NO.303
キンカン
1月28日
キンカン(金柑)は、日本が鎖国をしていた江戸時代の文政年間の頃、今から約200年前、遠州灘で遭難した中国船を清水港の人が救助し、その乗員からお礼としてもらったキンカンの砂糖漬けの種が発芽して、日本に広まったというユニークな伝わり方をした柑橘類です。
キンカンのど飴として馴染みがありますが、金柑のみを生食で食べた人は少ないのではないでしょうか。大きさはウズラの卵くらいで、秋から冬にかけて真っ黄色の可愛い実となりますが、子どもの頃食べた記憶からだと、皮は薄く少し甘い味がしました。ただ、実自体は酸っぱくて、その中の種は実全体からすると不釣り合いなほど大きかった記憶があります。砂糖漬けしたキンカンの種から発芽したということで不思議な感じがしますが、鳥などに食べられて遠くに運ばれて発芽する樹木も色々あるので、それを人間が保存食にしたことによって新天地が開けたともいえますね。
キンカンの花ことばに「感謝」というのがありますが、遠州灘の遭難船のエピソードがその理由のような気がしますね。
食べ方としては、砂糖漬けの他にジャムにしたり甘露煮にしたりするそうです。
また、金柑は俳句では秋の季語になっていますが、「金柑を煮詰める匂い仏まで」(十亀かずみ)という良い俳句もあります。