食のこばなし

ミカン

NO.107

品種改良で甘い果物を実現

日本の果物は美味しくて品質がいい。10年ほど前に中国人から聞いた言葉です。たしかに、ミカンを始めリンゴ、ナツミカン、ナシ、イチゴ、サクランボ、ブドウなど、どれもこれも以前に比べて甘みが増しています。筆者はその中でも、ミカンが最も甘くなったように感じています。袋をつぶすと糖分で指先がべたつくようなミカンが出回っています。

日本人は創意工夫に優れた民族であり、その腕はもの作りで発揮されてきましたが、農作物の品種改良でも世界で例を見ないくらい素晴らしい品種を改良してきました。筆者が子供のころのミカンは、皮が堅く、小粒で味も今ほど甘くなく、すっぱいと感じるのが普通でした。

ミカンの中でも皮が柔らかいのは甘みがあるので、ミカン箱から選ぶときは、甘味のあるミカンを取り上げることを競ったものです。酸味は甘さを減退させます。酸味を抑えると甘みが増すことになり、品種改良や栽培方法の改良で、ずいぶん酸味を抑えたミカンが出てきたようです。ミカンのあの独特の香りは健康的ですが、いまでは香りをかいだだけで甘さを連想するぐらいです。奈良時代からミカンがあった

ミカンの原産地は東南アジア一帯と言われており、日本にも古くから入ってきました。ミカンは蜜柑と書きますが、この記述は奈良時代の「日本書紀」にも出ています。平安中期の「和名抄」には「橘は蜜柑なり」という記述があるそうです。

江戸時代のミカンは、紀州ミカンが代表的であり、紀伊国屋文左衛門が嵐の中を紀州から命がけでミカンを満載した船を江戸まで運んで大もうけしたのは、この品種でした。紀州ミカンは香りがあるのですが、果実には5、6粒の種子があり、小粒でもあったために江戸時代から明治時代になるころには、ウンシュウミカン(温州ミカン)にとって代わられるようになったのです。

 

肌がきれいになる

ミカンの酸味はクエン酸であり、甘味はショ糖、果糖、ブドウ糖などの糖類です。ビタミンCが豊富に含まれており、カロチンやビタミンEも含まれています。カルシウム、ビタミンP(フラボノイド)、b-クリプトキサンチンなども含まれています。

ビタミンCはコラーゲンの生成を促進して肌を美しく保ち、ストレス解消にも役立っているようです。フラボノイドは動脈硬化や脳卒中を予防し、b-クリプトキサンチンは、発がん抑制に効果があるとされています。

ミカンのビタミンCは実より皮の方に4~5倍も多く含まれているそうで、筆者は皮ごと食べる人を知っています。真似をして食べてみるのですが、どうにもまずいので筆者の好みではありません。

ミカンの皮を利用した生薬をご存じの方も多いと思います。皮を陰干しにして乾燥させたものを陳皮(ちんぴ)と呼んでいます。風邪を引いてノドが痛い時には陳皮を熱湯に入れ、成分が出たところに蜂蜜をたらして熱いうちに飲みます。のどの痛みを抑えたり、咳止めになったり、食欲増進にも効き目があります。陳皮と一緒にショウガを入れるのもいいそうです。漢方では健胃剤として用いられています。

陳皮をお風呂に入れて入ると香りを楽しめると同時に、血行が良くなると言われており、湯ざめもしないそうです。お湯の中で陳皮で肌を磨くとお肌がすべすべするということです。

 

鏡餅には「ダイダイ」を

お正月の鏡餅の上にはダイダイ(橙)をのせますが、ダイダイがないときはミカンで済ますこともあります。ダイダイは「代々」に通じるので、子孫繁栄と長寿を祝うためにのせる縁起ものなのです。

「ミカンが黄色くなると医者が青くなる」という言い伝えがあります。ミカンが黄色に色ずくころには、秋たけなわであり食欲もあるし、健康保持にいい季節になるので、医者にかかる人が少なくなるという意味の様です。

文:ばばれんせい 絵:すなみゆか

都道府県 収穫量 割合%
和歌山県 152,500t 22.4
愛媛県 109,300t 16
静岡県 103,000t 15.1
熊本県 75,000t 11
長崎県 40,400t 5.9
佐賀県 38,900t 5.7
愛知県 24,200t 3.5
福岡県 17,600t 2.6
広島県 16,400t 2.4
三重県 15,300t 2.2
神奈川県 12,600t 1.8
大阪府 12,500t 1.8
香川県 10,000t 1.5
大分県 9,860t 1.4
鹿児島県 9,700t 1.4
徳島県 9,060t 1.3
宮崎県 6,940t 1
山口県 6,590t 1
高知県 5,560t 0.8
千葉県 1,010t 0.1
出典:地域の入れ物

 

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