食のこばなし

トンカツ

NO.62

カツレツからトンカツへと進化

トンカツは日本人の創意工夫で、西洋料理から和食に仕立て上げられた代表的な料理です。英語ではポークカツレツ(pork cutlet)と呼びます。本来は少量の油で焼いたものでした。

Cutletの語源はフランス語のcuteletteだそうで、「肉を薄く切る」という意味だということです。ポークカツレツをつめて日本では単にカツレツと呼ばれるようになり、やがてトンカツと呼ばれるようになったのです。

トンカツを初めて売り出したのは、東京銀座の洋食屋「煉瓦亭」というのが定説で、明治28年(1895年)のことでした。

昭和になってから、元宮内庁大善職の島田信二朗が分厚い豚肉を使った現代風のトンカツを考案します。上野御徒町の「ポンチ軒」で出して評判になったということです。

往時は東京・上野・御徒町・浅草界隈に、おいしいトンカツ屋さんが競い合っていました。トンカツ屋とこの辺を舞台に映画になったこともあり、若い人たちがトンカツの食べ比べでにぎわったこともありました。

西洋風のトンカツ屋は肉を薄めに切り、フライパンにひたひたの油を敷き、パン粉を付けた薄い肉を焼いていました。焼くのを見ていると、フライパンにフタをしていました。焼き上がりはこんがりしていておいしい。トンカツ大好きの筆者は、若いころは2人前食べていました。肉が薄いので2人前でも十分いけたのです。

それがいつの間にか、豚肉に油を吸いやすいように荒削りのパン粉を衣にして、たっぷりの油の中に泳がせて揚げる今のトンカツになっていきました。

そして、トンカツは箸で食べやすいように包丁を入れ、添え物にはキャベツの千切りとカラシ、ウスターソースをアレンジしたトンカツソース、豚汁かシジミ汁におしんことご飯というトンカツ定食が定番になったのです。

 

バリエーション豊富なトンカツ料理

最近は、大根おろしを添え物にしたトンカツもあります。一口カツもあります。トンカツを素材にしたカツ丼、串焼き、カツサンドもあります。日本人の大好物のカレーとトンカツを合わせてぜいたくなカツレツカレーもあります。

トンカツラーメン、トンカツ茶漬けなどもあります。昔ながらの古風な蕎麦屋さんが、カツそばを開発して出したら、これが学生たちに大うけとなり、その店の目玉になったものです。

ご飯の上にトンカツを載せてドミグラスソースをかけた「かつめし」も、なかなかおいしい料理です。名古屋、岐阜方面に行くと味噌カツがあります。トンカツに八丁味噌の甘いたれをかける独特の料理法です。

長野県松本市の飲食店が「松本丼」というのを世に出したこともあります。スタンダードなカツ丼の玉ねぎをゴボウと山芋のせん切りに変えたものでしたが、これはあまり広がらなかったようです。

トンカツはたっぷりの油であげるのでどうしてもカロリーが高くなります。トンカツを食べたいけれどカロリーが気になる人のために、油にひたさず衣の上からバターを塗ってオーブンで焼く方法があるそうです。カロリーカットへの飽くなき工夫でしょうか。

西洋から入ってきたカツレツは、日本人の舌と独自の料理法によって改良されてトンカツとなり、さらにトンカツを食材として様々な料理へと広がっていったのです。トンカツはもはや、日本人の食生活にすっかりなじんだ伝統的な和食と言ってもいいでしょう。

 

栄養価でも優等生のトンカツ

トンカツの材料である豚肉は、主成分がたんぱく質と脂肪で、栄養価は牛肉と比べ、疲労回復、いらいら解消に欠かせないビタミンB1が10倍も含まれています。動脈硬化の予防になるビタミンB2、貧血予防のヘム鉄、美肌効果のナイアシンなども含まれています。ビタミンB群は水溶性なので、煮物やスープにして煮汁も一緒に摂取できる調理法が、効率がいいようです。

中国では紀元前2200年ころから豚を飼育し、食用にしていました。日本で飼育が盛んになったのは、明治以降で、トンカツが普及するまでは牛肉が主流でした。

特に関東大震災後の関東地方では、にわかに養豚ブームが起きました。豚肉の供給が増え、安価になったため、庶民たちにも比較的手の届くものとなりました。トンカツの誕生が、豚肉普及に拍車をかけたのです。関東を中心とする多くの地方で、単に肉と言えば豚肉のことを指すようになっていきました。

文:ばば れんせい 絵:とよだ ゆき

 

カツレツの消費量の都道府県ランキング(令和元年)

順位 都道府県 金額 枚数 順位
1 福井県 福井市 1,426円 4.53枚
2位 山梨県 甲府市 1,096円 3.93枚
3位 栃木県 宇都宮市 967円 3.42枚
4位 富山県 富山市 912円 3.12枚
5位 埼玉県 さいたま市 886円 3.01枚
6位 徳島県 徳島市 910円 3.00枚
7位 鳥取県 鳥取市 785円 3.00枚
8位 宮城県 仙台市 756円 2.90枚
9位 沖縄県 那覇市 995円 2.88枚
10位 長野県 長野市 742円 2.70枚
11位 岩手県 盛岡市 803円 2.69枚
12位 福島県 福島市 922円 2.61枚
13位 東京都 東京都区部 869円 2.59枚
14位 茨城県 水戸市 860円 2.56枚
15位 石川県 金沢市 774円 2.53枚
16位 京都府 京都市 768円 2.48枚
17位 宮崎県 宮崎市 555円 2.46枚
18位 鹿児島県 鹿児島市 730円 2.45枚
19位 長崎県 長崎市 680円 2.44枚
20位 神奈川県 横浜市 780円 2.41枚
21位 千葉県 千葉市 767円 2.39枚
22位 滋賀県 大津市 697円 2.31枚
23位 静岡県 静岡市 808円 2.31枚
24位 群馬県 前橋市 804円 2.28枚
25位 新潟県 新潟市 654円 2.13枚
26位 青森県 青森市 643円 2.12枚
27位 愛知県 名古屋市 662円 2.08枚
28位 三重県 津市 574円 2.08枚
29位 山形県 山形市 641円 2.08枚
30位 秋田県 秋田市 653円 2.04枚
31位 大分県 大分市 511円 2.04枚
32位 佐賀県 佐賀市 518円 1.97枚
33位 高知県 高知市 587円 1.91枚
34位 兵庫県 神戸市 609円 1.87枚
35位 島根県 松江市 530円 1.79枚
36位 和歌山県 和歌山市 532円 1.77枚
37位 愛媛県 松山市 487円 1.76枚
38位 福岡県 福岡市 494円 1.76枚
39位 岐阜県 岐阜市 533円 1.71枚
40位 奈良県 奈良市 495円 1.71枚
41位 香川県 高松市 604円 1.68枚
42位 広島県 広島市 484円 1.68枚
43位 山口県 山口市 509円 1.64枚
44位 北海道 札幌市 462円 1.57枚
45位 大阪府 大阪市 503円 1.52枚
46位 岡山県 岡山市 502円 1.50枚
47位 熊本県 熊本市 453円 1.24枚

出典:地域の入れ物

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