食のこばなし

カンテン(寒天)

NO.47

厳寒の時期に製造する

カンテンは、12月から翌年2月の厳寒期に製造されるので、2月16日を「寒天の日」としています。原料は海藻であり、ほとんどカロリーがありません。腸の中で油や糖分の吸収を妨げるのでダイエット食品として利用されています。

またカンテンを医学の基礎研究に応用したのが、ドイツの細菌学者のローベルト・コッホでした。寒天培地を開発し、最近を人工的に繁殖させて研究する道を開いたのです。

 

偶然の産物だった

トコロテンと寒天は、同じものでしょうか。

テングサを煮て溶かし、型に流し込んで固めるとトコロテンができます。これを乾燥して水分を取り除いたものが寒天なのです。「寒ざらしトコロテン」をちぢめると寒天となります。日本人得意の四文字略語なのでしょうか。

トコロテンは平安時代に唐から渡来したものですが、寒天は日本独自の食品なのです。それは偶然に生まれたものでした。「たべもの起源辞典」(岡田哲編、東京堂出版)によると、江戸前期の万治年間(1658~60年)、参勤交代の途中、京都伏見の旅館に宿泊した薩摩藩主・島津久光は、夕食に出たトコロテン料理を残しました。

旅館でそれを戸外に放置しておいたところ、厳寒の季節だったので夜中の寒さで凍りつきましたが、日中に氷が溶けて乾燥した白い乾物になっていました。

これを煮戻ししたところ、またもトコロテンに戻ってしまったのです。それをかの有名な隠元禅師に見てもらい、寒天と命名されたというのです。

その後、寒天の製造方法が工夫され、冬の寒さが厳しく雨量が少なく乾燥している長野県の諏訪地方の名産として発展するようになりました。寒天の原料になるのは、海藻であり特にテングサ、オゴノリが使われています。今では日本列島沿岸の海藻だけでなく、世界中から様々な海藻が輸入されて寒天が作られるようになりました。

食物繊維の宝庫

日本人が寒天を食べ始めてから約350年も経ちますが、これまで食用にしてきたことは、いかに安全性が高いかという証拠でもあります。世界保健機構(WHO)でも、一日摂取許容量もAI(制限なし)としているくらいです。

寒天のミネラル分は、カルシウムとマグネシウムが主体になっています。海藻の産地と種類によって含有量は違いますが、カルシウムの含有率は0.3%前後、マグネシウムの含有量は0.05から0.2%、鉄は50~90ppmなどとなっています。

寒天の最大の特長は、何と言っても食物繊維が非常に豊富なことです。その含有率は、80%を超えています。ひじき、干ししいたけが約43%、青のりが約38%、コンブ27%などと比べるといかに高いかがお分かりでしょう。しかも寒天は、凝固率が非常に高いので、1リットルの水を固めるのに必要な寒天は10グラムで足りるのです。

食物繊維はというと、名前から布の繊維を思い浮かべますが、寒天は滑らかな食物なのです。イギリスの学者が食物繊維を「人間の消化酵素で消化しきれない植物細胞の構造物質」と定義しました。これをきっかけに食物繊維の研究がいろいろ展開され、その後「非常に消化しにくい高分子化合物で、生理活性を持っている食物」を食物繊維と呼ぶようになりました。

食物繊維は、血となり肉となる栄養素ではありませんが、生体にはきわめて有用な働きをするのです。たとえば動物実験によって、血圧やコレステロールの上昇を抑える効果が確かめられています。寒天には悪玉コレステロールを減少させる効果があります。

大腸がんの抑制や肥満防止にもなる

最近増えている大腸がんの抑制にも寒天は役立っています。日本人の食生活は徐々に植物性たんぱく質や脂肪の多い欧米型になってきていますが、欧米型になると便の量が少なくなります。

大腸に長く滞留するようになると大腸がんを発生させる物質やそれを助ける物質ができた場合、非常に危険になります。しかし食物繊維があるとこうした悪い物質は希釈されて一緒に対外に排泄されてしまいます。

食物繊維を多くとると、胃がその内容物を腸へ送る時間が遅くなるので、腸壁から糖質の摂取に時間がかかり、結果的に血糖値の上昇も抑えてくれます。便秘の解消や肥満防止としても、寒天などの食物繊維は大いに役立っているのです。

寒天は医学などの実験によく使われる培地としても使われています。第二次世界大戦前、寒天は日本の輸出品でしたが、細胞培地として使われるために戦時中は輸出禁止となりました。そのため外国では寒さに頼らない粉末寒天の工業的製法を編み出し、これが今日の主流になっているのです。

文:ばばれんせい 絵:みねしまともこ

 

寒天の食品成分

出典:食品成分データベース

 

寒天の生産額の都道府県ランキング 平成29年(2017年)

順位 都道府県 出荷量 出荷額 割合
1 長野県 2,232t 85.7億円 89.70%
2位 岐阜県 61t 3.5億円 3.60%
3位 東京都 148t 2.4億円 2.50%

出典:地域の入れ物

カテゴリ

あげもの うめ お正月 お祝い お茶 きのこ くだもの ごぼう そば たけのこ たまご たんぱく質 だいこん つくだに とうきび とうもろこし ぶり めでたい もち もも やぶきた茶 りんご アイスクリーム アサリ アスパラ アスパラガス アボカド アユ アントシアニン イカ、ヤリイカ、スルメイカ、軟体動物 イチゴ エダマメ オレンジ カキ カツオ カツレツ カボチャ カレー カレーライス カレー粉 ガーリック キムチ キムチ鍋 クリ グリーン コロッケ コンニャク サクランボ サツマイモ サラダ サンマ シイタケ シメジ スイカ スパイス ソラマメ タイ タコ ターキー ダイズ デザート トコロテン トマト トンカツ ドジョウ ナシ ナス ニンニク ハマグリ ビタミンC ピンク フキ フルーツ ブドウ ブルーベリー ポークカツレツ マクワウリ マロン メロン ライスカレー ルチン レタス レンコン ワカメ ワサビ 七面鳥 二十世紀なし 佃煮 厄除け 味噌 和食 夏野菜 夕張メロン 大根 大豆 寒天 小魚煮 山菜 山葵 干しシイタケ 徳川家康 慶事 揚げ物 新茶 春野菜 果物 枝豆 根菜 桃太郎 梅仕事 横須賀 歴史 海、 海のミルク 海藻 淡水魚 漬物 煉瓦亭 牡蠣 番茶 石垣いちご 納豆 緑色 緑茶 茄子 茶色 菜の花 萌黄色 葉野菜 西洋料理 豆腐 豚肉 醤油 野菜 韓国 食文化 食材 食物繊維 香味野菜 魚、サケ、 魚介 鶏肉 黄色