食のこばなし

ホタテ

NO.116

大分前の話ですが、筆者がはじめて北海道に行った時、ホタテを見て感激したことを思い出します。石狩浜で、貝殻を付けたホタテをたくさん焚火の網の上に並べて焼いている光景を見た時でした。

熱で二枚貝の蓋を開けると、しょう油をたらしただけのホタテ焼きですが、おいしそうな匂いをまき散らして売っていました。東京近郊では見られない光景だったのです。早速、買って食べましたが、これがたまらなく美味しい。

ホタテは北の貝であり、当時の分布の南限は千葉県とされていました。商業的に見た分布は宮城県までと言われていましたが、温暖気象のいまは、どこが南限になるのか。

 

100㎞も海底を往復する!

北海道ではどこへ行ってもホタテがありました。今は養殖が盛んなのでホタテは珍しくありませんが、当時は天然ホタテが大半だったので、年によって豊漁・不漁ありました。

北海道の南西部の日本海に浮かぶ奥尻島へ行った時、土地の漁師からこんなことを聞きました。「ホタテは奥尻島と寿都(すっつ)を行ったり来たりしている」というのです。寿都とは、北海道本島の日本海側に面する街で、奥尻島からは弓上に位置して100㎞程離れています。奥尻島でホタテが豊漁の時は寿都では不漁で、寿都で豊漁の時は奥尻島では不漁だというのです。そこで、ホタテは奥尻島と寿都の間を往復しているという話が出来上がったようでした。

ホタテは海底にいる貝ですが、どんな方法で移動するのでしょうか。ホタテはあの大きな貝殻を大きな貝柱で開閉し、ジェット式に海水を噴射させその反動で泳ぐのです。ひと吹きで1、2mは移動するそうですから、潮をの流れをうまく利用すれば、100㎞の往復も可能だったかもしれません。

ホタテの名前の由来は、二枚あるうちの片方の貝殻を帆のように立てて海上を滑っていくことを想像して「帆立貝」としたようですが、実際はこのようにジェット推進で海底を移動する貝だったのです。

 

古代からの食料品

ホタテは縄文時代から食料として食べられていました。各地の貝塚からホタテの貝殻が多数発掘されています。また、江戸時代には中国に運ばれて幕府の財源にもなったということです。中国ではホタテの貝柱を「楊貴舌」と言うそうです。その意味は、楊貴妃の舌もうならす美味ということだそうです。本当かどうかは分かりませんが、筆者が懇意にしている中国人に、お土産に何がいいかと聞くと、ホタテの貝柱を所望してきます。

 

日本人に好まれるホタテ

私達がおいしく食べているのは、ホタテの大きな貝殻を自在に開閉しているあの大きな貝柱です。浜でもらったホタテの貝柱をそのまま食べた時、そのやわらかさとほんのり甘い味にはびっくりしたものです。それが火を通すとややかたくなり、濃厚なうま味が出てくるのです。酒とみりんでひと煮たちさせて炊き込むホタテごはんも、漁師の家でご馳走になったのを思い出します。

ホタテは、貝の中でも日本人が最も食べている貝で、次がカキ3番手はアサリのということです。

養殖には稚貝を海にまき散らして育てる地まき養殖と貝殻の耳の部分に穴を空けて吊るして育てる養殖がありますが、自然に近い地まき養殖は味がいいとされています。自由に海底を移動できるので身が引き締まるからです。3年から5年で収穫するまでに育ちます。北海道の噴火湾、青森県の陸奥港などが産地として有名で、産卵期前の3月頃からの旬が一番美味と言われています。

 

良質なたんぱく質食品

ホタテは動脈硬化や高血圧を予防するタウリンや鉄分、亜鉛、カリウム、銅などのミネラルを豊富に含んでいます。タウリンは、胆汁酸の分泌を促進する作用があり、コレステロールの排泄を促進させ、胆石や動脈硬化を予防する効果があるとされています。

また、ホタテの貝柱と貝殻の内側をぐるりと取り巻くようにある外套膜、通称ヒモと呼ばれる部分から出てくるうま味は、グルタミン酸などです。アスパラギン酸、グリシンなどのアミノ酸を多く含んでいます。低脂肪で良質なたんぱく質食品ですからダイエットにもいいでしょう。

浜で漁師から聞いた話では、ホタテにも毒素があることがあるそうです。これはホタテのエサになっているプランクトンが原因であり、下痢性の毒素が中腸線(通称ウロ)に蓄積されるそうで、これを除去すれば何も問題はないそうです。このウロは、貝殻のちょうつがい(靭帯)のすぐ内側にある小さな臓器です。どのホタテにもあるわけではないということでした。

 

18日はホタテの日

ホタテにまつわる記念イベントがあります。ホタテの「ホ」の字は「十」と「八」とに分けられるので、毎月18日は、ホタテの日とされています。また、名産地の陸奥湾の「むつ」は「六」に通じることから、ちょうどホタテが旬でおいしい6月18日に、イベントを開催している町もあります。

文:ばばれんせい 絵:すなみゆか

都道府県 漁獲量 割合
北海道 330176t 99.90%
青森 416t 0.10%
出典:地域の入れ物

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