メロン
NO.61
北海道の大地が育てる夕張メロン
北海道夕張市に古生物の取材に行ったことがあります。夕張市周辺は、今から数千年前の地層が地上に露出しており、数千万年前の哺乳類や爬虫類の化石が出土するので有名でした。そのとき初めて夕張メロンを知りました。
取材先で出された赤い果肉のメロンは、甘みがあっておいしい。なぜ寒い北海道でメロンが取れるのか不思議でした。地元の人に聞いてみると、タネまきはまだ雪が深い1月に始まるということです。それから5月の初出荷にかけて丹念に育てていくのです。
昼夜の温度差が大きく地温が上昇しやすく、水はけのいい火山灰地が甘いメロンを育成するということでした。
専門書で調べてみると、夕張メロンは固定の雑種を交配したもので、代々品種改良が進みカロチン臭が少なく糖度の高いものになっていったということです。
日本人は縄文時代から食べていた
メロンはウリ科キュウリ属で、キウリ、スイカ、カボチャ、ヘチマなどの仲間です。子どもたちの好きなフルーツのランキングでは、イチゴ、ブドウに続き、メロンが第3位にあげられる人気の高い果物です。
原産地は北アフリカといわれています。日本では古くから食べられていたようで、縄文時代の遺跡から種が見つかっています。縄文人も食べていたのです。
種類も多く、品種改良が進み、産地名のついたメロンがたくさんあります。主な生産地は茨城、熊本、北海道です。
メロンの品種は温室メロン、ハウスメロン、露地メロンに分けられます。温室メロンはネットメロンが主体です。
メロンの栄養成分は、ビタミン類とカリウム、カルシウム、食物繊維を多く含みます。ビタミンB6が体内で働くにはビタミンB2が必要です。ビタミンB2が豊富な食べ物は卵、ハム、肉・魚類であり、こうした食事の後にデザートとしてメロンを食べるのが理想的です。
メロンは生ハムとの相性が抜群で、生ハムの余分な塩分を排泄する効果があります。
メロンのタネのあるワタの部分には、アデノシン成分が多く含まれており、動脈硬化や脳卒中の予防に効果的です。露地栽培のメロンはハウスメロンに比べてビタミンCやカロチンを多く含みます。
メロン通とは・・・?
メロンの仲間のマクワウリは、昭和30年頃(1950年代)まではスイカと共に夏を代表するフルーツでした。マクワウリは、岐阜県の真桑村から付いたようです。
マクワウリと西洋のスペインメロン(シャランテ)を交配させた品種が、昭和37年に市場に出てきてメロンで、なんとプリンスメロンと名づけられました。当時の皇太子御成婚にちなんで付けられた名前でした。
いま全盛のマスクメロンは、ムスク(麝香)香料の語源から名づけられました。特徴は独特の網目模様です。成長するときには皮の硬いのに大きくなろうとするため、ひび割れを起こしそうになります。それを、メロンが自力で塞ぐときに出来るコルク層が網目になるそうです。
食べごろの見分けは、花落ちる部分を軽く押してみて、窪むようならいいようです。全体的に黄色を帯びてきたら食べごろとも言います。こうなったら3時間くらい前に冷蔵庫に入れ、冷やしていただきます。
まだ熟していないメロンは冷蔵庫に入れず、常温で熟します。最近は食べごろの日づけがついているので便利です。
贈答用の高級メロンの審査に通らなったメロンは、ネットの目があらかったり、蔓が折れていたり、カタチが少しゆがんでいるなどちょっと外見の悪いものがあります。値段は安くなりますがおいしさは変わらないので、これを食べるのをメロン通と言うそうです。
疲労回復に効果的です
メロンは食欲のない時、熱があるときなど、喉の渇きを抑え食欲も増進させ、そのうえ利尿効果も期待できます。果糖、ショ糖、ブドウ糖が主成分で、吸収が速く即効性のエネルギー減になります。夏バテや疲労回復にも効果的です。
大振りで日持ちがよく、安価なので業務用途には利用しやすいので普及してきました。農産物の品種改良は、世界でも日本人のきめ細かさはトップであり、メロンはその代表的な果実になっています。
文:ばばれんせい 絵:とよだゆき
メロンの食品成分
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 茨城県 | 40,200t | 26.30% |
2位 | 熊本県 | 22,100t | 14.50% |
3位 | 北海道 | 21,700t | 14.20% |
4位 | 山形県 | 11,000t | 7.20% |
5位 | 青森県 | 9,710t | 6.40% |
6位 | 愛知県 | 8,480t | 5.50% |
7位 | 千葉県 | 7,340t | 4.80% |
8位 | 静岡県 | 7,290t | 4.80% |
9位 | 秋田県 | 3,330t | 2.20% |
10位 | 鳥取県 | 1,340t | 0.90% |
11位 | 福井県 | 767t | 0.50% |
12位 | 石川県 | 387t | 0.30% |
13位 | 岡山県 | 215t | 0.10% |
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