食のこばなし

うなぎ

NO.82

土用の丑の日のウナギ

ウナギは昔からおいしく、贅沢な食べ物として珍重されて、今でも値段の高い魚になっています。栄養満点なので、夏ばて防止に食べる習慣があります。「土用の丑の日のウナギ」です。2023年は、7月30日(日)が土用の丑の日です。

土用とは、立夏・立秋・立冬・立春直前の約18日間を言うそうで、中国から伝わった「五行説」が関係しているとのことです。五行とは、世の中のすべてのものは「木・火・土・金・水」の5つの元素から成り立っているという説だそうです。

丑の日とは、日にちを十二支で数えたとき、丑に該当する日のことで、十二支の2番目のことで、土用と重なった日を土用の丑の日と言います。土用の丑の日が特に注目を浴びてきたのは、平賀源内のアイデアからだったそうです。

万葉集にもウナギが登場

江戸時代、ウナギの売上がはかばかしくなかったとき、ウナギ屋さんが平賀源内に相談したところ、「今日は土用の丑の日」と張り紙を出し、夏バテにはウナギを食べるように宣伝せよと教えたようです。栄養満点のウナギを食べて暑さを乗り切ろうという考えは、いまに通じるものでしょう。

ウナギは古今東西、栄養価に富んだ魚として知られていたようで、中国では漢の時代に肺結核にかかった娘をウナギで治したというエピソードが伝わっているそうです。日本人がウナギを食べていたのは、かなり以前からであり、万葉集にも夏痩せにウナギがいいとする戯れ歌がでてくるほどです。

ウナギはレチノールと呼ばれるビタミンAが豊富であり、消化器や呼吸器を強くし、胃腸の病気を予防する働きがあります。ビタミンC、A、B1、B2,D、Eなどの含有量も高く、ミネラル分も多く含まれています。

亜鉛が欠乏すると味覚障害や前立腺肥大などの病気になりますが、ウナギは100グラム当たり0.7ミリグラムもあるので牛乳の9倍の含有量です。またウナギの表面のぬるぬるは、ムコプロティンと呼ばれる糖タンパクの一種で、弱った胃腸の粘膜を保護して消化吸収を助けるということです。脳の働きを活性化するDHA(ドコサヘキサエン酸)は、サケやアジよりも多く含まれています。

 

卵はなんとマリアナ諸島付近

ウナギの生態は謎に包まれています。東京大学海洋研究所などの研究によると、世界中にウナギは18種いるそうで、DNAを鑑定した結果から世界のウナギは、インドネシア・ボルネオ島に生息する熱帯ウナギの一種が祖先であり、そこから世界中に広がったということです。

日本でとれるニホンウナギは、川で捕獲されることが多いのですが、どのウナギも卵を持っていないので、ウナギは産卵しないで繁殖する不思議な魚と思われていました。しかし、その後の研究からニホンウナギの産卵場所が分かりました。

マリアナ諸島の西方海域で捕獲された体調10ミリ前後のウナギの稚魚からこのあたりと分かったのです。日本の河川に生息していたウナギが川を下って海に出て、遠く熱帯の海にまできて卵を産むという事実は本当に信じがたい話です。ここで生まれたウナギは、北赤道海流に乗って西へと移動し、その後北上する黒潮に乗って成長しながら体が透明なシラスウナギに変態した後、台湾、中国、韓国、日本の海岸の河口に接岸し、川を上ると推測されています。

 

明治初期からウナギの養殖が始まる

このシラスウナギから養殖しているのが養殖ウナギです。河口に集まったウナギの稚魚を捕獲して養殖池で育てたのは服部倉次郎であり、明治12年のことでした。エサにカイコのさなぎを与えましたが、この養殖技術はやがて静岡県浜名湖に伝えられ、本格的な浜名湖のウナギ養殖が始まったのです。

ヨーロッパのウナギは頭と眼が大きく、胴回りが太いウナギです。大蛇ではないかと思ったほどです。スウェーデンのストックホルムの市場で売っていたウナギの燻製を買ってきたことがありますが、脂肪分が強くて味はイマイチでした。

ウナギ料理は様々あります。かば焼きをご飯にのせたうな重をはじめ、ひつまぶし、うなたまどんぶり、うざく、うなぎおこわ、うなぎ混ぜご飯などがありますが、筆者の好物は、なんといっても、うな重が一番です。これを食べると確かに栄養が付いた気分になりますから不思議です。

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

うなぎの食品成分

出典:食品成分データベース

うなぎの漁獲量の都道府県ランキング(令和3年)

順位 都道府県 収穫量 割合
1 千葉県 20,500t 11.1
2 茨城県 19,100t 10.3
3 栃木県 15,900t 8.6
4 長野県 12,000t 6.5
5 福島県 11,900t 6.4
6 鳥取県 11,100t 6
7 熊本県 7,920t 4.3
8 大分県 7,770t 4.2
9 福岡県 7,490t 4.1
10 埼玉県 6,470t 3.5
11 新潟県 6,020t 3.3
12 愛知県 4,800t 2.6
13 徳島県 4,360t 2.4
14 群馬県 4,040t 2.2
15 佐賀県 3,900t 2.1
16 神奈川県 3,880t 2.1
17 山口県 2,710t 1.5
18 富山県 2,400t 1.3
19 石川県 2,130t 1.2
20 岐阜県 1,800t 1
21 秋田県 1,670t 0.9
21 広島県 1,670t 0.9
23 東京都 1,620t 0.9
24 宮城県 1,520t 0.8
25 山形県 1,210t 0.7
26 京都府 1,060t 0.6
27 兵庫県 911t 0.5
28 福井県 865t 0.5
29 滋賀県 515t 0.3
30 香川県 397t 0.2

 

出典:地域の入れ物

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