食のこばなし

トウモロコシ

NO.7

 茹で上りは独特の香りで判断

トウモロコシくらい、おいしくなったものはないと思います。日本が戦争で負けて食べるものに事欠いていた時代、トウモロコシはご馳走のひとつでしたが、あのころのトウモロコシは貧弱で、味も甘味もイマイチでした。しかし何もない時代ですから、おいしく食べたのです。それに比べると、いま食べているものは格段においしいものです。

戦時中から戦後にかけて、庭や道路端にトウモロコシを植えている家がほとんどでした。トウモロコシは鮮度が勝負ですから、お湯を沸かしてから収穫して皮をむき、その場ですぐに茹でていました。茹でるコツは塩分です。海水と同じくらい塩分を強くすると、おいしく茹であがると大人たちはよく話をしていました。茹であがりを判断するのは、あの独特の香りです。なんとも言えないあの香りが湯の中から立ちのぼってきたら茹で上がりだと教えてもらったものです。

トウモロコシは、コメ、麦と並ぶ三大穀物です。発祥の地はメキシコの高原あたりと言われ、そこからアメリカ大陸に広がり、コロンブスによってヨーロッパに持ち込まれ、そして全世界へと広がっていきました。

        

 明治初期にスイートコーンが移入

16世紀から17世紀にかけてヨーロッパ全域に広がりアジアには16世紀の初頭にポルトガル人がインドに伝えたのが最初だったそうです。それがチベット経由で中国に広がりましたが日本へは中国からではなくヨーロッパから直接持ち込まれました。

安土桃山時代の天正年間にポルトガル人によって持ち込まれ、ナンバンキビなどと呼ばれ山間部などで栽培されたということです。江戸時代には、ひきもちにして食べていたという記録もあります。本格的に日本で栽培されたのは、明治初年、北海道に移住した屯田兵でした。アメリカからトウモロコシの種子を取り寄せ栽培を始めました。スイートコーンが代表的な種であり、札幌大通り公園などでは醤油で焼いたトウモロコシを売っていますが、あれは北海道の風物詩になっています。北海道ではトウモロコシをトウキビと言いますが、トウキビを原料にしたトウキビ焼酎も珍重されています。

アメリカに行くと、トウモロコシは非常にポピュラーな食物であることを知り、いろいろ調べたことがありました。アメリカ人はポップコーンが大好きです。これがまた食べ始めると止まらない。

映画を観るときはポップコーンがつきものと聞かされたものです。コーンを素材にしたスナックも多数あります。独特の香りを放つウイスキーのバーボンはトウモロコシが原料です。アメリカの土産物屋に行くと、必ずと言っていいほどトウモロコシを素材にした飾りものが置いてあります。各種の籠や人形が代表的でしょうか。幹からは紙や火薬、布がとれるということです。

 家畜飼料としても重要な位置づけ

トウモロコシは糖分が多く、高カロリーです。リン、鉄、ビタミンB1、ナイアシンが多く含まれていますが、アミノ酸はほとんど含まれていません。アメリカの企業が遺伝子組み換えでビタミンEを多量に含むトウモロコシを開発したと報道されたことがありました。ビタミンEは、強い抗酸化作用をもっています。生体内では酸化作用が日常的におこなわれ、代謝病や老化の原因になっていますが、新種のトウモロコシはこうした作用を予防する効果が期待されているようです。

トウモロコシは、人間の食料だけではなく、家畜の飼料としても重要な穀物であり、トウモロコシの収穫量が肉類の価格を制御しているとも言われています。トウモロコシは戦略的な食料種としてアメリカも中国も重要視しているのです。さらにトウモロコシを原料にしたエタノール燃料の生成研究が、世界中で競争をしています。トウモロコシがエネルギー問題の救世主になれるかどうか興味があります。

 

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

トウモロコシ類 ゆでた可食部100gあたりの成分

五訂日本食品標準成分表

 エネルギーkcal  水 分 たんぱく質   脂 質  炭水化物  灰分  飽和脂肪酸  不飽和脂肪酸  コレステロール  食物繊維
 99kcal  75.4g  3.5g  1.7g  18.6g  0.8g 0.26g 1.03g  0  3.1g

 

ビタミン

 カロテン  E K  B1  B2  ナイアシン   B6  葉酸  パントテン酸  C
133mg 1.0mg  0  0.12mg  0.10mg  2.2mg  0.12mg  86mg  0.51mg  6mg

無機質

 ナトリウム  カリウム  カルシウム  マグネシウム  リン  鉄
Tr   290mg  5mg  38mg  100mg  0.8mg

 

トウモロコシの都道部県別収穫量平成30年(2018年)

順位 都道府県 収穫量
1 北海道 83,600t
2 千葉県 17,100t
3 茨城県 15,000t
4 群馬県 11,200t
5 山梨県 8,480t
6 長野県 8,400t
7 埼玉県 7,380t
8 栃木県 5,830t
9 愛知県 5,240t
10 宮崎県 4,350t
11 静岡県 3,980t
12 岩手県 3,170t
13 福島県 2,970t
14 青森県 2,720t
15 宮城県 2,370t
16 徳島県 2,070t
17 香川県 1,210t
18 兵庫県 817t
19 鳥取県 714t

出典:地域の入れ物 https://region-case.com/rank-h30-product-corn/

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