食のこばなし

ドジョウ

NO.55

夏バテ防止に!

初夏になるとドジョウのシーズンです。昔から精力がつくので夏ばて防止の魚として珍重されてきました。 生命力が強く、水から出しても簡単 には死なない。少年時代、金魚バチでフナやドジョウや金魚を飼っても、最後まで生き残るのがドジョウでした。ドジョウは筆者の大好物です。特に忘れられないのは、札幌市郊外の清流で捕ったドジョウを醤油鍋にして食べたことです。普通、ドジョウは濁った汚い川やどぶ川に等しい水辺や田んほにいるものですが、札幌市の郊外の清流には、石の陰にドジョウが潜んでいました。

体色は、やや緑がかった薄茶色でどぶ川にいるドジョウに比べると品がいい。最初はドジョウではないのかなとよくよく観察しましたが、ロひげが上に三対、下に二対あるのでの確かにドジョウでした。四手網を入れて、勢子になった人が石を蹴り上げてドジョウを追い出すと、面白いように網にかかりました。これをゴボウと一緒に醤油鍋にして食べたらこれが絶品。いくらでも食べられました。ドジョウにはゴボウが相性のいい野菜です。

皮膚でも腸でも呼吸できる!

少年時代の思い出にもうひとつあります。仙台の田舎で育った筆者は、春先の田植え前の水田地帯の用水堀でドジョウを捕りました。水がまだ入らない用水の泥をさくさくと掘り返してみると、そこにドジョウやウナギが潜んでいました。水のない泥の中でも死なないのです。ドジョウの語源は「土中」が濁ったものという説があります。

ドジョウは皮膚でも呼吸するので水がなくても平気なのです。水で飼っているドジョウを見ていると底をはっていたドジョウが定期的に水面に上がってきてはロに空気を含んでまた下りていく。まるで踊っているようにも見えます。土地によっては「踊り子」という粋な名前で呼んでいるそうです。

口に含んだ空気を飲み込んだドジョウは、腸呼吸をしているそうです。魚の中では特異な能力を身につけているのでしょう。精がつくと昔から珍重されたドジョウの秘密がよく分かります。

豆腐の中にかくれんぼ

さてドジョウ料理で一番人気があるのは柳川鍋でしよう。笹掻きゴボウの上に開いたドジョウを並べ、割り下と醤油、みりんなどで味をととのえて、卵とじでできあがり。筆者は開きドジョウよりも、骨まで食べる丸煮鍋が好物です。

こもり豆腐とか地獄鍋という料理があります。豆腐を浮かべた鍋の中にドジョウも一緒に入れて火にかけます。湯がわいてくるとドジョウは熱気から逃げて豆腐の中に潜り込んでしまう。醤油、みりん、砂糖などで調理して食べるものです。

ゴボウやダイコンと一緒にした味噌汁もおいしいドジョウ料理です。昔から強精造血の作用があると言われてきたドジョウの串焼きも有名です。愛知県や金沢地方の名物だそうで、開いたドジョウを串に刺し、たれにつけて丹念に焼いたものですが、臭みがないし独特のドジョウの苦味がたれと溶け合っておいしいということです。

柳川鍋の起源はいろいろ言われています。江戸時代に日本橋の小料理屋の「柳川屋」が始めたという説、本所のうなぎやがはじめたという説、福岡県柳川市で作られたという説などです。

「どぜう」は縁起かつぎ?

田園地帯が農薬で汚染されたために、ドジョウは急激に姿を消しました。最近はやや増えてきているようです。養殖ものや、中国や韓国からの輸入ものが多くなってきています。中国にはドジョウがたくさん生息しているようですが、中国でドジョウ料理というと、ドジョウのから揚げくらいしか記憶にありません。

料理屋さんではドジョウを「どぜう」と書いてありますが、「どじょう」では四文字なって縁起が悪い。そこで「どぜう」と三文字にしたという説があるそうです。

「柳の下のドジョウ」は誰でも知っている有名な警句です。川面に張り出したやなぎの下は、影をおとしていかにもドジョウが潜んでいそうな場所です。こんな場所でドジョウが獲れたからといって、 いつもドジョウがいるわけではないという経験を警句にしたものなのです。

文:ばばれんせい 絵:みねしまともこ

 

どじょうの食品成分

出典:食品成分データベース

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