NO.304
アスナロ
1月29日
小説「あすなろ物語」の作者・井上靖が1991年1月29日に没したことにちなんで、1月29日の誕生樹はアスナロ(翌檜)としました。ヒノキとともに木曽五木の一つですが、アスナロとヒノキの関係はちょっとややこしいんです。
分類学上は両方ともヒノキ科で、ヒノキはヒノキ属そしてアスナロはとアスナロ族。アスナロは”明日はヒノキになろう”ということから名付けられてという俗説があるように、なんとなくヒノキの方がアスナロより高級というか、より役に立つというように思われますがそうでもないのです。
アスナロは地域によって色々、名前があって、その代表的な一つが「青森ヒバ」ですが、「ヒノキアスナロ」と呼ばれるアスナロの亜種で、ヒノキのようなアスナロという意味なんでしょうか。この「青森ヒバ」は青森県の県木となっていますが、ヒノキチオールという成分が多いことから、耐水性、抗菌性、消臭効果があり、まな板としては最高級とのことです。ちなみにこのヒノキチオールは名前にもかかわらずヒノキにはほとんどないというから、ややこしいですね。建築材としても檜舞台、ヒノキ風呂とヒノキの方が有名ですが、特に、耐水性や耐久性はヒノキよりもアスナロの方が優れているとのことです。小澤實の俳句「冴返る檜のなかの翌檜(アスヒノキ)」はむしろアスナロの方が優れていると言っているのでしょうか。