NO.362
カヤ
3月28日
美人で名高い小野小町に言い寄る男性も多かったようで、そのひとりの深草少将は100日間通うことを求められたという話はいわゆる“百夜通い(ももがよい)”は有名です。少将が通う回数を小町はカヤの実を繋いで数え、ちょうど99日目の大雪の日に通ったにもかかわらず、雪の中で凍死したと伝えられています。この逸話を題材にした「はねず踊り」が3月第4土、日に京都伏見の「小野随心院」で行われています。この踊りは薄紅色の梅の色である“はねず色”の小袖の少女たちが小町を偲んで躍るとのことです。
この百夜通いの伝承からなのか、この山科・小野の地域には樹齢900年を超すカヤの木をはじめとした巨木がいくつもあるとのことです。
カヤはイチイ科カヤ属に分類され、雌雄異株の常緑高木です。その実は同じ雌雄異株の樹木であるイチョウの実より少し小さい楕円形で、実がなった年は緑色で翌年、褐色になるとのことです。
また、このカヤは最高級品の碁盤の材料となります。
多くの男性を袖にした小町の「花の色は移りにけりないたずらに我が身よにふるながめせしまに」の歌は相当長生きした小町の晩年の作といわれています。