あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.74

サクランボ

6月13日

 

サクランボは、一般的にバラ科サクラ亜属(いわゆる「サクラ」)の中で、実が食用になる実桜(樹木)のこと、あるいはその実のことです。そして実桜は、ヨーロッパ系のセイヨウミザクラとアジア系のシナミザクラが代表的なのですが、中国から我が国に入った実桜に「桜桃」という漢字を当てたことから桜桃(おうとう)とも呼ばれています。

太宰治が玉川上水で入水自殺する前に書いた小説「桜桃」に愛人らしき料理屋の女将とサクランボ(桜桃)をつまむことが描写されてたことから、その命日(実際は自殺したのは13日で、遺体が発見されたのが19日)を「桜桃忌(おうとうき)」になったわけです。

食用のサクランボは、世界で1000種類以上と言われていますが、何といっても「佐藤錦」が有名で、味もさることながら艶があって美しいですね。この「佐藤錦」は山形県東根市の篤農家・佐藤栄助さんが1928年ごろ、ナポレオンというセイヨウミザクラをベースに作出したといわれています。サクランボの国内生産の約7割は山形県で、その基盤を作ったのは佐藤栄助さんなのでしょう。そういうことからか、山形県と東根市の花木になっています。

太宰治が亡くなったのは1948年ですから、つまんだサクランボはこの「佐藤錦」だったのかも知れません。

 

〇 桜桃の花みちのべに出羽の国 (角川源義)