食のこばなし

モモ

NO.36

元祖は「桃太郎」の岡山県

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました。
おばあさんが川でせんたくをしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました。

この書き出しで始まる日本の代表的な童話「桃太郎」は、岡山県の民話ですが日本全国に広がった童話であり、知らない人がいないくらい有名な物語です。お腰に付けたきび団子をイヌとキジとサルにあげて子分にすると、いよいよ鬼ヶ島へ、鬼退治へ・・・・・。

この童話のように桃太郎伝説の地である岡山県は、モモの栽培の元祖ともいわれていましたが、いまや福島、山梨県などでも大変おいしいモモが栽培されるようになり、日本は世界有数のおいしいモモの産地国になっています。岡山から出たモモが各地に広がり、そこで多数の品種改良のモモが生産され、甘く果肉が溶けるような食感と香りの三拍子そろったモモが各地で栽培されるようになったのです。

「桃源郷」ってなんだろう

モモの原産地は中央アジアか中国と言われています。日本にはかなり古くから入ってきたようで、「古事記」の中でモモの子が3つ登場して魔よけの力が強調されているそうです。

中国でモモを食べていたとき、モモの果肉は体の中の毒素を除去する力があると聞いたことがあります。一緒にいた中国人たちが、モモは体にいいし女性をきれいにすると言っていました。

「桃源郷」という言葉を聞いたことがあると思います。中国では特にこの言葉がもてはやされています。俗世間から遠く離れた山の奥できれいな山水に囲まれのんびりと農耕をして暮らす理想郷。そこで仙人と同じような心境で毎日暮らせる聖地のような場所ということです。中国の崑崙山(こんろんさん)に行くと「仙桃」と呼ばれるモモがあるそうで、三千年に一度だけ実をつけるモモで、これを食べると不老長寿になると言われているそうです。

アメリカ人の友人がしばらく自宅にホームスティをしていたとき、モモを出したらこれがことのほかおいしい。彼はそのとき英語のpeachは、女性をほめる言葉に使うことがあると解説してくれました。ピンクを帯びた白い果肉は柔らかくジューシーでおいしい。素敵な女性に「あなたはモモのようだ(you are like a peach)」と言うことがあるそうです。

効能は葉や種にも

モモは肌をきれいにし、老化防止の働きをするビタミンCが豊富です。血圧を下げる作用のあるカリウムや食物繊維のペクチンも豊富に含まれているので便秘にも効能があるとのことです。

モモの葉は漢方にも使われています。タンニン、マグネシウム、 カリウムが含まれているので薬理作用があるはずです。日本では古くから夏になるとモモの葉をお風呂に人れる「桃湯」の習慣があったそうです。モモの葉を乾燥させてお風呂に入れると、あせもや湿疹に効果があるとされていました。モモの葉が入手できないので、最近はモモの葉のエキスが入った化粧水や入浴剤が販売されています。

モモの種は中国では桃仁とも言っています。種を割ってみると数個の種が出てきます。これが漢方に使われており、利尿作用があり、下剤やむくみの解消にもいいそうです。モモは果肉だけでなく種にもこのような効能があります。モモがインスリンの働きを良くする成分が含まれていることから、糖尿病や高血糖に悩んでいる人にいい果物という説も出ています。

桃の節句

三月三日のひな祭りは、女の子の成長を祝う伝統行事ですが、このときひな人形と一緒にモモの花や菱餅をお供えして祝います。モモは魔よけになるという言い伝えから、ひな祭りにモモを備えるようになったという説がもっばらです。

モモは女性をきれいにすることや、旧暦の三月初頭はモモの花が真っ盛りでこの世のものとも思えないきれいな世界を作ることからこのように女の子のお祝いになったのかも知れません。

クイズを一つ。

「もももももすももももも」

この意味は分かるでしようか。「桃も桃、スモモも桃」と読み解くのです。子どものころ、よくこの謎かけ言葉で遊びました。

「桃栗三年柿八年、梨の大バカ十三年」という有名な言葉もありました。桃と栗は三年で実をつけるが、梨は十三年もかかるという意味です。確かにモモの木は、大人の背丈くらいになると実をつけるのでビックリしたことがあります。自宅の庭になったモモの実は、小さくて実がかたく、かじってもおいしくなかった思い出があります。

 

文 ばばれんせい 絵 とよだゆき

 

桃の食品成分

桃の生産量の都道府県ランキング(平成30年)

順位 都道府県 収穫量 割合
01位 山梨県 39,400t 34.80%
02位 福島県 24,200t 21.40%
03位 長野県 13,200t 11.70%
04位 山形県 8,070t 7.10%
05位 和歌山県 7,420t 6.60%
06位 岡山県 5,950t 5.30%
07位 新潟県 1,600t 1.40%
08位 香川県 1,120t 1.00%
09位 岐阜県 610t 0.50%
10位 愛媛県 298t 0.30%

出典:地域の入れ物