食のこばなし

ウメ

NO.113

ツユの時期に収穫するウメの実

ツユの時期を迎えると、ウメの収穫期に入ります。ツユは漢字で「梅雨」と書きますが、これは梅の収穫期にちなんで当て字を作ったのでしょうか。

春を告げる最初の便りは梅の開花ですが、それからサクラの時期を過ぎながら、梅の香りが日本列島の各所を覆い、日本の四季の便りをくっきりと映し出していきます。

梅は中国が原産地で、東アジアだけに生育していると言われています。日本へは、今から約1500年前の大和時代に、高僧が中国から梅の木を大和に持ち帰ったという説が一番古いようです。あるいは、青梅を燻製にした漢方薬としてわたってきたという説もあります。

梅は万葉集の和歌にも詠まれており、奈良・平安時代には、貴族が好んで自分の庭に植え、観賞したり薬用に利用していました。梅の効用が次第に分かってきたので、長期保存するため塩漬けが考え出され、梅干しになったのです。

藤原家が実権を握っていた時代、西暦946年から即位した村上天皇は、梅干しで病気を治したと言われ、日本最古の医学書「医心方」にも記録として残っています。

 

風雅な名前が多数ある梅

梅には梅干しなどにする実梅と、観賞用に楽しまれる花梅があります。実の大小、花弁の形、おしべ、めしべの変異も多く、今では400種以上もあると言われています。

昔から高貴な人々に愛されて広がった梅なので、梅の種名もまことに優雅なものが多数あります。

たとえば「桜鏡」「臥竜梅(がりゅうばい)」「黄門枝垂(こうもんしだれ)」「思いの儘(おもいのまま)」「開運梅」「寒衣」などです。

梅干しの名産地の和歌山では、元禄二年(1689)ごろから梅の大量栽培に乗り出し、農家の副業として梅干しを作り始めました。

最初は高貴な階層から始まった梅の鑑賞と梅干の賞味や薬用への利用ですが、江戸時代には幕府が梅の栽培を一般庶民にも奨励したこともあって普及し、梅干し売りが声を張り上げながら、街を売り歩いたということです。

お弁当のご飯の真ん中に梅干しを一つ入れたものを、「日の丸弁当」と言います。国旗の日の丸の部分が梅干し、白地がご飯という見立てです。日本が貧しかった時代、梅干し一個でお弁当を食べたものでした。

明治十年から二十年代にかけて、全国的にコレラや赤痢が流行しました。このときには、梅干しが治療と予防で利用されました。

感染症の治療や予防にも使われたように、梅干しには殺菌、抗菌作用があるので、梅干しを弁当に入れておくと食べ物が痛まないという効能もあるのです。

 

昔からたくさんある梅干し健康法

梅干を思い出したり見ただけで、唾液が出てくるので、昔から梅干しは食欲昂進剤として利用されてきました。

唾液が出るとその中には老化防止のホルモンが含まれており、骨や歯などの組織の新陳代謝を助けるとされています。また唾液にはがん抑制成分が含まれていると報告されています

梅干しには、免疫細胞のマクロファージの働きを活性化するという報告もあります。

梅の成分は、クエン酸、リンゴ酸など有機酸が豊富であり、カルシウム、リン、鉄分が豊富に含まれています。人間の体は弱アルカリ性に保たれていますが、梅や梅干しは強力なアルカリ食品なのです。

肉を食べると酸性になって内臓の機能が衰えることがありますが、そういう時には梅干しがバランスをとってくれると言われています。

体が酸性になるといらいらがこうじたり、神経が過敏になってとかく周囲に迷惑をかけるものです。肩こりも体が酸性になると出るとも言われています。美味しいお茶を頂くという健康法があります。「食卓に梅干しがあると家には病人なし」などとも言われてきました。

そんなこともあって、梅干しは昔から「三毒を断ち、その日の難を逃れる」という言い伝えがあります。

三毒とは食べ物の毒、血液の毒、水の毒です。梅の成分であるクエン酸が抗菌、解毒の作用があり、ピクリン酸が肝機能を活性化させて血液の浄化に大きな役割をするからです。

梅林の梅を鑑賞しながら、梅の知識のうんちくを傾けましょう。

梅の収穫時期は6月~7月が目安とされています。 早いところでは5月下旬ごろから始まるそう。 梅の花が咲くのは2月~5月上旬で、その後に実がなり、熟していきます。 梅が有名な和歌山県では、青梅の収穫は6月初旬頃から始まり、黄色い梅の収穫は6月下旬頃から始まるのが一般的。

都道府県 出荷量
和歌山県 61,000t 63.9
群馬県 5,520t 5.8
福井県 1,730t 1.8
山梨県 1,650t 1.7
神奈川県 1,420t 1.5
青森県 1,440t 1.5
三重県 1,460t 1.5
宮城県 1,260t 1.3
大分県 1,100t 1.2
長野県 1,120t 1.2
茨城県 985t 1
奈良県 991t 1
栃木県 817t 0.9
埼玉県 867t 0.9
福岡県 758t 0.8
広島県 771t 0.8
愛知県 786t 0.8
福島県 804t 0.8
静岡県 689t 0.7
徳島県 451t 0.5
千葉県 523t 0.5
出典:地域の入れ物

 

 

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