あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.41

松前桜

5月11日

松前桜「新珠」         

 

松前で作出された桜の説明看板

 

“松前漬け”で有名な松前は、函館から西に約100キロ離れた北海道の最南端に位置していて、かっては松前藩の松前城がありました。司馬遼太郎の『菜の花の沖』にも出てくるように、江戸幕府の蝦夷・北海道支配の拠点であったわけですが、現在は全国屈指の桜の名所でもあります。15ヘクタールの松前公園内には250種1万本の桜が、ゴールデンウィークの頃から1か月間、北国の桜の園となります。

それで、何故、全国屈指の桜の名所になったのか? そこには浅利政俊さんという元小学校教諭の桜研究家の長年にわたる尽力が大きいといわれています。お城の近くの光前寺の境内に樹齢300年といわれる八重の“血脈桜”の保存を進めながら、100を超える新たな桜の品種を作り出されたとのことです。

お城の近くにあった新種の桜のパネルには驚きました。100という桜の新種が何故凄いかというと、日本では(公財)日本花の会の桜図鑑に掲載されている品種が約380種類ですから、およそ四分の1になるわけです。

こうした新種は実生から育てられたものの中から選抜されて、新種になり、その後は接ぎ木などによって増やされていくのでしょう。

津軽海峡を渡った先の北海道の最南端の桜の園、桜好きにはたまらない別天地です。

 

文:椋 周二