食のこばなし

スイカ

NO.9

「ぴんぴん」「ぽんぽん」「びたびた」

子供のころ夏休みに田舎に行くと、どこの農家でもスイカを作っていました。冷蔵庫がなかった時代、スイカを冷えた井戸水に何時間も浮かべ、冷やして食べたものです。畑でスイカをとるとき、大人たちは手で叩いて選別していました。そのころ教わった選別音は、「ぴんぴん」「ぽんぽん」「びたびた」の三種類でした。

まだ若いスイカは、「ぴんぴん」とやや甲高い音がします。食べごろのスイカが「ぽんぽん」と軽やかでいかにもおいしそうな音を出します。中身が熟して空洞が出来ているスイカは「びたびた」と鈍い感じの音を出します。そんなことを覚えているので、今でもスーパーでスイカを買うときは、思わず手で叩いてしまいます。

スイカの原産地は、アフリカのカラハリ砂漠あたりとする説が有力です。ウリ科の植物であり、キュウリ、メロン、カボチャなどの仲間なのです。4000年前から栽培され、古代エジプト人たちは、スイカのタネを食べていました。タネはたんぱく質やリノール酸が多く、ビタミンB、Eも含まれています。中国ではスイカのタネを漢方に使っています。のどの痛みや止血に効果があるということです。

 

スイカ大好き食べ歩き

また砂漠地帯では、スイカを食べて渇きをいやしていました。スイカは中近東から中央アジアへと広がり、日本へは中国から16世紀に渡来したと言われています。

スイカの漢字表記の「西瓜」は、中国の西域から渡来した瓜という意味でした。江戸時代には水瓜と書いたこともあったようですが、果肉が赤い色をしているので気味悪がり、一般にはあまり食べられませんでした。しかし明治時代になってから西洋種が導入され、在来種、中国種などとの品種改良が進み、いまに伝わる甘くておいしいスイカになっていきました。

筆者はスイカ大好きですから、出張や旅行で行く先々、世界中のスイカを食べてきました。ロシア、中近東、南アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカ、中国など、どこへ行ってもスイカはあるので、この果物は世界中に広がっていることが分かります。味の方は、どこも似たり寄ったりですが、南米やアメリカのバカでかいスイカは、甘味がイマイチという印象を持っています。

 

利尿作用と二日酔いに効く

成分の特長は、果肉の90%は水分であり、英語でもウォーターメロンといわれています。糖分と少量のリンゴ酸、アルギニンを含んでおり、赤い色素はリコピンとカロチンであり、果汁には利尿作用があります。ただし、利尿作用があるのは果肉よりも皮に多いということですが、そう言われても皮を食べるわけにはいかないので、何か工夫が必要です。

スイカの効能は利尿作用のほかには、二日酔いにスイカを食べると早く回復すると言われています。夏の暑い日、海水浴などで遊んでくたびれても、冷たいスイカを食べると甘い果糖が口中に広がり、ことのほかおいしく感じます。果糖はエネルギーへの転換が早いので、疲労回復にもってこいです。このほかの効能としては腎臓病、膀胱炎、肝臓病、高血圧、低血圧などが一般的にあげられていますが、ほかにはむくみ、便秘なんていうのもあります。

 

スイカ食べる県民と食べない県民

富山県の特産、黒部スイカは、ジャンボスイカとして有名です。果重が15キロから20キロにもなります。ラグビーボールのような形をしており、果肉は桃色です。肉質はかたくて繊維が豊富であり、甘味はそれほどでもありません。筆者がよく食べるのは小玉スイカです。これは冷蔵庫に丸ごと入るので便利だし、核家族化した現代はあまり大きなスイカは好まれなくなっているようです。

総務省の家計調査のスイカ消費量によると、2018年に消費量が最も多かったのは新潟県で5,747g、2位は千葉県で5,384g、3位以下は熊本県、鳥取県、大分県でした。一方、最も消費量が少ないのは沖縄県で2,225g、これに山梨県2,352g、以下、宮崎県、福島県、滋賀県などでした。よく食べる県民は、あまり食べない県民よりも倍以上になっているのは、面白いスイカ文化の現象です。

 

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

赤肉種のスイカの果皮及び種子を取り除いた生の果肉100gに含まれる成分量(七訂日本食品標準成分表より)

エネルギー 水分 たんぱく質 脂質 炭水化物 灰分 飽和脂肪酸 不飽和脂肪酸 コレステロール 食物繊維
37kcal 89.6g 0.6g 0.1g 9.5g 0.2g -0.01 -0.05 0 0.3g
ビタミン
カロテン E B1 B2 ナイアシン B6 葉酸 パントテン酸 C  
830μg 0.1mg 0.03mg 0.02mg 0.2mg 0.07mg 3μg 0.22mg 10mg  
無機質
ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン        
1mg 120mg 4mg 11mg 8mg 0.2mg        

 

スイカの生産量ランキング(2018年)

順位 都道府県 収穫量(トン)
1 熊本県 46,900
2 千葉県 41,400
3 山形県 32,400
4 新潟県 17,700
5 長野県 17,500
6 鳥取県 17,400
7 茨城県 16,000
8 石川県 13,000
9 愛知県 12,900
10 秋田県 12,200
11 神奈川県 11,600
12 北海道 10,500
13 青森県 8,230
14 長崎県 7,870
15 静岡県 5,190
16 福井県 3,950
17 愛媛県 3,720
18 鹿児島県 3,270
19 福岡県 2,590
20 和歌山県 2,420
21 兵庫県 2,380
22 奈良県 2,000
23 山口県 1,690
24 滋賀県 1,320
25 岡山県 972
26 岩手県
宮城県
福島県
栃木県
群馬県
埼玉県
東京都
富山県
山梨県
岐阜県
三重県
京都府
大阪府
島根県
広島県
徳島県
香川県
高知県
佐賀県
大分県
宮崎県
沖縄県

 

出典:地域イノベーション入れ物 https://region-case.com/rank-h30-product-water-melon/