食のこばなし

サケ

NO.42

日本民族の食文化をつくったサケ

縄文時代から日本民族の食文化をつくってきたサケが、最近小型化してきているようです。漁獲量が増えても、魚体が小型化すると価格が低迷し、漁業にも影響が出ています。原因は究明されていませんが、気候変動があげられていますがはっきりわからないようです。

サケはかつて日本人がもっとも食べる魚でした。北日本のサケの本場には、昔から多数のサケ料理が残っており、頭から尻尾の先まで、すべて料理して食べる伝統的な料理方法がありました。今は食生活が多様化し、肉料理も増えてきたので、サケ料理は相対的に後退してきました。

太平洋には6種類のサケが生息しており、日本ではカラフトマス、サクラマス、サケの3種類しかいません。ほかにベニザケ、ギンザケ、キングサーモンがいますが、いずれもカナダ、アメリカに生息しているサケです。

サケは昔から貴重な蛋白源であり、日本列島では縄文時代から四国、九州、紀伊半島でもとれました。縄文人の貴重な食料だったのです。

感動するサケの一生

サケは劇的な一生を送ります。北海道や東北地方のサケの孵化場で体調5センチほどまで成長したサケの稚魚は、故郷の川を下って太平洋に出ていきます。大海の荒波の中を稚魚たちは、北太平洋を目指して北上していきます。

アリューション列島からカナダ北部沖の北太平洋を回遊しながら成長したサケたちは、4年目の夏に故郷の川を目指して日本列島に近づき、秋に育った川へ帰ってくるのです。

そして雄雌が協力して湧き水のある川床を探して窪みを作ります。そこにメスが卵を産むと直ぐにオスが寄ってきて精子をかけて受精させ、二匹で協力しあって砂をかけ、やがて一生を終わるのです。

卵は翌年の春になると孵化して稚魚へと育ち、やがて故郷の川を下って太平洋の旅に出るのです。このようなドラマチックな一生を送るサケは、海の魚の中では大スターと言われるほど人間から尊敬され、そして人気があったのです。

サケの生態を学ぶ

サケは水温が10度以下でないと生息できない北の魚です。文明が広がり、日本列島全体の人口が増えていくにしたがって川の水温が上昇し、サケは南の方から生息できなくなり、ついには北日本にだけ生息・回帰するようになったのです。

太平洋の南限は、東京の多摩川です。ここは多いときで27匹のサケが帰ってきました。サケの卵を孵化させ、稚魚を飼育して放流することでサケと川への関心を高め、川の浄化運動をしているグループが、毎年、十万匹の稚魚を放流したので回帰してきたサケでした。いまでも数匹程度は回帰しているのではないかと期待しています。

サケは海から川へ上って一生を終わりますが、子孫が絶えるとサケ漁もできなくなるため、日本ではサケが帰ってくるとそれを捕まえて卵をとり、人口授精をして孵化・稚魚の飼育をしています。北海道の標津町は、サケの本場として有名です。ここには帰ってきたサケが自然産卵するように川を作り、サケたちの生態を観察して楽しむ公園もあります。

輸入サケが主役になる

サケの料理で一番人気は何でしょうか。多分、イクラではないでしょうか。サケの本場では、回帰したサケからある一定量の卵をとると、後はイクラとして料理をします。

イクラは、醤油に漬けたものが一番美味しいと言われています。醤油とみりんとサケを微妙に調節したタレを作り、そこへ漬け込むのですが、それは秘伝のタレとして誰にも教えないと言われています。

サケは秋に戻ってくるので秋味などとも言われ、季節の魚でした。ところが冷凍技術が進歩したために、今ではいつでもスーパーの店頭に並んでいます。しかしいまスーパーで切り身にして売っているサケは、多くがギンザケ、ベニザケや大西洋で獲れたアトランティックサーモンであり輸入品です。カナダ、アメリカでは日本で食べるサケはドックサーモンと呼んで犬のエサにしているくらいです。イクラも食べません。カナダにサケ釣りに行ったとき、釣ったメスのキングサーモンの腹からとったイクラは、海に捨てていました。

ノルウエーなどで獲れるアトランティックサーモンは、程よく脂がのっており、刺身もいいしムニエルやフライなどでも美味しく食べています。

日本では昔から、新巻サケという塩付けにしたサケが珍重されましたが、今は余り人気がなくなってしまいました。サケは時代とともに食文化の花形から脇役へと後退してしまったのです。

文:ばばれんせい 絵:みねしまともこ

 

サケの食品成分

食品成分データベース (mext.go.jp)

鮭(海面)の漁獲量の都道府県ランキング(平成30年)

順位 都道府県 漁獲量 割合
1位 北海道 67,707t 80.60%
2位 岩手県 8,916t 10.60%
3位 青森県 3,945t 4.70%
4位 宮城県 2,305t 2.70%
5位 秋田県 540t 0.60%
6位 新潟県 279t 0.30%
7位 山形県 222t 0.30%
8位 富山県 15t 0.00%
9位 福島県 10t 0.00%
10位 石川県 6t 0.00%
11位 福井県 3t 0.00%
12位 茨城県 2t 0.00%
13位 島根県 0t 0.00%

出典:地域の入れ物

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