食のこばなし

マグロ

NO.110

世界一のマグロ大好き国民

日本人は世界一のマグロ好きの国民です。特に寿司で食べるトロ、中トロ、赤身が人気です。筆者は上等な赤身マグロが好物であり、特にヅケが大好きです。マグロの身を醤油漬けにしたものを「ヅケ」と呼んでいます。軟らかい肉質の中からマグロの香りがほんのりと伝わり、寿司めしと微妙に絡み合ってうまみが口中に広がります。

日本は、世界で生産されるマグロの3分の1の消費国と言われており、その大部分は刺身です。マグロは刺身、鮨だね、ネギトロ、鉄火丼、などの生食以外に、照り焼き、カマや眼の周辺は塩焼き、煮付け、炙りトロ、マグロのステーキなどに調理されて食卓に上ります。加工品では「ツナ」、「シーチキン」と呼ばれるサラダオイル漬けの缶詰が市販されています。

マグロは腐敗しやすいので、江戸時代は「ズケ」を握りずしのネタとして使われたのが普及の走りという説があります。脂身の「トロ」も江戸時代には不人気でした。赤身に比べ劣化しやすい脂身は、切り捨てられるか、「ネギマ鍋」にして食べられていました。トロに人気が出たのは戦後からです。

 

最高速度は160kmの回遊魚

マグロは、スズキ目サバ科マグロ属の大型回遊魚です。日本の近海をはじめ世界各地に分布しています。マグロの種類はクロマグロ、キハダマグロ、メバチ、ミナミマグロなどがあります。産卵のため、あるいは餌を求めて大洋を回遊します。クロマグロやビンナガなどは太平洋を横断するといいます。単にマグロといえば、クロマグロ(本マグロ)を指します。流線的な体形で高速遊泳に適し、遊泳力があり、スピードが速く時速60km、最高時速は160kmにも及びます。

クロマグロは台湾近海で生まれ、サバ、サンマ、イワシ、イカなどを食べて急速に成長します。成長により名前が変り、生後1年まで(20kg以下)をメジナ、生後2~5年(20kg~40kg)くらいを中房、それ以上のものをマグロと呼びます。最大級のものは体長3m、重さ350kgになります。

 

マグロの美味しさの秘密

魚の旨みはアミノ酸とイノシン酸から出ます。水揚げしたマグロはすぐその場でエラ、ワタを取りマイナス50度以下の船内冷凍で冷凍します。解凍時に色も変わらず、遠洋で獲ったマグロを3ヶ月から半年後に市場に出しても問題ありません。冷凍マグロの場合、解凍時に熟成が進みうまみ成分のイノシン酸が増えます。アミノ酸には、アラニン、タウリン、ヒスチジンが多く、旨みとコクがあり、結合組織が少なく身が柔らかいのもマグロの美味しさの一因です。

人気の高いトロは、表皮に近い部分になります。スジが少なく、脂が最も乗った部分がおいしいのです。脂質含有量は赤身が10%、脂身(トロ)が40%前後です。最近はマグロの完全養殖によって、全身がトロというマグロも作られるようになりました。日本では近畿大学水産研究所がクロマグロの完全養殖を達成しています。

カジキマグロはカジキ科の魚で刺身の材料になり、マグロの代用品として扱われます。クロマグロは秋から冬、キハダマグロは夏から秋がおいしい時期です。DHAやEPA、タウリン、鉄分などを含み、女性は特に積極的に食べたい食材です。女性の好きなアボカドとの相性も抜群です。

総務省の家計調査からの都道府県別マグロ消費量ランキングをみると、マグロ消費量の多いのは太平洋側の県で、最も多いのは静岡県の全国平均のほぼ2倍の消費量。次いで山梨、群馬、栃木と「海なし県」が続いています。

最も少ないのは長崎県、続いて島根、福岡、大分、佐賀県と続いています。少ない県は全国平均の3分の1程度です。マグロを食べない地方は、その代わりにタイを食べているそうです。

「東のマグロ西のタイ」という言葉があるそうですから、食の習慣と伝統は面白いものです。

文:ばばれんせい 絵:すなみゆか

くろまぐろの養殖ランキング
  都道府県 漁獲量 割合
  宮城県 19,600t 16
  静岡県 18,901t 15.5
  高知県 12,102t 9.9
  宮崎県 10,426t 8.5
  鹿児島県 7,203t 5.9
  沖縄県 6,549t 5.4
  岩手県 5,883t 4.8
  神奈川県 5,712t 4.7
  三重県 5,679t 4.6
  東京都 4,869t 4
  長崎県 4,175t 3.4
  青森県 4,214t 3.4
  富山県 3,417t 2.8
  新潟県 2,771t 2.3
  鳥取県 2,794t 2.3
  福島県 2,130t 1.7
  大分県 1,070t 0.9
  和歌山県 851t 0.7
  愛媛県 696t 0.6
  徳島県 713t 0.6
  茨城県 582t 0.5
  北海道 336t 0.3
  島根県 427t 0.3
  山口県 244t 0.2
  石川県 292t 0.2
  千葉県 301t 0.2
  京都府 101t 0.1
  秋田県 63t 0.1
  福井県 80t 0.1
  出典:地域の入れ物

カテゴリ

DHA EPA βカロチン あげもの あずき あんころ餅 うなぎ うめ おかゆ おでん お正月 お祝い お茶 きのこ くだもの こんぶ ごぼう さといも すし そうめん そば たけのこ たまご たら 魚 たんぱく質 だいこん ちくわ ちらし寿司 つくだに つみれ とうきび とうふ とうもろこし なれずし はんぺん ふぐ ぶり めでたい もち もも やぶきた茶 りんご アイスクリーム アサリ アジ アジのタタキ アジスターゼ アスコルピナーゼ アスパラ アスパラガス アボカド アミノ酸 アミラーゼ アユ アリシン アルコール アワビ アントシアニン イカ、ヤリイカ、スルメイカ、軟体動物 イソチオシアネート イタリア イチゴ イナゴ イワシ インゲン エダマメ エビ エリー・メチニコフ オクラ オリーブ オリーブオイル オレンジ カキ カツオ カツサンド カツレツ カブ カボス カボチャ カレー カレーライス カレー粉 ガーリック キウイ キハダマグロ キムチ キムチ鍋 キャベツ クリ クロマグロ グリーン グリーンピース コロッケ コンニャク ゴルゴンゾーラ ゴールド サクランボ サツマイモ サラダ サンドイッチ サンマ シイタケ シジミ シソ シメジ ジャガイモ ジュンサイ スイカ スダチ スティルトン スナップエンドウ スパイス スパゲッティ スルフォラファン セリ科 セロリ ソラマメ ソーセージ タイ タウリン タクワン タコ タマネギ ターキー ダイズ チーズ ツタンカーメン デザート トコロテン トマト トンカツ ドジョウ ナシ ナス ナズナ ニシン ニンジン ニンニク ネギ ネギトロ ハチの子 ハマグリ ハヤシライス バナナ パスタ ビタミン ビタミンA ビタミンB12 ビタミンB群 ビタミンC ビタミンP ビタミンP(フラボノイド) ビール ピンク ピーマン フキ フルーツ フルーツサンド ブドウ ブルーチーズ ブルーベリー ヘイワード ベータ・カロチン ホットドック ポークカツレツ マカロニ マクワウリ マグロ マロン ミカン ミナミマグロ ミョウガ ミルク メバチ メロン ユズ ヨーグルト ライスカレー リコピン ルチン レタス レンコン ロックフォール ワカメ ワサビ 七面鳥 下仁田ネギ 下関 丸善 乳酸菌 二十世紀なし 二日酔い 伊藤博文 佃煮 南国 厄除け 味噌 和食 善玉菌 圃場 土用 土用の丑の日 夏野菜 夕張メロン 大和 大根 大豆 奈良 学校給食 学校給食レシピ 寒天 寿司 小魚煮 山菜 山葵 干しシイタケ 徳川家康 慶事 揚げ物 握り寿司 新潟県 新茶 早矢仕有的 昆布 春野菜 松前船 果物 枝豆 柑橘 栄養教諭 根菜 桃太郎 梅仕事 横須賀 歴史 水餃子 沢庵 河豚 洋食レストラン 海、 海のミルク 海藻 淡水魚 滋養強壮 漬物 瀬田シジミ 炙りトロ 焼き餃子 煉瓦亭 熨斗紙 牛乳 牡蠣 物忘れ 番茶 疲労回復 発酵 白ネギ 石垣いちご 紀伊国屋文左衛門 納豆 紫エンドウ 緑色 緑茶 緑黄色野菜 羅臼昆布 老化防止 肉じゃが 肝臓の薬 腸内環境 茄子 茗荷谷 茶がゆ 茶色 菜の花 萌黄色 葉ネギ 葉野菜 血中コレステロール 西洋のカツオ節 西洋料理 豆腐 豊臣秀吉 豚肉 赤飯 郷土食 酢飯 醤油 野菜 鉄分 鉄火丼 隠元和尚 青魚 韓国 風邪の予防 食文化 食材 食物繊維 香味野菜 高級食材 魚、サケ、 魚介 鶏肉 黄色