食のこばなし

ごぼう

NO.37

日本人に深くしみついたゴボウと油揚げ

1970年代の後半、筆者はソ連科学アカデミーの招待でたびたびソ連を取材で訪問しました。そのころ米ソ冷戦時代の真っ只中にあり、プレジネフ政権のもっとも安定していた時代でしたが、計画経済が行き詰まり、極端なもの不足に陥っていました。

特に冬になると野菜がなくなってしまい、ジャガイモ、ニンジン、タマネギはあるが、青い野菜が何もなくなるのです。それでソ連に行くときはいつも、現地の特派員に懇願されてダンボールに青い野菜をぎっしり詰めこみ、何箱も運びこみました。入国する際の税関のチェックはものすごく厳しい国でしたが、なぜか野菜だけはノーチェックで通関できたのです。

野菜を運ぶときには、あらかじめ東京から電話で特派員たちの希望を聞きます。ホウレンソウ、ネギ、ハクサイ、セロリ、シュンギクなどと一緒に必すゴボウをあげてくるのです。それから野菜ではありませんが油揚げも必ず入っていました。ゴボウも油揚げも、日本人の味覚に深くしみついた日本食の文化であることを知りました。

ゴボウは確かに独特の風味と香りのある日本を代表する根菜です。地中海沿岸、西アジア、シベリア、中国など広く分布していますが、食用として栽培しているのは日本だけなのです。日本へは平安時代に中国を経て伝わったとされています。主な産地は、茨城、千葉、群馬、埼玉などで9月から収穫が始まるということです。ゴボウの料理法は関東と関西ではやや異なります。そのせいか関東では太いゴボウが好まれ、関西では細めのゴボウが好まれるということです。

食材に何でも利用する中国料理でも、ゴボウだけは食べたことがありません。漢方には利用されているそうで、解熱、解毒、咳を鎮める効能があるということです。

キンピラと鍋物に

これからは鍋物の季節になりますが、多くの鍋物にはゴボウは是非ものです。沸騰して立ち上ってくる湯気とともに、ゴボウの風味あるにおいが広がると鍋が引き立ち、おいしさが倍加するのです。

ゴボウはセルロース、リグニンなど食物繊維を多く含んでいるので整腸作用もあるし、コレステロールを抑えて動脈硬化も予防します。もちろんがんの予防にも役立つそうです。昔から、便秘になったらキンピラゴボウが良く効くと言われてきました。それは油が食物繊維によくなじみ、便のすべりがよくなるからと言われれています。

キンピラゴボウのキンピラは「金平」と書いて、金平浄瑠璃の主人公の名ということです。この金平さんは、ことのほか強くて勇ましい男だったので、この金平の名を冠して強いもの、丈夫なもの、立派なものなどの意味を託しました。それがなぜかゴボウにかぶせて使うようになり、しかもこの言葉だけが現代まで残ったのです。ゴボウは精力増強になるから、キンピラがついたという話も伝わっています。

このほかゴボウには、ビタミン、ミネラル、利尿作用のあるカリウム、性ホルモンの分泌に役立つアルギニンも含まれています。血糖値を急激に上昇するのを防ぐ作用もあるそうですから、糖尿病の予防にも役立つのです。

おすすめは天ぷらと酢ゴボウ

ゴボウは泥つきの方が鮮度を保つとされています。また皮の下に栄養分があるので、皮はむかすにこそげ落として調理するといということです。筆者の好物はゴボウの天ぶらです。これは西日本の方がよく食べられているようで、長崎で天ぷらうどんを注文したら、ゴボウ天がのってきたので嬉しくなったことがあります。博多にも「ゴボウ天うどん」があるそうです。

筆者がよく作る簡単ゴボウ料理があります。酢ゴボウですが、まず太めのゴボウを小指程度に切りそろえ、ゆがいて取り出し、包丁の背でたたいて割れ目を作ります。次にだし汁に砂糖と醤油を少々入れ、香ばしくいった白ゴマをすり込み、これに酢を入れ、最後にゴボウをあわせて出来上がり。おいしいですよ。

 

文:ばばれんせい 絵:とよだゆき

 

ごぼうの食品成分

ごぼうの生産量の都道府県ランキング(平成30年)

順位 都道府県 収穫量 割合
01位 青森県 49,600t 36.70%
02位 茨城県 14,300t 10.60%
03位 北海道 13,500t 10.00%
04位 宮崎県 8,450t 6.20%
05位 千葉県 7,730t 5.70%
06位 群馬県 7,550t 5.60%
07位 鹿児島県 5,960t 4.40%
08位 栃木県 4,940t 3.70%
09位 熊本県 3,450t 2.50%

出典:地域の入れ物

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