 | 津市 | 872円 | 22.8個 |
11位 | 神奈川県 | 横浜市 | 761円 | 22.2個 |
12位 | 愛知県 | 名古屋市 | 772円 | 22.0個 |
13位 | 岡山県 | 岡山市 | 895円 | 21.7個 |
14位 | 奈良県 | 奈良市 | 747円 | 21.5個 |
15位 | 島根県 | 松江市 | 879円 | 20.9個 |
16位 | 東京都 | 東京都区部 | 717円 | 20.3個 |
17位 | 山形県 | 山形市 | 680円 | 19.8個 |
18位 | 静岡県 | 静岡市 | 717円 | 19.6個 |
19位 | 和歌山県 | 和歌山市 | 628円 | 19.5個 |
20位 | 北海道 | 札幌市 | 690円 | 19.5個 |
21位 | 滋賀県 | 大津市 | 708円 | 18.6個 |
22位 | 長野県 | 長野市 | 609円 | 18.0個 |
23位 | 茨城県 | 水戸市 | 721円 | 17.9個 |
24位 | 佐賀県 | 佐賀市 | 593円 | 17.6個 |
25位 | 香川県 | 高松市 | 697円 | 16.8個 |
26位 | 青森県 | 青森市 | 620円 | 16.7個 |
27位 | 栃木県 | 宇都宮市 | 621円 | 16.6個 |
28位 | 兵庫県 | 神戸市 | 548円 | 16.6個 |
29位 | 大分県 | 大分市 | 490円 | 16.6個 |
30位 | 鳥取県 | 鳥取市 | 557円 | 16.5個 |
31位 | 埼玉県 | さいたま市 | 628円 | 16.4個 |
32位 | 徳島県 | 徳島市 | 631円 | 16.0個 |
33位 | 宮城県 | 仙台市 | 470円 | 15.9個 |
34位 | 山梨県 | 甲府市 | 533円 | 15.7個 |
35位 | 岩手県 | 盛岡市 | 528円 | 15.4個 |
36位 | 福島県 | 福島市 | 500円 | 14.7個 |
37位 | 福岡県 | 福岡市 | 551円 | 14.7個 |
38位 | 千葉県 | 千葉市 | 554円 | 14.3個 |
39位 | 山口県 | 山口市 | 469円 | 13.3個 |
40位 | 秋田県 | 秋田市 | 507円 | 13.3個 |
41位 | 愛媛県 | 松山市 | 490円 | 13.3個 |
42位 | 群馬県 | 前橋市 | 518円 | 13.2個 |
43位 | 宮崎県 | 宮崎市 | 466円 | 13.1個 |
44位 | 鹿児島県 | 鹿児島市 | 462円 | 11.6個 |
45位 | 長崎県 | 長崎市 | 432円 | 11.5個 |
46位 | 熊本県 | 熊本市 | 402円 | 9.8個 |
47位 | 沖縄県 | 那覇市 | 438円 | 9.5個 |
出典:地域の入れ物
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