あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.109

コルクガシ

7月18日

 

コルクガシはブナ科コナラ属の常緑高木で、日本のコナラやアベマキと同じくドングリの実をつけます。

ワインといえばコルクの栓が欠かせません。コルク栓はほとんどがイベリア半島特産のコルクガシから作られています。

そのイベリア半島の西の端のポルトガル・リスボンの公園で数メートルに成長したコルクガシを見ることが出来ました。実際に触ってみると、コルクの栓のような柔らかくて弾力があり、これでよく倒れずに立っているなと不思議な感じがしたものでした。実は、弾力のある部分はコルクガシの表皮で活動していない細胞からなり、その内側にはカシ類特有の堅い木部があります。堅い木部の外側の樹皮部分がぶ厚くなっていて、それを剥ぎ取って栓などとして活用されるわけです。当然、コルクガシも生き物ですから、樹皮の下には成長する部分の形成層がありますので、それを傷つけないようにして剥ぎ取らなければならず、相当な技術が必要とのことです。剥ぎ取った後は12年ぐらいすると元の状態になるので、また剥ぎ取られ、これを12回ぐらい繰り返すとのことです。

コルクガシを顕微鏡で観察していたイギリスの科学者・フックが細胞構造を発見したといわれています。そのフックは1635年7月18日に生まれました。

ところで、イベリア半島の特産のイベリコ豚は“ドングリを食べて成長する豚”として有名ですが、コルクガシの実も食べて育つのもいるようです。イベリコ豚の生ハムなどをつまみにワインを楽しむときにはコルクガシのことも思い出してください。

 

文:椋 周二