NO.253
マンサク
12月9日
1995年12月9日に世界遺産(文化遺産)に指定された白川郷・五箇山といえば、合掌造りの民家を想像される人が多いのではないでしょうか。木造茅葺きの大きいものでは4階建てで、2本の丸太を棟で交叉させる叉首(サス)構造と呼ばれるものですが、合掌型の小屋組には金属の釘を使わず、ワラ縄やネソと呼ばれるマンサクの細い枝で縛るとのことです。雪深い飛騨の地で、養蚕を主とした生業を行うスペースを確保するため自然を生かした知恵のひとつですね。
この集落を歩いていて、ひときわ小さい合掌造りの焔硝という火薬の原料の一つを生産していたという建物がありました。なんと、雑草(ヨモギ)、蚕の糞、人尿などから培養して焔硝を作るというエコロジカルな方法で生産していたということです。
歴史的な合掌造りの集落を保存するにはむつかしい問題もあるのでしょうが、是非、後生に引き継いでもらいたい。
その合掌造りに重要な役割を持つマンサクの名前は、”豊年満作”につながることに由来するとか、春になると”まず咲く”ことからとも言われています。日本の固有種でもあるマンサクの花は1月下旬頃から咲きますが、大変ユニークな形をしています。細長い黄色の花びらがちじれた様子は動物的な感じもしますが、よく見ると蕾の時すでに花びらが巻き込まれていて、昔のお祭りなどの露天で売られていた息を吹くと伸びる油紙製のオモチャのようでもあります。