食のこばなし

ネギ

NO.72

日本人に深くなじんだネギだが子どもは苦手

ネギは、日本人の食生活に最も深くかかわっている野菜の一つです。独特の風味と味わいがあるので、ネギなしのうどん・ソバは考えられないとも言われています。しかし、子どもの間では、ネギを苦手にする子どもも多いのですが、成長するにしたがってネギを受け入れ、やがてネギなしには・・・となるようです。

我が家でパーティをしたときに、下仁田ネギを持参した栄養士がいました。群馬県甘楽郡下仁田町から送られてきた名産です。下仁田地方では江戸時代からネギを栽培するようになったとのことであり、独特のおいしいネギを生産するようになりました。

ネギを丸かじりのラーメン

パーティはちゃんこ鍋だったので早速、鍋の引き立て役に下仁田ネギが登場しました。ところが栄養士はもう一品、下仁田ネギのてんぷらを作りました。ネギのてんぷらなんてあまり食べないものですが、出来上がったものは絶品でした。一口噛むとネギの上品な甘みと一緒にネギ独特のあの風味が口中に広がり、びっくりするほどおいしいてんぷらでした。

東京・荻窪の有名なラーメン屋さんでは、ラーメンと一緒に長さ20センチほどの白ネギを出します。ネギを片手にラーメンを食べながらこのネギを丸かじりするのです。これが大変美味しい。ネギはラーメンの脇役なのですが、存在感があってネギ様という感じです。

マグロとネギを交互に串に通したネギマは筆者の好物です。ネギマはおでん屋さんでも出してくれます。ネギとマグロは非常に相性がいいのでしょう。

 

関東は「白ネギ」関西は「青ネギ」

ネギは、古名を「キ」と言い、「ひともじ」とも呼ばれていました。根を食べる、根を植えることからネギになりました。ユリ科、ネギ属で種類も多く400種類ありますが、わが国には18種類存在します。

原産地は中国、シベリア、アルタイとも言われています。元々は温帯の野菜ですが寒さ、暑さに強く、簡単に採種できることから、日本各地で栽培しているうちに、その時にあった品種が作り出されました。深谷ネギ、九条ネギ、下仁田ネギなどその土地の名がついています。

ネギは、大きく分けて、白ネギと葉ネギに分けられます。下仁田ネギは軟白(葉鞘)部が太いのが特徴で、焼いたり、煮たりすると甘みが増すのが特徴です。

葉ネギは青ネギ、太陽の光を浴びて生長するので、白ネギよりも、葉緑素の多い青ネギのほうが、栄養価に富んでいます。関東は白い部分を食べる白ネギ、関西は「青ネギ」が好まれています。大阪の有名なすき焼き屋さんで出てきたネギはすべて青ネギでした。

ネギの旬は、秋から翌年の春ですが、いまでは1年を通して入手できます。ネギがもっともよく登場するのは薬味です。うどん、そば、ラーメンなどの麺類、冷ややっこ、納豆と合えると、少量加えるだけでも香りや、味のひきしめに役立ち、食欲をそそります。

 

疲労回復、風邪の予防に効果あり

ネギ特有の刺激臭と辛味は、アリル化合物、硫化アリルという成分から出ます。アリシンは、ネギやニンニクなどに含まれるアリインという細胞が傷つけられると、そこにアリイナーゼという酵素が働いて生成されます。

アリシンには強力な抗菌作用があり、細菌による風邪や鼻炎などを予防します。胃や腸の粘膜を刺激し、胃液の分泌を促して、食欲を高めます。また、解毒酵素の働きを活性化して、病気への抵抗力を高める働きもあります。アリシンは体内でビタミンB1と結合するとアリアチミンという物質になります。これは腸からのビタミンB1の吸収効率を高め、たんぱく質の消化を促し、糖類のエネルギー代謝を効率よくおこなうことができます。

日本では、ネギは昔から民間療法に使われていました。風邪をひくとネギを生で食べたり、煎じて飲んだり、ショウガと混ぜて飲むと咳止め、痰を切る作用があると言われてきました。痛みや炎症には、ネギの汗を患部に塗布や湿布します。

ネギの緑色の葉の部分は、ビタミンC、カロチン、鉄などが含まれていて、栄養面では葉緑素を含む青ネギが白ネギを上回ります。動脈硬化を予防し、疲労物質である乳酸を分解するので肩こりや疲労回復にも有効だということです。

アサツキは土中の部分が浅いので「浅いキ」、ワケギは実を結ばないうちに苗を分けることから、「分けたキ」なのでこの名がついたとういうことです。

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

ねぎの食品成分

出典:食品成分データベース

ねぎの生産量の都道府県ランキング(令和3年)

順位
都道府県
収穫量
割合(%)
1 埼玉県 52,400t 11.9
2 千葉県 52,300t 11.9
3 茨城県 52,200t 11.9
4 北海道 21,600t 4.9
5 群馬県 18,400t 4.2
6 長野県 16,500t 3.7
7 大分県 16,300t 3.7
8 秋田県 14,500t 3.3
9 栃木県 12,200t 2.8
10 青森県 11,800t 2.7
11 鳥取県 11,500t 2.6
12 福島県 10,500t 2.4
13 宮城県 9,950t 2.3
14 静岡県 9,780t 2.2
15 新潟県 9,010t 2
16 山形県 8,910t 2
17 広島県 8,250t 1.9
18 神奈川県 8,240t 1.9
19 京都府 8,180t 1.9
20 愛知県 7,440t 1.7
21 岩手県 7,020t 1.6
22 鹿児島県 6,790t 1.5
23 福岡県 6,460t 1.5
24 大阪府 6,120t 1.4
25 熊本県 4,490t 1
26 兵庫県 4,330t 1
27 三重県 4,160t 0.9
28 香川県 3,450t 0.8
29 徳島県 3,170t 0.7
30 奈良県 2,980t 0.7
31 長崎県 2,740t 0.6
32 高知県 2,580t 0.6
33 佐賀県 2,460t 0.6
34 富山県 2,380t 0.5
35 宮崎県 2,300t 0.5
36 岡山県 2,120t 0.5
36 愛媛県 2,120t 0.5
38 島根県 2,050t 0.5
39 福井県 2,040t 0.5
40 岐阜県 1,670t 0.4
41 石川県 941t 0.2
       
       
       
       
       
       

出典:地域のいれもの

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