寿司(上)
NO.67
ご飯の中で保存した川魚が寿司の原点
その昔、東南アジア諸国・地域では、川魚を保存する方法は、ご飯の中に塩をまぶした魚を数か月ほど漬け、米飯の自然発酵で魚体を保存していました。食べる時は魚だけ取り出し、ごはんは捨てたと言われています。
この独特の保存法が中国から奈良時代に日本に伝わり、「なれずし」と呼ばれるようになりました。やがて日本では、保存した魚だけでなくごはんも食べるようになり、寿司の原型ができあがったのです。ご飯を捨てるなんてもったいない。いかにも日本人が考えそうなことです。
しかし今の寿司に近づくまでには永い歳月がかかりました。酢が作られるようになったのは、安土桃山時代でした。その酢を利用して酢飯へと発展し、やがて今の寿司につながっていきました。
小型おにぎりから今の寿司に「進化」した
寿司は鮨とも書きますが、ここでは寿司という言葉にしました。江戸時代に巻き寿司やちらし寿司が生まれ、おめでたい席によくでるようになりました。つまりご馳走だったのです。いつの間にか縁起をかついで。寿司と書くようになったとのことです。
「江戸前の寿司」という言葉は、江戸時代に東京湾で獲れた魚をネタにした「握り寿司」が屋台に登場したことから生まれました。屋台の寿司は立ち食いでした。その普及に大きな役割を果たしたのは、花屋興兵衛と言われています。そのころまでに普及していた日本料理の基本である、酢の物・煮物・焼き物・蒸し物・刺身などを寿司飯と一緒に食べる方法を開発したのです。
興兵衛が毎日様々な寿司を売り歩いて資金をため、両国に小さな店を開き「興兵衛ずし」の看板を出したのが、江戸前の寿司の元祖ということです。その頃の寿司は小型のおにぎりくらいあったようです。
この握りでは、多くの寿司ネタを楽しむことができません。握りを3つ4つ食べたらおなかがいっぱい。そこで握りを小さくして、ネタの魚をいろいろ楽しむ寿司に進化していったのでしょう。明治時代から戦後までの長い間に、今の握り寿司に近づいていきました。
江戸時代はコハダとトロは嫌われていた
江戸時代の人々は、コハダを嫌って食べなかったという言い伝えがあります。コハダはコノシロを酢でしめたものですが、コノシロは「この城」の語呂合わせになり、それを食べるのは「この城を食う」となるので忌み嫌ったということから、武士は食べなかったというのです。
寿司の醍醐味は、多くの種類の魚を握りのネタにして楽しむところにあります。生ものだけでなく、酢でしめたり煮たり焼いたりしたネタもあって、非常にバラエティに富んでいます。
カイワレなど、野菜をネタにした寿司もあります。世界中にこんなにも種類を備えた主食料理はないでしょう。しかも人それぞれ好みがあります。寿司屋で注文するネタを見ているだけでも、食べる人の個性が出て楽しくなります。
筆者は青魚が大好物で、一般的に人気のトロやウニなどは好みではなく、注文しません。寿司ネタの王様はトロでしょうか。江戸時代には脂肪の少ない赤みが使われ、トロに当たる部分は捨てられていたそうです。そのころは、赤みのマグロをもっぱらしょう油につける「ヅケ」が握られていたようです。
筆者がよく行く東京・築地の大衆的な寿司屋さんでは、「ブルーシリーズで握ってください」と注文します。これはイワシ・アジ・コハダ・サバ・サンマなど青魚を握ってほしい時に言うもので、この言い方は徐々に広がっているようです。
「光もの」とも呼ばれる青魚には、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が多く含まれています。体にいいだけではく、多くはショウガを薬味に使うので、あっさりした食味になるのです。
EPAには、中性脂肪を減らし動脈硬化を予防する作用があります。DHAは人間の脳には欠くことのできない物質であり、痴ほう症の予防や治療にも役立っていると言われています。青魚が好きなのは、あっさりとした感じがするのに味覚的には脂肪分があるようでおいしく感じるためです。青魚の脂肪成分は高度不飽和脂肪酸と呼ばれて魚肉の表面、皮に浮いているのですが、これが油っこく感じさせるということです。
寿司にまつわる豆知識
寿司は1個、2個と言わないで1貫、2貫と数えます。1貫は分量を表す単位として使われたもので、もともとは1貫で寿司2個だったようですが、いつしか1貫は1個の寿司を表すようになったということです。
寿司につきものなのは、わさびとガリです。わさびには、強い辛みで瞬間的に味覚と嗅覚を麻痺させ、魚の生臭さを感じさせなくする作用があります。ガリは甘酢に漬けたしょうがですが、寿司を食べた後に食べると、ガリの辛味成分が魚の生臭い成分と結びついて臭いを消してくれる作用があるのです。
一つのネタを食べて次のネタへと進むときにガリを食べると、なるほど口の中がすっきりして次のネタが新鮮でおいしく食べられます。またショウガには、細菌の繁殖を抑える作用もあるので、生魚を食べる時にはいいのです。
寿司屋さんで出されるお茶は大きな茶碗に入っていますが、これは、江戸時代に屋台で寿司が出始めたころに、人手が足りない屋台の主人が、一度で済むようにお茶を大きな茶碗に入れて出したのが始まりと言われています。お茶は、寿司を食べた後に口の中に残っている魚の味を洗い流す作用もあるのです。
文:ばばれんせい 絵:みねしまともこ
順位 | 都道府県 | 金額 | 皿数 | |
1位 | 静岡県 | 静岡市 | 9,027円 | 82.1皿 |
2位 | 石川県 | 金沢市 | 8,336円 | 75.8皿 |
3位 | 岐阜県 | 岐阜市 | 8,108円 | 73.7皿 |
4位 | 岡山県 | 岡山市 | 7,476円 | 61.8皿 |
5位 | 大阪府 | 大阪市 | 6,689円 | 58.2皿 |
6位 | 和歌山県 | 和歌山市 | 6,138円 | 55.8皿 |
7位 | 茨城県 | 水戸市 | 6,648円 | 54.9皿 |
8位 | 山梨県 | 甲府市 | 7,516円 | 52.6皿 |
9位 | 長野県 | 長野市 | 5,182円 | 47.1皿 |
10位 | 奈良県 | 奈良市 | 5,108円 | 46.4皿 |
11位 | 大分県 | 大分市 | 5,164円 | 44.5皿 |
12位 | 徳島県 | 徳島市 | 4,291円 | 41.7皿 |
13位 | 高知県 | 高知市 | 6,517円 | 40.7皿 |
14位 | 滋賀県 | 大津市 | 4,404円 | 40.0皿 |
15位 | 岩手県 | 盛岡市 | 4,322円 | 39.3皿 |
16位 | 群馬県 | 前橋市 | 4,170円 | 37.9皿 |
17位 | 福岡県 | 福岡市 | 3,950円 | 37.6皿 |
18位 | 島根県 | 松江市 | 5,521円 | 36.8皿 |
19位 | 山形県 | 山形市 | 5,654円 | 36.7皿 |
20位 | 鳥取県 | 鳥取市 | 5,482円 | 36.5皿 |
21位 | 北海道 | 札幌市 | 7,225円 | 36.5皿 |
22位 | 愛媛県 | 松山市 | 3,790円 | 34.5皿 |
23位 | 宮城県 | 仙台市 | 5,254円 | 34.1皿 |
24位 | 東京都 | 東京都区部 | 5,922円 | 33.6皿 |
25位 | 京都府 | 京都市 | 4,437円 | 32.9皿 |
26位 | 埼玉県 | さいたま市 | 4,467円 | 32.4皿 |
27位 | 熊本県 | 熊本市 | 3,447円 | 31.3皿 |
28位 | 新潟県 | 新潟市 | 4,222円 | 30.6皿 |
29位 | 福島県 | 福島市 | 4,509円 | 29.3皿 |
30位 | 兵庫県 | 神戸市 | 3,036円 | 27.6皿 |
31位 | 佐賀県 | 佐賀市 | 5,664円 | 27.1皿 |
32位 | 長崎県 | 長崎市 | 4,633円 | 27.1皿 |
33位 | 栃木県 | 宇都宮市 | 5,419円 | 27.0皿 |
34位 | 愛知県 | 名古屋市 | 6,637円 | 26.8皿 |
35位 | 千葉県 | 千葉市 | 5,298円 | 26.8皿 |
36位 | 鹿児島県 | 鹿児島市 | 5,738円 | 26.2皿 |
37位 | 神奈川県 | 横浜市 | 5,312円 | 26.0皿 |
38位 | 三重県 | 津市 | 5,570円 | 25.3皿 |
39位 | 宮崎県 | 宮崎市 | 3,748円 | 24.3皿 |
40位 | 秋田県 | 秋田市 | 4,991円 | 23.9皿 |
41位 | 香川県 | 高松市 | 3,855円 | 23.4皿 |
42位 | 福井県 | 福井市 | 7,219円 | 21.9皿 |
43位 | 山口県 | 山口市 | 5,139円 | 19.8皿 |
44位 | 広島県 | 広島市 | 3,962円 | 18.0皿 |
45位 | 富山県 | 富山市 | 5,737円 | 16.3皿 |
46位 | 青森県 | 青森市 | 4,705円 | 15.5皿 |
47位 | 沖縄県 | 那覇市 | 2,536円 | 15.4皿 |
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