食のこばなし

タラ

NO.91

鱈腹(たらふく)食べるタラ

タラは貪欲な魚で、イカ、タコ、などの頭足類、ゴカイなどの多毛類、貝類、カレイ、小魚など、いろいろなものを捕食します。特に産卵期を迎えたタラは食欲旺盛で、身近な生物を片っ端から多食するので、「鱈腹(たらふく)食べる」という当て字が使われるようになりました。

日本近海のタラはマダラ、スケトウダラ、コマイの三種類があり、一般的にタラと呼ばれる場合はマダラを指します。ギンダラは分類上タラ目ではなく、カサゴ目に属した別の仲間です。

マダラは北半球の寒帯、ベーリング海からカリフォルニア州までに広く分布しており、日本では東北地方より北、北海道、宮城県、岩手県が主な産地です。体側にマダラ模様があり、腹部が大きく膨らんでいます。タラの成長は2年で30cm、5年で60cm、10年で1mにもなります。

オスのタラは白子、メスのタラは真子を持っていて、重さが10キロ以上になり、旬は11月から2月です。

群れをなし外海を回遊する「沖鱈」は、身体がスマートですが、回遊せず岩場に住みつく、高齢で太った「根鱈」は水分が多く、身が柔らかいのが特長です。マダラの漁獲量は約5~6万トンで、60%が北海道で水揚げされています。

栄養豊富で料理法も多彩

タラはカルシウムやリンの吸収を高めるビタミンA、骨粗鬆症に効くビタミンDが含まれており、低脂肪で肝油の材料となります。またタラコにはタンパク質2.8%、脂質1.7%で、ビタミンA、ビタミンB2(ナイアシン)が豊富に含まれています。

柔らかい白身は、タラチリ鍋料理がポピュラーですが、味噌汁、煮付け、唐揚げ、バター焼き、フライ、ムニエル、ホイル焼きなど料理法も多彩です。鮮度の良いものは刺身にできますが、「タラは船の上で食え」という言葉があるくらい痛みが極めて早く進む魚で、鮮度が落ちると酵素によって自己融解が進み腐敗臭が出てきます。

タラの旨み成分はトリメチルアミンオキサイド、アンセリン、メチルシチジンなどあっさり系のものが多く含まれています。

かまぼこ、魚肉ソーセージなど加工品としても活躍

身の他にはマダラの精巣(白子)、スケトウダラの卵巣(たらこ)、肝臓は肝油を採取し、胃は韓国料理の食材チャンジャとして重宝されています。

加工品として棒鱈、塩蔵のバカラ、すり身にしてかまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージなどの練り製品などに利用されます。タラの冷凍すり身は、1960年(昭和35年)、北海道水産試験場で冷凍技術が開発され、一段と市場に出回るようになりました。

郷土料理から外国の料理まで幅広く

白子は、マダラやスケトウダラのオスの精巣で、細かいヒダが菊の花のようなので、「菊子」と呼ばれています。クリーミーで旨みが強いので、国産ならポン酢で食べます。筆者の好物の一つです。

秋田では里芋と煮た物を「棒鱈煮」、京都では「芋棒」と呼ばれますが今では一般家庭でつくることはほとんどないようです。マダラの卵巣は真子と呼ばれ、煮付け、醤油漬にします。タラの身も卵巣、白子も地方名はいろいろです。タラが主役の鍋料理は「鱈ちり」、青森の「じゃっぱ汁」、山形の「どんがら汁」など郷土料理がよく知られています。

タラは、欧米人の嫌いな生臭さがないことから、世界中でよく食されている魚のひとつです。フランス、イタリア、スペインではバカラと呼ばれる塩タラをさまざまな料理に使います。

スケトウダラはマダラに比べて体が細長く主に卵巣(タラコ)を取り出します。スケトウダラは200海里問題で漁獲が減り、現在は親魚も卵巣(タラコ)も輸入が増えました。

スケトウダラのことを中国語(ミンタイュ)、韓国語(ミョンテ)、ロシア語(ミンタイ)などそれぞれ近い発音で呼ばれます。内臓を除いたスケトウダラは、棒鱈やすき身として出荷されています。

コマイ(氷下魚)はカンカイとも呼ばれ、体長は約30cm以下と小型で、北海道東部の汽水湖(サロマ湖、ノトロ湖)で漁獲します。特に結氷期に氷に穴を開けて獲るコマイ漁は有名です。干物は噛むほどに上品で淡泊な味がにじみだし、酒の肴として好まれています。

文:ばばれんせい 絵:すなみゆか

  都道府県 漁獲量 割合(%)
1 北海道 207,182t 89.5
2 岩手県 9,048t 3.9
3 青森県 6,972t 3
4 宮城県 5,650t 2.4
5 秋田県 551t 0.2
6 新潟県 550t 0.2
7 石川県 483t 0.2
8 鳥取県 385t 0.2
9 山形県 329t 0.1
10 島根県 118t 0.1
11 福島県 95t 0
12 兵庫県 70t 0
13 福井県 20t 0
14 富山県 14t 0
15 茨城県 3t 0
15 京都府 3t 0
17 神奈川県 2t 0

出典:地域の入れ物

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