食のこばなし

ホウレンソウ

NO.41

寒くなるほど甘くなる

ほうれんそうの旬は 、木枯らしが吹き霜の降りる冬で 、寒さが増すほどに柔らかく甘みを増してきます 。特に 滋養を蓄えた赤く色づいた根の部分は甘味があり 、濃い緑の葉と紅色の根は対照的な美観を感じさせます。

ほうれんそうは 、料理法や栄養面で同じ冬の野菜の小松菜とよく比較されます 。小松莱は油揚げや 、ジャコ 、しめじなどとの煮びたしがよくなじみますが 、ほうれんそうはいわば自己主張が強いので 、このような料理は合わないようです 。シンプルなおひたし 、胡麻和えなどが主流であり 、味噌汁の具になることもあります 。

ほうれんそうはなぜか鶏卵と相性が良いようです 。西洋料理ではバターやチーズとの相性も抜群です 。ほうれんそうとベーコン 、キノコの組み合わせは 、黄金トリオとよばれています 。グラタン 、クリーム煮 、キッシュ 、スパゲッテイなどにも良く使われます 。ほうれんそうのビタミンは油に溶け 、吸収されやすいので 、おひたしで食べるより 、ソテーや洋食に 調理される方がいいという人もいます。

 

原産はペルシャです

ほうれんそうと聞くと、筆者の年代で真っ先に 思い出すのは漫画のキャラクターのポパイです 。ピンチに陥ったポパイがほうれんそうの缶詰を食べると 、あっという間に筋肉も りもり のスーパーマンに変身して 、敵をばったばったとなぎ倒す活躍を演じます 。だからほうれんそうと言 えば 、ポパイであり元気の元という連想に 結びついていくのです 。

ほうれんそうは 、緑黄色野菜の王様と言われながら 、子どの食生活ではにんじん 、ピーマンなどと並んであまり好まれない野菜です 。子ども達の関心を引くためにポパイとほうれんそうの組み合わせを考えたという説もあります 。

 

原産は西アジアのペルシャ(イラン )というのが定説です 。ほうれんそうを「 菠薐草」とも書きますが 菠薐とはペルシャのことであり、回 教文化に のって東西に広がりました 。

東洋種は歯切れがよくて比較的淡白ですが 、西洋種は葉がやや厚く切れ込みがなく 、根の色合いも淡いものです 。日本人は東洋種の方が好みに合うようです。

中国では七世紀ころから栽培されるようになり 、日本には十七世紀に中国から伝わりました 。元禄時代には 、「おひたし」が西鶴の小説に 登場します 。

江戸時代は高級野菜として扱われましたが 、明治時代になってアメリカから西洋種が渡来してから 、庶民にも本格的に広がりました 。

筆者はほうれんそうとみつばをあわせたおひたしが大好きですが、美味しさを出すコツはほうれんそう のゆで加減です 。ゆですぎないようにさっと熱湯を通す程度であり 、しゃきっとしたおしたしが出来上がります 。

 

「胃腸のほうき」

ほうれんそうは栄養価が高い野菜の筆頭格です。ビタミンA,ビタミンC,カルシウム、鉄、マグネシウムが豊富であり、葉に含まれているクロロフィルという色素にはコレステロール低下作用があります。

ほうれんそうはあくが強い野菜ですが、アクの正体は蓚(しゅう)酸です。カルシウムの吸収を妨げる成分ですが、茹でることでその作用はなくなるということです。最近は品種改良をして、しゅう酸を少なくしたほうれんそうに人気が出ています。

カルシウムが多いので更年期障害にいい野菜と言われています。カルシウムは骨粗しょう症の予防になるからでしょうか。また食物繊維が多いので、ヨーロッパでは「胃腸のほうき」と呼ばれています。

抗酸化作用のあるカロチノイドの一種「ルテイン」が話題になっていますが、ほうれんそうにも豊富に含まれています。ルテインは緑黄色野菜に多く含まれる色素として働く物質で目の疾患や心臓病にも効果的です。

近年では冷凍技術の進化によって安価で保存がきく生野菜が普及し、外国産のほうれんそうも輸入されています。

 

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

ほうれんそうの食品成分

食品成分データベース (mext.go.jp)

 

ほうれんそうの生産量の都道府県ランキング(平成30年)

順位 都道府県 収穫量 割合
1 千葉県 25,500t 11.20%
2位 埼玉県 24,200t 10.60%
3位 群馬県 21,400t 9.40%
4位 茨城県 17,900t 7.80%
5位 宮崎県 15,700t 6.90%
6位 岐阜県 10,000t 4.40%
7位 福岡県 9,410t 4.10%
8位 神奈川県 8,370t 3.70%
9位 栃木県 6,680t 2.90%
10位 熊本県 6,590t 2.90%
11位 京都府 5,310t 2.30%
12位 愛知県 5,190t 2.30%
13位 北海道 4,920t 2.20%
14位 広島県 4,330t 1.90%
15位 東京都 4,170t 1.80%
16位 徳島県 3,930t 1.70%
17位 兵庫県 3,680t 1.60%
18位 長野県 3,660t 1.60%
19位 岩手県 3,540t 1.60%
20位 奈良県 3,190t 1.40%
21位 宮城県 2,980t 1.30%
22位 福島県 2,920t 1.30%
23位 山口県 1,830t 0.80%
24位 長崎県 1,820t 0.80%
25位 鳥取県 1,620t 0.70%
26位 秋田県 1,460t 0.60%
27位 愛媛県 1,390t 0.60%
28位 滋賀県 1,250t 0.50%
29位 佐賀県 979t 0.40%
30位 福井県 665t 0.30%
31位 富山県 512t 0.20%

出典:地域の入れ物