食のこばなし

イカ

NO.57

イカ好きの日本人

日本人のイカ好きは世界でも有名で、2008年ころまでは、生鮮魚介類消費量のトップでした。最近は、食の多様性で消費量が減ってきており、2017年の水産白書(水産庁)の生鮮消費統計によると、日本人は1人あたり1年で0.4kgのイカを食べています。 これはサケ、マグロ、ブリ、エビに続くものです。ただし、この数字には、さきいかなど乾燥珍味の消費が含まれていません。イカ、サケ、マグロが日本人の魚介類消費のトップ3ということです。

日本の沿岸で獲れるイカは、年によって豊漁だったり不良だったり波があります。北海道渡鳥半島の西約18キロの日本海に浮かぶ奥尻島の南端に位置する青苗漁港は、かつてイカの基地でした。ここに日本のイカ釣り漁船が集結し、北海道沖合でイカ釣りを競ったものです。

その青苗に行ったとき、帰港してきた釣り漁船の船頭から貰ったイカは、すぐに刺身にしていただきましたが、透明で透き通った肉の食感は忘れられません。鮮度がいいイカは白い身なのかと船頭に聞いたところ「イカは赤くなったり黒くなったり白くなったり。水揚げした後もよく色を変えるんだよ」と言っていました。

イカの塩辛の起こりは奈良時代

イカの塩辛の起こりは奈良時代と言われています。全国各地でさまざまなイカの塩辛の製法が伝えられていますが、富山県地方のイカの黒作り、神奈川県小田原市の麹を入れた塩辛などが有名です。北条市の時代に、獲れ過ぎたイカの処分に困った漬物屋の美濃屋吉兵衛が、麹と塩でイカをつけたところ大変おいしいものになったのが最初だったと言われています。

イカは分類学上、軟体動物に位置します。イカ、タコ、貝類は同じグループで、船形の「イカの甲」や、普通「骨」と呼んでいるペラペラの軟骨のようなものは「貝殻」なのです。市場に出回るイカは、10種類ほどあります。ヤリイカ、スルメイカ、モンゴウイカ、ホタルイカなど人気がありますが、夏から秋はスルメイカ、冬から春にかけてはヤリイカがおいしい季節です。

筆者はイカの塩辛を作るのが得意です。というのも大相撲の関脇まで出世した羽黒花親方のおかみさんから秘伝の塩辛作りを教えてもらったからです。イカをきざんでワタ(肝臓)とかき混ぜて作るのですが、味付けには味噌をほんのちょっぴり入れるところがミソでした。

 

坑内員の命を救ったスルメ

イカの脂肪含有量は2%です。魚介類の脂肪は約5%以上なので低脂肪、低エネルギーなのです。イカにはリン脂質が多く含まれています。コレステロール低下作用や、疲労回復効果のあるタウリンも豊富に含まれています。タウリンはアミノ酸の一種で動脈硬化の予防、インスリン分泌促進作用による糖尿病予防にもなります。また交感神経抑制作用による高血圧の改善や、肝機能の強化も期待できます。さらに、味覚を正常に保つ亜鉛を多く含んでいます。

このように栄養分も豊富なので、イカを干して作ったスルメは貴重な食料として重宝されています。昔、北海道の炭鉱が盛んだったころ、採炭現場にもぐっていく坑内員はスルメを持参していました。事故で坑内に閉じ込められても、スルメをかじって生き延びるという知恵だったのです。実際に炭鉱事故の取材で現場に行ったときに、事故発生から数日後に救出された坑内員は、スルメをかじって飢えをしのいだと言っていました。

スルメはおつまみやおやつによく食べますが、噛めば噛むほど味が良くなり、よく噛むことによって丈夫な歯を作り、脳の刺激にもなると言われています。

 

スペインのイカ墨料理

スペインに旅行したとき、イカ墨のスパゲッティを食べました。イカの風味があっておいしいのですが、口の中と周辺が真黒です。いっしょに食べたカメラマンと向かい合って、鉄漿(おはぐろ)みたいだと言って大笑いしたことがあります。イカ墨には抗がん作用があるという報告もあり、最近はイカ墨入りのパンやお菓子も登場しています。

地中海沿岸の国々では、イカを素材にした料理がいろいろありますが、日本では何といっても刺身の盛り合わせやお寿司、姿焼きなどが定番です。筆者はイカ飯が好きです。もち米とイカの風味がマッチしておいしい。北海道函館本線の森駅で販売しているイカ飯は有名です。

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

イカの食品成分

出典:食品成分データベース

 

いかの漁獲量の都道府県ランキング(平成30年)

順位 都道府県 漁獲量 割合
1 青森県 17,931t 21.50%
2位 北海道 14,877t 17.80%
3位 長崎県 7,036t 8.40%
4位 石川県 5,002t 6.00%
5位 宮城県 4,475t 5.40%
6位 兵庫県 4,316t 5.20%
7位 岩手県 3,900t 4.70%
8位 富山県 3,775t 4.50%
9位 鳥取県 3,216t 3.80%
10位 沖縄県 2,308t 2.80%
11位 島根県 2,237t 2.70%
12位 愛媛県 1,817t 2.20%
13位 山口県 1,750t 2.10%
14位 福井県 1,214t 1.50%
15位 福岡県 1,137t 1.40%
16位 山形県 916t 1.10%
17位 茨城県 866t 1.00%
18位 神奈川県 640t 0.80%
19位 新潟県 636t 0.80%
20位 千葉県 535t 0.60%
21位 佐賀県 516t 0.60%
22位 鹿児島県 495t 0.60%
23位 愛知県 493t 0.60%
24位 大分県 404t 0.50%
25位 徳島県 397t 0.50%
26位 京都府 378t 0.50%
27位 三重県 366t 0.40%
28位 和歌山県 254t 0.30%
29位 福島県 243t 0.30%
30位 熊本県 235t 0.30%
31位 宮崎県 217t 0.30%
32位 香川県 186t 0.20%
33位 静岡県 183t 0.20%
34位 高知県 152t 0.20%
35位 東京都 123t 0.10%
36位 秋田県 111t 0.10%
37位 広島県 106t 0.10%
38位 岡山県 80t 0.10%
39位 大阪府 69t 0.10%
栃木県
群馬県
埼玉県
山梨県
長野県
岐阜県
滋賀県
奈良県

出典:地域の入れ物

データが非公表の都道府県は「X」、事業所がない都道府県は「-」となっています。

 

カテゴリ

あげもの うめ お正月 お祝い お茶 きのこ くだもの ごぼう そば たけのこ たまご たんぱく質 だいこん つくだに とうきび とうもろこし ぶり めでたい もち もも やぶきた茶 りんご アイスクリーム アサリ アスパラ アスパラガス アボカド アントシアニン イカ、ヤリイカ、スルメイカ、軟体動物 イチゴ エダマメ オレンジ カキ カツオ カボチャ カレー カレーライス カレー粉 ガーリック キムチ キムチ鍋 クリ グリーン コロッケ コンニャク サクランボ サツマイモ サラダ サンマ シイタケ シメジ スイカ スパイス ソラマメ タイ タコ ターキー ダイズ デザート トコロテン トマト ドジョウ ナシ ナス ニンニク ハマグリ ビタミンC ピンク フキ フルーツ ブドウ ブルーベリー マロン ライスカレー ルチン レタス レンコン ワカメ ワサビ 七面鳥 二十世紀なし 佃煮 厄除け 味噌 和食 夏野菜 大根 大豆 寒天 小魚煮 山菜 山葵 干しシイタケ 徳川家康 慶事 新茶 春野菜 果物 枝豆 根菜 桃太郎 梅仕事 横須賀 歴史 海、 海のミルク 海藻 淡水魚 漬物 牡蠣 番茶 石垣いちご 納豆 緑色 緑茶 茄子 茶色 菜の花 萌黄色 葉野菜 西洋料理 豆腐 醤油 野菜 韓国 食文化 食材 食物繊維 香味野菜 魚、サケ、 魚介 鶏肉 黄色