Blog食育交歓

2022.4.17 Sun

21世紀構想研究会・第4回食育シンポジウム報告6

テーマ:減塩献立に取り組む学校給食現場 報告6

~その課題と普及・啓発の展開を探る~

ゲスト:井上美香(キッコーマン食品株式会社 プロダクト・マネジャー室しょうゆ・みりんグループ マネジャー)         

香川明夫 減塩については、国民的課題になってきました。スーパーでも最近よく、減塩の商品見かけるようになりました。こういうものがうまく給食にも生かせるのかという視点も含めまして、キッコーマンさまからお話をしていただこうかなと思います。井上様、宜しくお願いします。

しょうゆが国民健康・栄養調査などをしますと、大体食塩分摂取の2割くらいを占めているという報告もございます。しょうゆを長く使っていただくためにも、メーカーとして減塩にはかなり長く取り組んでおります。
我々が減塩しょうゆを取り組みにあたって非常に重要視していることは、続けられるおいしさの追求ということです。減塩をしたら、おいしくなく、給食を残すようでは意味がないということになりますので、いかにおいしくするかということが非常に重要なポイントと考えております。中身のおいしさの進化と、それを支える容器開発というのが、我々の商品開発のテーマとして続いています。減塩しょうゆは歴史が古くて、1965年に東大医学部から、病気の方の減塩のためのおいしいしょうゆができないかという要請を受けまして、開発をしたのがスタートでございます。その後、ご家庭でも使っていただけやすいような容器や中身について調査、開発を続けてきました。

元々は瓶や卓上瓶だったものを、2011年に空気に触れずに密封状態でおいしさが長持ちして、しかも一滴単位で押し出す式で調節が可能な密封ボトルを発売させていただきました。密封ボトルの誕生によって、減塩しょうゆもかなりエポックメイクが起きたと思います。お子さまであっても、こぼしたりドバドバかけてしまったりせずに、少しずつかけていただくこともできますので、おいしさもよりレベルアップが実現できました。

密封ボトルが発売になりましてから、減塩低塩しょうゆやだししょうゆをラインナップに加えました。食塩分が25パーセントカットくらいで、だし入りでどなたでも取り組みやすいような商品から、40パーセント、50パーセント、最近では最高66パーセントカットの減塩しょうゆを発売しております。お客さまにとって必要な食塩分のカット率であったり、おいしさ、味わいであったり、機能性であったり、お好みや用途で選べるラインナップを強化しました。

減塩と書いているとおいしくなさそうだというご意見、いまだに寄せられるのですが、使った方に聞きますと9割くらいの方が普通のしょうゆと変わらないと言います。まさに使えばわかるおいしさというものかと思っております。

今日本で一番使われている減塩しょうゆが、味わいリッチ減塩しょうゆという商品です。食塩40パーセントカットです。非常に味わい深い、コク深い商品です。密封ボトルなので、非常に使いやすいつくりになっています。また、塩分カットにさらにこだわりたい方には、食塩分66パーセントカットの超減塩しょうゆもあります。

ポジティブな減塩プロモーション、コミュニケーションを意識しております。レスソルトという造語から、レスソル・ライフをうたいながら、見た目も楽しそうな、ちょっと作ってみたくなるようなレシピで、食塩分やタンパク、食物繊維、糖質など栄養バランスに配慮した献立を提案をしています。例えば、晴れの日の夜ごはんなどでは、すこし高めに塩分を取ってもらうとか、いろいろな組み合わせができるような各種メニューを提案しております。

ご家庭では、まずつけかけを減塩しょうゆに置き換えてみるのが、一番早い、やりやすい減塩のとっかかりかと思っています。弊社のものだけでなく、他社さまも含めて、減塩の食品は非常にいいものが出てきております。少しレベルアップしてレスソルメニューのような食事をご家庭で試していただきたいと考えております。

業務用サイズということで、給食でご活用いただけるようなボトルタイプを提案しております。1.8リットルや10リットルの大きなサイズで減塩しょうゆがあります。給食の現場の皆さまには、引き続きご提案をしていきたいと思っております。料理酒も無塩タイプのものを使っていただくほうがいいと提案したり、ケチャップ、トマトジュース、なども無塩でおいしいものを提供しております。
これからもおいしく毎日の暮らしで使いやすさを探究しながら、塩分が気になる方も、そうでない方も、健康でおいしい食生活を続けていただけるよう、塩分を控えながらおいしいものを提案し続けていきたいと考えております。

報告7へつづく