オリーブオイル
NO.78
地中海地方を代表するオリーブ栽培風景
オリーブオイルのブームです。オリーブオイルの輸入量の推移を見ると、1989年から97年までの8年問で、なんと10倍も伸びました。その伸び率推移は、その後も変わらず2022年のオリーブオイルの輸入金額が388 億4300万円となり過去最高となりました。
こんなに順調に伸びてきたのは、イタリア料理のブームに加えて食用市場が拡大したからです。なぜにオリーブオイルが、 これほどもてているのでしようか。
オリーブの木は、紀元前3000年も前から地中海沿岸の東部地域で、広く栽培されてきました。イタリアやスペインを旅行すると、 日本の水田地帯のようにオリーブ畑が限りなく広がっているのを見ることができます。強い太陽の光、 エメラルドの海をバックにした濃い緑をたたえたオリーブの枝振りは、 地中海地方の代表的な光景です。
オリーブオイルは イタリア料理の土台
古代エジプト時代、 オリーブの木は、知恵と平和の女神とされ、 その木の実からとれたオイルは 「神聖なオイル」として病気や傷をいやすものとして使われてきました。オリーブオイルは、地中海文明とともに発展してきた、食の文化そのものなのです。
友人だった故土屋達彦氏のご紹介で、 本場イタリア料理のコック長にオリーブオイルの話を、うかがったことがありました。日本食のだしは昆布、 かつお節、シイタケの活用が代表的であり、 中国料理のだしはトリとブタをベースにしただしを使います。そのだしに相当するのがイタリア料理ではオリーブオイルということです。
本場では、 ソテーやフライはもちろんのこと、 パスタやピッツアなど小麦粉の生地をこねるとき、必ずオーブオイルを使うといいます。
イタリア料理の土台は、 オリーブーオイル、 ガーリック、 赤唐辛子の三点セットだともうかがいました。赤唐辛子とカーリックがたっぷり入ったオリーブオイルをピッツアにバッパッと振りかけて食べると最高です。
ヘルシー度ナンバーワンの食用油
オリーブオイルは、オリーブの木の果実をすりつぶしてしぼった油です。オリーブの天然100%のジュースとも言われ、バージン・オリーブオイルとも言われています。
これを脱酸、脱臭、脱色などの処理をしたのが精製オリーブオイル、そしてその両方をブレンドしたのがピュア・オリーブオイルです。
深い緑をたたえたとろりとしたエクストラバージン・オリーブオイルをパンにふりかけ、 パセリやミニトマトを載せた「ブルスケッタ」はおつまみに最高です。 イタリアでは、生野菜にそのままかけて食べているということです。
「地中海式ダイエット」という言葉があります。 イタリア、 スペイン、ギリシャ、トルコ、南フランス、北アフリカなどの地中海沿岸に住んでいる人々は、 この地方で採れる穀類、野菜、魚介類、 果実にオリーブオイルを取り合わせた独特の料理を作ってきました。
この料理はまことにヘルシーで、 地中海沿岸の国々では、心臓疾患が少ないそうです。というのもオリーブオイルは不飽和脂肪酸のオレイン酸を多く含み、悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げて動脈硬化を予防するからと言うわけです。
学校給食に出てきたオリーブの実
このほかにもリノール酸、リノレン酸、抗酸化物資をバランスよく含んでいるので老化防止になり、カルシウムなどのミネラル分の吸収を助けたり、胆嚢と胆管の運動を刺激して消化・吸収を促進する役割もあるそうです。内緒で教えてもらったのが便秘対策。毎朝スプーン一杯のオリーブオイルをとると、慢性の便秘によく効くそうです。
オリーブオイルを使った料理やさまざまな味につけたオリーブの実は、ワインにとても合います。とくにオリーブの実の漬けたものは 。ピリ辛あり、古漬け風あり、ばりばりありで、その種類は数十ではきかないでしょう。
戦後、 食料事情が悪かった時代、筆者が通っていた仙台市内の小学校の給食に、よくオリーブの実の漬物が出ました。あのころは何も知らないで食べていました。ただ、タネが大きく、すっぱくておいしくない・・・。子どもたちは「梅干し」と言って我慢して食べていました。食べるものに事欠いていた戦後、占領軍からの配給物資で余っていたオリーブの実を給食に出したものでしょうか。
大人になって初めてあれがオリーブの実の漬物だったと知って感激し、それ以来すっかりオリーブの実のファンになりました。スペインに行ったとき、バルで何十種類もの漬け方を変えたオリーブの実を注文してワインを楽しんだこともありました。
いまでもオリーブの実を食べていると 過ぎ去った少年の日々が忽然とよみがえってくることがあります。
文:ばばれんせい 絵:みねしまともこ
オリーブオイルの食品成分
出典:食品成分データベース
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