あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.29

メタセコイア

4月29日

 

三木茂博士が、岐阜・和歌山でセコイアに似た植物を化石で発見し、1941(昭和16)年に学会発表をした後の1945(昭和20)年、鄭氏が中国四川省の磨力渓で発見し、翌年そのことが米国に報告されたということです。

中国から自ら苗・種を持ち帰ったチェイニー博士は三木博士が化石で発見したことを後で知り、“植物学における世紀の事件だ”として驚き、日本へ種などを提供したいとして、日本へ入ってきました。

チェイニー博士は、特に植物学に造詣が深くロンドン・リンネ協会の名誉会員でもあった昭和天皇へ是非、寄贈したいということで、昭和24年に吹上御所に植えられました。昭和天皇は“米国と中国と日本とを結ぶ協力”による成果は誠に喜ばしいと『皇居の植物』の中で述べられています。

このメタセコイアはその後も日本各地で植樹されていて、大阪・花博記念公園や滋賀・マキノ高原など威風堂々とした並木を形成しています。地方自治体の木としては唯一、愛媛県伊予市の木に指定されていますが、これは埋もれ木として見つけられたものがメタセコイアと認定されたことによるものです。

チェイニー博士はメタセコイアにDrawn(曙) Redwood(赤杉)と英名をつけたことから、「あけぼのすぎ」とも呼ばれています。昭和62年の歌会始で天皇は、「わが国のたちなほり来し年年にあけぼのすぎの木はのびにけり」と詠まれました。植物に造詣の深い昭和天皇の誕生日は平成で「みどりの日」となった。法律改正で2007年から「昭和の日」の祝日になっています。

文:椋 周二