キャベツ
NO.97
噛むとおいしくなる千切りキャベツ
トンカツなど揚げ物にはたいてい千切りキャベツが添えられています。よく行く串揚げ屋さんの添え物は、キャベツを刻まないで適当に切ったものが添えられています。それも食べ放題です。キャベツ大好きの筆者は、キャベツを何回もおかわりするので、店主が「まるでウサギのようですね」とひやかすほどです。
トンカツにせん切りキャベツを最初に添えたのは、銀座の洋食屋「煉瓦亭」ということです。牡蠣フライ、コロッケ、エビフライ、串カツなど、揚げ物によくあう野菜なので、せん切りキャベツは欠かせなくなったようです。アクの成分はほとんどなく、水にさらすとシャキッとします。千切りにして水にさらした時のビタミンCの減少率は20%程度ということですから、それほど多くはありません。
生のキャベツは、歯ごたえがあるのでいかにも野菜を食べているという満足感があります。噛むほどにほんのりと甘味が口中に広がってくるのも、キャベツならではの魅力です。
世界最古の野菜
キャベツはアブラナ科の植物で、語源はラテン語のcaput(頭の意味)、和名は玉菜(たまな)、漢名は甘藍(かんらん)と呼ばれています。原産地はヨーロッパの西南部海岸で、自生していたものを改良した世界で最古の野菜です。
日本には、江戸時代の中期に、オランダ船によって長崎に伝えられました。当時はオランダ菜と呼ばれ、観賞用の葉牡丹が作られるなど当初は観賞植物となっていました。
野菜として本格的に栽培されるようになったのは、明治時代以降ということです。寒冷地に適した野菜なので、最初は北海道、東北、長野などで普及しました。明治の終わりころから栽培法や品種が改良されて全国に広がり、やがて日本の主要野菜となりました。
季節によって違いがある
キャベツの品種は300種ほどあります。栽培や収穫の時期から夏秋キャベツ、冬キャベツ(寒玉)、春キャベツの他、形状や色彩の特徴から名付けられたキャベツ類があります。芽キャベツ、グリーンボウル、葉の縮れたちりめん(サボイキャベツ)、紫キャベツ、結球しないで葉が立ち、長楕円形の葉をつけたケールがよく知られています。
夏秋キャベツは甘みがあり、柔らかく、白いのが特徴で、愛知県が代表的な産地です。春キャベツは畑で越冬し、春先に出回るので、「新キャベツ」と呼ばれています。葉が柔らかく、ゆるやかな巻で甘みがたっぷりなのが特徴です。冬キャベツは扁平で巻が硬くしまり、中は白いのが特徴です。
キャベツは肉との相性が良く、豚肉、ソーセージ、ベーコンと共に煮たりスープの具にもなり、鍋物にも使われます。ロールキャベツは代表的です。
キャベツ特有のビタミンU
芽キャベツは、葉の根元に直径2~4cmのわき芽が結球するキャベツです。別名「子持ちらんかん」とも呼ばれ結婚式などに出され、縁起が良い食べ物として人気があります。食物繊維が豊富で、ビタミンCの含有は普通のキャベツの3倍以上と栄養価も高いのです。
ケールは、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンCなどのほか、カロテン、カルシウム、鉄分、カリウム、メラトニンを含みミネラルが豊富です。ジュースにすると、野菜の壊れいやすい成分を効率よく摂取できるので、青汁の材料に使われています。
キャベツに多く含まれているビタミンCは、抗がん作用があり免疫力を高めて、動脈硬化予防にも役立ちます。普段、捨ててしまいがちな外側の緑の濃い葉の部分と、芯にちかいところにビタミンCとU,K、ベータカロテンが多く含まれます。
キャベツ特有のビタミンUは、Ulcer(潰瘍の意)の頭文字Uから名づけられました。粘膜の新陳代謝を活発にして、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防に効果があります。
高脂肪肝ビタミンと呼ばれるイノシトール、アブラナ科の野菜に含まれる、ピリッとする辛味成分のスルフォラファンも含まれます。
スルフォラファンはピロリ菌を殺す作用や、紫外線から目を守る作用もあります。イソチオシアネートやインドール化合物も含まれ、がん細胞を抑える動きがあります
文:ばばれんせい 絵:すなみゆか
都道府県 | 収穫量 | 割合 |
群馬県 | 284,500t | 19.5 |
愛知県 | 268,900t | 18.4 |
千葉県 | 109,600t | 7.5 |
茨城県 | 106,900t | 7.3 |
鹿児島県 | 74,500t | 5.1 |
長野県 | 68,600t | 4.7 |
神奈川県 | 67,700t | 4.6 |
北海道 | 61,700t | 4.2 |
熊本県 | 44,800t | 3.1 |
兵庫県 | 25,800t | 1.8 |
福岡県 | 24,400t | 1.7 |
岩手県 | 24,100t | 1.7 |
静岡県 | 22,000t | 1.5 |
宮崎県 | 21,900t | 1.5 |
埼玉県 | 17,900t | 1.2 |
青森県 | 15,900t | 1.1 |
大分県 | 15,200t | 1 |
岡山県 | 12,700t | 0.9 |
愛媛県 | 11,900t | 0.8 |
三重県 | 11,500t | 0.8 |
広島県 | 11,500t | 0.8 |
長崎県 | 11,400t | 0.8 |
新潟県 | 10,300t | 0.7 |
香川県 | 9,860t | 0.7 |
滋賀県 | 9,840t | 0.7 |
大阪府 | 9,190t | 0.6 |
佐賀県 | 7,970t | 0.5 |
山口県 | 7,470t | 0.5 |
秋田県 | 7,400t | 0.5 |
東京都 | 6,800t | 0.5 |
徳島県 | 6,720t | 0.5 |
京都府 | 6,690t | 0.5 |
宮城県 | 6,330t | 0.4 |
和歌山県 | 6,190t | 0.4 |
島根県 | 5,980t | 0.4 |
福島県 | 5,700t | 0.4 |
栃木県 | 5,470t | 0.4 |
岐阜県 | 5,380t | 0.4 |
沖縄県 | 4,950t | 0.3 |
鳥取県 | 3,760t | 0.3 |
山梨県 | 3,720t | 0.3 |
山形県 | 3,280t | 0.2 |
福井県 | 3,210t | 0.2 |
奈良県 | 2,520t | 0.2 |
富山県 | 2,380t | 0.2 |
高知県 | 2,180t | 0.1 |
石川県 | 1,660t | 0.1 |
出典:地域の入れ物
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