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第9回は給食甲子園OGゆみ先輩が選んだ北海道の松本夕子先生のアピールシートです。

北海道美唄市学校給食センター 栄養教諭 松本夕子先生

好きなたべもの:ペペロンチーノ、アイスクリーム

休日の過ごし方:アウトドア(キャンプ)

献立 ごはん、牛乳、アスパラの豚肉巻き、三色あえ、どさんこ汁

アピールポイントAの「献立のねらいと工夫」のまとめ方にパッと目に留まりました。大半の方が応募献立の食材や料理に焦点をあてたアピール文の書き方をされる中、松本先生は、献立(料理)ではなく、「何を伝えたいか・何を大事にしているか」毎に分けて書いていますね。このカテゴリーは、応募献立以外の時も常に意識しておられるのですか?(アピールシートをクリックすると大きくなります)

はい、この4つの観点「地域理解の促進」「栄養価の向上」「食育の推進」「地域経済の発展と向上」は私の中で当たり前になっていて、毎日の給食、一日一日にその思いを込めて献立を考えています。もちろんこれらは栄養教諭としての職務「給食管理」「食に関する指導」があった上での4つの観点です。

私も過去何度も応募経験があり、いざ書こう思うとアピールシートへの書き表し方が難しく、悩むことがありました。そうですね。観点を頭に置いて、献立につなげていくという書き方もありますね。その中でひとつ、「地域経済の発展と向上」を考えているのに少し驚きました。こちらの観点は大きすぎませんか?

ここでは、地域の農産物や特産品を学校給食に取り入れ、継続した活用をすることで、生産者や関係団体等に持続可能な農業等への支援につなげ、さらに地域経済の活性化を図ることをねらいとしています。
決して大きなことを書いたのではなく、私は、まちづくりの中に学校給食があるという考えを持っています。学校給食は地方自治体の予算が多分に使われています。それを考えると、地域とひとつになることで、学校給食も地域活性化の一翼を担えると思っています。だからこそ、自分がまちづくりの一員なんだという思いを持って献立作成に取り組むようにしています。

なるほど。それにはまわりの理解を得ることも必要になってくると思いますが、献立作成・給食の提供以外に地域に向けて何か取り組んでおられますか?例えばそれはどんな形で?

地域の方が参会する会議の場で、毎日の給食づくりのことや、学校給食の教育的意義、課題も含めた現状と取り組み、そして、学校給食に対しての自分の思いを知っていただくようにしています。わかりやすさを考え、4つの観点を明確に示しながら話をすることで、保護者の方はもちろん、学校給食からは長らく遠ざかっていた農家の方や行政の方々からの理解を得ることができ、協力体制が今まで以上に深まり、学校給食だけでなく自分への距離も近くなったと感じています。

アピールポイントBは美唄市特産のグリーンアスパラの食育授業でJAと連携して行った実践ですね。

学校給食を通して培わせたい目標を考え、栄養教諭とJAびばいとが連携し、それぞれの専門性を生かした学習を進めました。この授業を行ったことで、地域愛だけでなく、地域食材への理解と関心が高まったと感じています。

松本先生はICT活用が得意で、QRコードやchatGPT等もいろんな場面で積極的に取り入れていると伺いました。食育授業での動画にAIの自分をしゃべらせたりもしているそうですね。子どもたちが食い入るように動画を見つめる姿が想像できます。
 
松本先生のアピールシートは、ご自身の信念を観点ごとに分けて広義に表現されたことで、献立のねらいや工夫に奥行きを感じることができます。給食、食材、生産者、関係団体との地域との深いつながりを意識し、持続可能な学校給食のあり方を考える基盤となっており、その信念が日々の給食に込められ、地域への貢献にもつながっていることがよく伝わってきました。今後も、その確固たる柱のもとで、素晴らしい献立と食育につながる活動が広がることを期待しています。

9回にわたりお届けしてまいりました「みんなに伝えたいアピールシート」が無事終了しました。
7月1日から、全国学校給食甲子園の応募受付がスタートします。記念すべき第20回大会を迎え、応募用紙のアピールシートを作成するときは、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
今大会も全国の栄養教諭、学校栄養職員の先生方からのたくさんのご応募をお待ちしております。