食のこばなし

イワシ

NO.63

昭和天皇に食べさせたかったイワシの塩焼き

昭和天皇が崩御する直前、もはや食べることもできない状態でベッドに伏していたとき「イワシの塩焼きが食べたい」と語ったと報道されました。

日本人は縄文時代から栄養価に富む美味しい魚のイワシを食べてきました。昔は「いやし」と呼ばれ、卑しい身分の人たちが食べる魚であり高貴な人は食べなかったと言われています。

そのイワシの塩焼きは、格別おいしい食べ方として古代から伝わってきたのでしょう。イワシを食べたいと漏らした昭和天皇の最期の言葉は、戦後、ろくな食べ物もないとき、イワシの塩焼きが最大のご馳走だったころを思い出させる言葉であり、多くの国民は天皇陛下の言葉に胸が熱くなりました。

昭和天皇にとれたてのイワシを食べさせてあげたかったと思わずにいられませんでした。

300種以上のイワシが大海を遊泳

イワシはニシン科の海水魚で、水深20~70メートルあたりを大群で行動する遊泳能力の高い魚です。日本人は古くから蛋白源としてイワシを摂取していました。イワシは300種以上いますが、日本ではマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ の3種類がよく知られています。

イワシは日本の沿岸から東シナ海に広い漁場があり、全国的に広く分布しています。しかしこのイワシが、数十年単位で大漁のときと不魚を繰り返すことが知られています。

原因については、地球の温暖化、寒冷化にあるとする説、潮のパターンの変動説などがありますが、学術的にはまだ定説はありません。

マイワシは1988年をピークに漁獲が減少しているので、年によって市場の値段が上下に揺れ動いています。 マイワシはからだの体側に七つ星と呼ばれる黒い斑点があります。旬は夏から秋です。鮮度がよいものは目がきれいで、全体が光っていて、身が硬くしまっています。

青魚の中でも調理法が広い魚

イワシは傷みやすく身が柔らかく、金気を嫌う魚ともいわれており指でしごいて簡単におろせます。沢山の細い腹骨がついているので、尾から頭の方向に指で注意深くはずします。尾のほうから中骨を丁寧にはずと、腹骨も一緒にはずれます。

イワシは青魚の代表です。調理の後わずかな時間でも、冷蔵庫に入れて冷やすと、身が引き締まってぐっと美味しくなります。青魚特有の臭みは、ショウガ、梅、味噌、ネギなどを使うと美味しさを引き出します。青魚の中でもアジやサバと比較的すると調理法が広く、応用範囲の多い食材です。

稚魚、幼魚はシラス干やメザシ、ミリン干し、煮干しの材料になります。ウルメイワシ、カタクチイワシは小ぶりなのでメザシに、カタクチイワシの大きなものは、エラブタから口へ抜ける頬刺しにします。煮干のだしをとると、鰹節よりも濃厚な味のだしがとれます。

刺身、ヌ夕、酢の物、ツミレや梅煮などの煮物、塩焼き、天ぶら、フライなど揚げ物にしても美味しく食べられます。欧米から、油漬けにしたオイルサーディンや、イワシを塩蔵したアンチョビなど缶詰にして輸入されてくるイワシ食品もあります。これらは主にサンドイッチ、カナッペの具やサラダ、ピザなどの味付けに使わています。

カルシウム含有量は100g当たり70㎎

イワシはタンパク質、脂肪、・ビタミン類に富み、カルシウム、鉄、亜鉛などミネラルも豊富です。特に脂質は血流を良くして、血栓予防に役に立ちます。

青魚の脂肪は、善玉コレステロールを増やすEPA(エイコサペンタエン酸)、脳の血液循環を良好にするDHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸がたくさん含まれていて調理しても殆ど含有量は変りません。

イワシのカルシウム含有量は100g当たり70㎎あり、カルシウム吸収率に効果的なピタミンDも多く含まれています骨粗鬆症の予防、歯や骨を強くします。

イワシの骨せんべいや、小魚、よく煮込んだものなど骨ごと食べるのが効果的とされ製品化されています。

最近はカルシュウム不足を補うピーナツツ、アーモンドなどのナッツ類と一緒に小袋入りにして、お茶請けや酒のつまみとして好まれています。イワシは生で食べても身体によいのですが、干物にするとさらに栄養価が上ります。

イワシの干物は牛乳3杯分と同じカルシウムが摂取できると言われています。

また、イワシには、ビタミン類、コエンザイムQ10 、タウリン、シスチンが含まれていて 疲労回復、美肌 毛髪の健康、老化防止にも効果的です。栄養価に富んでいることからサプリメントとしても市販されています。

文 ばばれんせい 絵 みねしまともこ

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