あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.1

ソメイヨシノ

4月1日

                    写真はいずれも東京・小金井公園で

 

ソメイヨシノは東京・染井村(今の板橋区)の植木屋が発見し広めたといわれ、奈良の吉野の桜(ヤマザクラ)に匹敵する美しさから、上野公園の桜を調査していた博物学者の藤野寄命(よりなが)氏が明治33(1900)年に名付けたといわれています。

そもそも桜は自家不和合性という特性を持つ樹木の一つで、同じ木あるいは同じ遺伝子を持つ木の花どうしでは受粉することはなく、実生で育てられた新しい木は親の木とは花の色などの性質が異なってくるので、同じ花を咲かせるために接ぎ木や挿し木(多くは接ぎ木)で増やされることになります。つまり、全国のソメイヨシノは一本の原木に由来した単一のクローンであるということになります。ちなみに、ソメイヨシノ自体は野生種であるエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種と言われています。

こうした由来のあるソメイヨシノは、全国各地で公園、学校の校庭、道路沿いに植えられていて、今では桜の代表的な存在ですが、日本全国には何本ぐらいソメイヨシノはあるのか?人間が関与した桜が1200万本ぐらいで、その内ソメイヨシノは1000万本ぐらいという説があります。なんと人が関与した桜の8割強がソメイヨシノということです。

全国の地方公共団体でソメイヨシノをその団体の木・花木に指定しているのは東京都を含めて8つですが、サクラとしている570余の団体のほとんどがソメイヨシノと思われます。

花の時期は3月の下旬頃から4月上旬ごろであり、入学式や入社式の思い出と重なる人は多いのではないでしょうか。

文:椋 周二