食のこばなし

たまご

NO.5

 日本人の卵好き

世界の中で日本人は、メキシコに次いで卵を食べている国民です。国際鶏卵委員会の2017年次統計によると、メキシコでは1人・年間に363個、日本は333個食べているということです(別添参照)。

これは意外です。欧米を旅行すると、あちらの食事やケーキ類には卵がたくさん使われているように思っていました。欧米人は体も大きいので、食べる量が違う。ロシアに取材で行ったときに、同行したロシア人が朝の食事の目玉焼きに、いつも4つも注文しているのにびっくりして見ていました。こちらは1個なのに・・・。

日本人は卵を生食するのでも有名です。この話をすると、大抵の外国人は顔をしかめます。お刺身の食文化がない外国では、魚を生で食べることにも抵抗感を持つ人が少なくありません。

「生で卵を食べる? どうやって食べるんだい?」

この質問には、すき焼きをご馳走することが回答になるわけです。

生食するのは日本人である証拠

さて卵の生食ですが、好きな卵料理は何? と言われても料理と言えるかどうかですが、広島県福山市の養鶏総合企業の株式会社アキタで、アンケート調査した結果があります。

トップはすき焼きを卵につけて食べること、2位が納豆に卵、3位はご飯に卵、4位はとろろに卵、5位が麺類に卵という取り合わせでした。筆者はどれもこれも好物です。

戦後間もない貧乏な時代に育った子供のころは、アツアツのご飯に卵をかけて食べるのはぜいたくでした。農業をしている同級生の家に行くと、ニワトリを飼っていましたが、卵は家で食べないで市場に出荷していました。農家の人たちも、卵はぜいたく食品でした。栄養価に富んだ卵は、病気になると食べられるのが楽しみにでもありました。ああ、病気になりたい。卵をもらう病人を見て、そう思ったものです。

卵は物価の優等生ということも聞きます。長い間あまり値上がりしていません。飼育されているニワトリの数は、養鶏業の進歩によって年々増えているため、卵の消費量が増えても効率のいい飼育によって価格は安定しているからでしょう。ただし、最近は独自の飼料を与えて付加価値の高い卵を生産し、やや高めの値段で市場に出す養鶏場も出てきており、卵にこだわる日本人の一面を見せています。

              

 知ってますか、卵の知識

卵は身近な食品ですが、案外、卵の知識は知られていないと言われています。たとえば、卵の色、赤い卵と白い卵の栄養価は違うのでしょうか。この色の違いは、ニワトリの種類の差によるもので、一般的に羽毛の色が褐色のニワトリからは赤い卵が生まれ、白い羽毛のニワトリからは白い卵が生まれます。だから栄養価の差はないようです。

卵の大小にはどんな差があるのでしょうか。スーパーで売っている卵のL玉、M玉は、重量によって定めているもので、農水省が決めている取引規格によって選別されたものです。しかし中身の卵黄の大きさは、ほとんど差がなく、卵白が多いか少ないかという差になっているそうです。だから筆者は小玉しか買いません。卵白、嫌いだから。

卵のパックに貼ってある賞味期限。この意味も案外知られていないようです。賞味期限が過ぎたら捨てるというのはもったいない。これはあくまで生食できる期限と言う意味でした。だから賞味期限が過ぎても、加熱調理をすると食べられるのです。

 

能力アップや肝臓保護

一般社団法人日本養鶏協会によると卵は能力をアップするそうです。記憶力をスムーズにする、集中力・注意力を高める、理解力・判断力・思考力がフル作動する、感情のバランスをコントロールするなどの効能があるということです。理由は、アミノ酸、レシチン、ビタミンB群が豊富にあるからです。卵と組み合わせて取りたい栄養成分としてブドウ糖、DHA、各種ビタミン・ミネラルをあげており、バランスをとった食事で能力アップを目指しましょう。

卵は肝臓をアルコールから守るという話を聞いたことがあります。調べてみるとこれは本当でした。肝臓でアルコールを分解するのですが、このときにメチオニンというアミノ酸が必要です。このメチオニンが卵には多量に含まれています。卵100グラムあたり400ミリグラムも含まれているのです。他の食品に比べるとずば抜けて高い数値でした。

ビタミンB2も肝臓でアルコールを分解するときに必要ですが、これも卵には多く含まれています。お酒を飲むときは、卵料理がいいのかも知れません。 学校給食でも、卵は重要な食材です。食中毒防止に過敏になりすぎて、卵が給食から消えないようがんばりましょう。

ドイツ人に聞いた話。「卵とジャガイモさえあれば、人間は死なない」。なぜという質問に、「第2次世界大戦で敵に食糧遮断で包囲された住民は、ジャガイモと飼っている鶏の卵でしのいで生き延びた」ということでした。

                                                            文・ばばれんせい え・とよだゆき

 

1人当たり年間の鶏卵消費量(殻付換算、2017年)

順位 個数
1 メキシコ 363
2 日本 333
3 中国 307
4 ロシア 305
5 アルゼンチン 280
6 コロンビア 279
7 アメリカ 276
8 カザフスタン 268
9 スペイン 267
10 ニュージーランド 246

出展:IEC(国際鶏卵委員会)2017年次統計

 

鶏卵の成分(五訂日本食品標準成分表)と卵1個あたりの栄養素摂取比率は次のサイトにあります。

http://www.mac.or.jp/mail/170601/img/02_hyo02v2.pdf

 
   

1人年間何個の卵を食べているか(2019年)

順位 都道府県 個数
1 新潟県 207.2個
2 奈良県 184.5個
3 鹿児島県 182.1個
4 福島県 178.5個
5 佐賀県 177.5個
6 高知県 170.5個
7 長崎県 170.0個
8 大分県 167.9個
9 福井県 167.7個
10 和歌山県 167.3個
11 秋田県 164.4個
12 茨城県 158.8個
13 熊本県 158.5個
14 北海道 158.1個
15 沖縄県 158.1個
16 山口県 157.9個
17 長野県 156.0個
18 福岡県 155.2個
19 岐阜県 154.7個
20 鳥取県 154.7個
21 兵庫県 151.2個
全国平均 149.1個
22 青森県 147.1個
23 広島県 145.4個
24 神奈川県 143.8個
25 愛媛県 143.5個
26 栃木県 143.0個
27 島根県 142.8個
28 京都府 142.7個
29 宮城県 141.7個
30 東京都 141.7個
31 群馬県 138.5個
32 宮崎県 138.4個
33 徳島県 137.8個
34 埼玉県 137.5個
35 大阪府 137.0個
36 石川県 136.8個
37 滋賀県 135.7個
38 香川県 135.6個
39 山形県 132.1個
40 三重県 130.9個
41 愛知県 130.8個
42 静岡県 129.2個
43 山梨県 124.7個
44 富山県 124.3個
45 岩手県 121.9個
46 千葉県 115.1個
47 岡山県 107.7個

出典:地域の入れ物 https://region-case.com/rank-h29-egg/