NO.75
ハナカイドウ
6月14日
楊貴妃をたとえる花としてはフヨウ、ビヨウヤナギ、ナシなどがありますが、ハナカイドウ(花海棠)もその一つです。前の夜のお酒に酔った後の眠りから覚めたなまめかしい姿の楊貴妃を見た玄宗皇帝が「海棠(カイドウ)の眠り未だ足らず」と言ったということからのようです。
サクラと同じバラ科の樹木ですが、サクラ属ではなくリンゴ属で、中国的なピンク色の花をつけサクランボあるいは寒緋桜のように可愛く垂れた感じの花は牡丹と並んで中国の人に広く愛されているといいます。
楊貴妃を寵愛し楊一族を重用した唐の玄宗皇帝も、内乱で国が危うくなり、ついに756年6月14日、楊貴妃の殺害を指示せざるを得なくなったとのことです。
このハナカイドウには、“海棠の雨に濡れたる風情”という言葉もあるのですが、これは雨の多い日本でできた言葉なのではないかと思われます。
〇 海棠の雨に愁眉をひらきたる (行方克己)