あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.10

カナメモチ

4月10日

垣根や道路の分離帯などによく植えられる木で、常緑低木ですが、材が扇のカナメ(要)に使われることから、カナメモチ(要黐)と名前が付けられたとのことです。4月の上旬頃、新しい芽や葉が出て、真っ赤になることから、アカメモチという別名もあるのですが、これは、葉緑素が十分に形成されていない新芽を紫外線から守るために、色素のためであるといいます。何か人間の赤児に相通じるところがありますね。

また、臭いのきつい白い花が咲きますが、これがソバの花に似ていることからソバノキという別名もあります。

同じモチノキ科でホンモチという木がありますが、この木の樹皮から“鳥モチ(黐)”を作ることができます。子どもの頃、このホンモチの樹皮を小刀で削り取り、土の中でしばらく腐らせて、水で注ぎながら石の上で叩き、鳥モチを作っていました。そうして作った鳥モチでメジロやスズメに似たイナクグリ(稲潜り)と呼んでいた鳥などを捕まえて遊んでいましたが、今ではこの漁法は禁止されているようです。

村上鬼城の俳句に「黐ちるや蟇こもりゐる垣の下」は多分、ホンモチではなく、カナメモチを詠ったものではないかと思います。

文:椋 周二