食のこばなし

ピーマン

NO.100

健康野菜の代表選手

子どもの嫌いな野菜でいつも上位にランクされているのがピーマンですが、カロチンやビタミンCがたっぷり含まれる健康野菜の代表種です。学校給食でも栄養教諭の先生が工夫をして美味しいレシピを考え、子どもたちに残さず食べるように一生懸命です。

ピーマンは南米が原産地であり、ヨーロッパに香辛料の一種として伝わりました。日本には16世紀にポルトガル人によって入ってきたと言われています。一説によると仙台藩の志倉常長が、1620年にローマから帰国するときに持ち帰ったとも言われています。

そのころは「南蛮」とも呼ばれていたようです。もともとピーマンは唐辛子の一種ですから、辛い野菜でした。しかし今食べているピーマンは、アメリカで品種改良が進んだ辛味を抜いた甘味種のピーマンであり、1950年ごろから日本で急速に普及し始めました。筆者が子どものころは、ピーマンなんてありませんでした。

 

青いピーマンは未熟のもの

市販されているピーマンは、つやつやした青色が主流ですが、これはまだ未熟なピーマンであり、熟すと赤くなって栄養価もあがってきます。なぜ日本では青ピーマンが好まれるのか分かりませんが、諸外国では赤も青と同じくらい店頭に並んでいます。

赤ピーマンと青ピーマンの栄養成分の比較をしたデータを見ると、赤は青に比べてビタミンCが約1.8倍、ビタミンEが約5.6倍、カロチノイドは約15倍となっています。栄養価では圧倒的に赤の勝ちです。ビタミンCはレモンより多く含まれており、おそらく野菜ではトップクラスではないでしょうか。

赤ピーマンには赤い色素のカプサイチンが含まれています。この栄養素は抗酸化作用があることで知られており、悪玉コレステロールを酸化させることを防ぎ、善玉コレステロールに取り込まれて、活性酸素から守るといわれています。動脈硬化の予防にもなるのです。

 

熱に強い野菜

このビタミンCは熱に弱いのですが、ピーマンには熱と酸素から守ってくれるビタミンPが多く含まれているため、熱に強いのです。日大生物資源科学部の研究室の成果によると赤、青、黄色のピーマンとブロッコリー、キャベツ、ホウレンソウなどを1分30秒加熱した後、ビタミンCの量を測定しました。すると、赤ピーマンのビタミンCはほとんど減っていなかったそうです。

青ピーマン、キャベツはかなり減少し、ブロッコリー、ホウレンソウもほぼ半分くらい減少してしまいました。赤ピーマンの安定度を支えたビタミンPは、毛細血管を強くする性質も持っているとのことです。

ピーマンの料理で一番の好物は、中華料理で出てくるピーマンと細切り豚肉のみそ炒めです。ひき肉をピーマンに詰めて揚げたものもおいしい料理です。

 

中が空っぽなのに栄養価は満点

筆者が中国雲南省の昆明市に取材で行ったとき、大規模なハウス栽培を見学しましたが、オレンジや黄色のパプリカを大量に栽培していました。「すべて香港や北京、上海方面へ出荷するものです」ということです。もぎたてを食べてみたら、これが甘くておいしい。「サラダに欠かせないものです」と言うことでした。パプリカはピーマンの仲間であり、ハンガリー語ではピーマンをパプリカと呼ぶそうです。

中身がない人をピーマンと呼んだりしていますが、これはピーマンの中の空洞が大きいから「中身からっぽ」の意味で使っているものです。この空洞は、ピーマンの食べられる部分を大きくし、ピーマンの肉を厚くする品種改良をしているうちにますます空洞部分が大きくなってしまったからです。中身空っぽのピーマンほどヘルシー野菜の王様となっているのです。

文:ばばれんせい 絵:すなみゆか

 

  都道府県 収穫量
1 茨城県 33,300t 22.2
2 宮崎県 28,100t 18.7
3 高知県 13,800t 9.2
4 鹿児島県 13,300t 8.9
5 岩手県 8,480t 5.7
6 大分県 6,640t 4.4
7 北海道 5,540t 3.7
8 青森県 3,670t 2.4
9 熊本県 3,330t 2.2
10 福島県 2,950t 2
11 沖縄県 2,830t 1.9
12 宮城県 2,620t 1.7
13 長野県 2,380t 1.6
14 兵庫県 2,140t 1.4
15 京都府 2,070t 1.4
16 千葉県 2,020t 1.3
17 愛媛県 1,600t 1.1
18 広島県 1,240t 0.8
19 静岡県 1,040t 0.7
20 山形県 1,010t 0.7
21 愛知県 997t 0.7
22 和歌山県 993t 0.7
23 島根県 919t 0.6
24 岡山県 877t 0.6
25 鳥取県 796t 0.5
26 新潟県 649t 0.4
27 岐阜県 544t 0.4
28 山梨県 528t 0.4
29 佐賀県 525t 0.4
30 三重県 513t 0.3
31 山口県 489t 0.3
32 秋田県 476t 0.3
33 徳島県 418t 0.3
34 福岡県 416t 0.3
35 奈良県 381t 0.3
36 神奈川県 374t 0.2
37 群馬県 367t 0.2
38 長崎県 312t 0.2
39 栃木県 284t 0.2
40 滋賀県 263t 0.2
41 東京都 214t 0.1
42 埼玉県 208t 0.1
43 福井県 142t 0.1
44 香川県 107t 0.1
45 石川県 103t 0.1
出典:地域の入れ物

カテゴリ

βカロチン あげもの あずき あんころ餅 うなぎ うめ おかゆ おでん お正月 お祝い お茶 きのこ くだもの こんぶ ごぼう さといも すし そうめん そば たけのこ たまご たら 魚 たんぱく質 だいこん ちくわ ちらし寿司 つくだに つみれ とうきび とうふ とうもろこし なれずし はんぺん ふぐ ぶり めでたい もち もも やぶきた茶 りんご アイスクリーム アサリ アジ アジのタタキ アスコルピナーゼ アスパラ アスパラガス アボカド アミノ酸 アユ アリシン アルコール アワビ アントシアニン イカ、ヤリイカ、スルメイカ、軟体動物 イタリア イチゴ イナゴ イワシ インゲン エダマメ エビ エリー・メチニコフ オクラ オリーブ オリーブオイル オレンジ カキ カツオ カツサンド カツレツ カボス カボチャ カレー カレーライス カレー粉 ガーリック キウイ キムチ キムチ鍋 キャベツ クリ グリーン グリーンピース コロッケ コンニャク ゴルゴンゾーラ ゴールド サクランボ サツマイモ サラダ サンドイッチ サンマ シイタケ シジミ シソ シメジ ジャガイモ ジュンサイ スイカ スダチ スティルトン スナップエンドウ スパイス スパゲッティ セリ科 セロリ ソラマメ ソーセージ タイ タウリン タクワン タコ タマネギ ターキー ダイズ チーズ ツタンカーメン デザート トコロテン トマト トンカツ ドジョウ ナシ ナス ニシン ニンジン ニンニク ネギ ハチの子 ハマグリ ハヤシライス バナナ パスタ ビタミン ビタミンA ビタミンB12 ビタミンB群 ビタミンC ビタミンP ビタミンP(フラボノイド) ビール ピンク ピーマン フキ フルーツ フルーツサンド ブドウ ブルーチーズ ブルーベリー ヘイワード ベータ・カロチン ホットドック ポークカツレツ マカロニ マクワウリ マロン ミカン ミョウガ ミルク メロン ユズ ヨーグルト ライスカレー リコピン ルチン レタス レンコン ロックフォール ワカメ ワサビ 七面鳥 下仁田ネギ 下関 丸善 乳酸菌 二十世紀なし 二日酔い 伊藤博文 佃煮 南国 厄除け 味噌 和食 善玉菌 圃場 土用 土用の丑の日 夏野菜 夕張メロン 大和 大根 大豆 奈良 寒天 寿司 小魚煮 山菜 山葵 干しシイタケ 徳川家康 慶事 揚げ物 握り寿司 新茶 早矢仕有的 昆布 春野菜 松前船 果物 枝豆 柑橘 根菜 桃太郎 梅仕事 横須賀 歴史 水餃子 沢庵 河豚 洋食レストラン 海、 海のミルク 海藻 淡水魚 滋養強壮 漬物 瀬田シジミ 焼き餃子 煉瓦亭 熨斗紙 牛乳 牡蠣 物忘れ 番茶 疲労回復 発酵 白ネギ 石垣いちご 紀伊国屋文左衛門 納豆 紫エンドウ 緑色 緑茶 緑黄色野菜 羅臼昆布 老化防止 肉じゃが 肝臓の薬 腸内環境 茄子 茗荷谷 茶がゆ 茶色 菜の花 萌黄色 葉ネギ 葉野菜 血中コレステロール 西洋のカツオ節 西洋料理 豆腐 豊臣秀吉 豚肉 赤飯 郷土食 酢飯 醤油 野菜 隠元和尚 青魚 韓国 風邪の予防 食文化 食材 食物繊維 香味野菜 高級食材 魚、サケ、 魚介 鶏肉 黄色