NO.355
ツバキ(白)
3月21日
学名Camelia japonicaが示すように、ツバキは日本原産の木で、日本独自の国字、木偏に「春」という字を当てたように日本の春を代表する花です。
日本を代表する黒澤明監督の作品に三船敏郎主演の映画『椿三十郎』というのがあります。”椿屋敷”に囚われの身となった城代家老を救出すべく隣で待機する若者に合図に使われたのが椿の花。白い椿の花は突撃、赤い椿の花は中止を意味し、白い椿の花が疏水を流れ出て行動が開始されます。椿の花がバサッと落ちるとか、ウグイスの鳴き声とかツバキをモチーフにふんだんに使い、白黒映画にもかかわらず色彩を感じさせる映画でした。
西洋でもツバキは”日本のバラ”として有名であり、デュマの「椿姫」は女主人公が肺を患っており、香りのないツバキを身につけていたからだというのも興味深いです。
ツバキというと一般的に赤色をイメージされる方が多いと思いますが、白色のツバキも控えめな感じもしてなかなかの味わいです。
別名、椿寺と言われる京都・地蔵院に“散り椿”といのがあり、一本の木に白から紅色の花をつけ、花びらも一枚一枚散るという有名なツバキがあります。
岡田准一主演の映画『散り椿』の監督の木村大作さんはなんと黒沢監督の撮影助手だったとのこと。
椿は俳句の季語としても色々使われていますが、正岡子規と河東碧梧桐の子弟の散る椿の句、皆さんはどちらがいいと思いますか。
〇 椿寺の椿の花は散りてこそ (正岡 子規)
〇 赤い椿白い椿と落ちにけり (河東 碧梧桐)