ニンジン
NO.105
苦手の人が多いが栄養満点
多くの草食動物はニンジンが大好物のようです。ウマやウサギがニンジンを食べている様子は、見ていても満足感を感じていることが分かります。俗に、「ニンジンをエサにして」という言い方は、ウマにニンジンを見せて、やる気を引き出そうということから生まれたものです。
多くの草食動物が大好物のニンジンですが、人間社会では「ニンジン嫌い」が少なくありません。学校給食でも子どもたちに苦手意識があるので、栄養教諭も献立作成にはいろいろ工夫をしています。
ニンジンの栄養分は、他の野菜に比べてとても豊富です。たとえば、ニンジンの橙色の元素であるベータ・カロチンは、100グラムのニンジンに9100マイクログラムも含まれています。ベータ・カロチンは、必要な量だけ体内でビタミンAに変化しますが、残りはカロチンとして体内で蓄積されています。
活性酸素を抑える役割もあることが分かってきました。これはニンジンの赤い色の色素であるリコピンが作用するものです。「デコピン」ではなくリコピンです(笑)。これはトマトの赤い色の色素にも含まれています。動脈硬化を予防し、貧血、低血圧の改善、疲労回復も期待できます。がんの予防としても効果があることが、多くの動物実験で分かっています。
一日当たりのビタミンAの必要量は、成人男子で2000IU、成人女子で1800IUです。IUとは国際単位(International Unit)のことで、脂溶性ビタミンやホルモン、酵素、薬物などの活性を示す単位です。普通のニンジンを4.5センチも食べると十分な量といわれています。ビタミンAは、粘膜の乾燥を予防して細菌感染に対する抵抗力を高めます。このほかにも食物繊維が豊富であり、カルシウム、鉄分、ビタミンCも多く含まれています。
生はレモンや油と一緒に食べよう
スーパーなどで売っているニンジンは、葉がついていないのが普通です。しかしニンジンの葉にもビタミンやミネラル分が豊富に含まれています。葉付きのニンジンを入手した場合は、炒めたり、かき揚げにすることをお勧めします。京都地方では若いニンジンの葉を「ニンジンナ」と呼び、おひたしや和え物に使っています。
調理する場合の注意点を栄養士に聞いて見ると、意外なことを知りました。生のニンジンにあるアスコルピナーゼという酵素は、ビタミンCを壊してしまうと言うのです。ニンジンを生でサラダなどに入れる場合は、レモン汁や油と和えて酵素の働きをおさえることがコツと聞きました。またニンジンの風味と栄養分は外皮の近くにあるので、皮はむかないで調理する方がいいということです。
西回りと東回りで日本に来た
ニンジンのふるさとは、中央アジアのアフガニスタンと言われています。栽培されるようになってから2000年以上も経つのです。12世紀ごろにヨーロッパに伝えられてから品種改良が進められ、肉質も柔らかくなり香りもある太くて短い西洋系になりました。
日本へ入ってきたのは、東回りと西回りの二つのルートがあります。橙色のニンジンは、ヨーロッパ経由で西回りであり、現在栽培されているニンジンのほとんどがこれです。紅色のニンジンは、別名金時とも京ニンジンとも言われており、東回りの中国から入ってきたアジア型ニンジンです。
江戸時代にはよく栽培されていましたが、面白いことに白、黄色、紫赤色など多様な色がありました。醬油を調味料にした煮物によく使われていました。
文献上では、1630年(寛永7)の安土桃山時代の「多識篇」の中に「セリニンジン」とあるのが初見と言われています。これは、葉はセリに、根は朝鮮ニンジンに似ているという意味のようです。
江戸時代には現在の東京都北区滝野川の滝野川村の特産だったといわれています。明治時代になって欧米から多くの品種が導入されて、全国に普及しました。昭和30年代には西洋系ニンジンが主流を占めるようになり、東洋系は後退していったのです。
ところで朝鮮ニンジンは、野菜のニンジンとはまったく違うウコギ科の多年草で、薬用植物です。野菜のニンジンは、この朝鮮ニンジンに似ているために名前だけ横取りして付けられたと言われています。
文:ばばれんせい 絵:すなみゆか
都道府県
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収穫量
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割合%
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北海道 | 168,200t | 28.9 |
千葉県 | 110,500t | 19 |
徳島県 | 48,500t | 8.3 |
青森県 | 34,400t | 5.9 |
長崎県 | 32,900t | 5.7 |
茨城県 | 30,000t | 5.2 |
熊本県 | 22,700t | 3.9 |
鹿児島県 | 22,200t | 3.8 |
愛知県 | 19,400t | 3.3 |
埼玉県 | 16,100t | 2.8 |
宮崎県 | 13,600t | 2.3 |
岐阜県 | 6,130t | 1.1 |
新潟県 | 5,850t | 1 |
栃木県 | 3,700t | 0.6 |
兵庫県 | 3,410t | 0.6 |
大分県 | 3,230t | 0.6 |
香川県 | 2,960t | 0.5 |
静岡県 | 2,950t | 0.5 |
東京都 | 2,900t | 0.5 |
神奈川県 | 2,740t | 0.5 |
岩手県 | 2,630t | 0.5 |
福岡県 | 2,490t | 0.4 |
和歌山県 | 2,330t | 0.4 |
沖縄県 | 2,060t | 0.4 |
鳥取県 | 1,900t | 0.3 |
福島県 | 1,810t | 0.3 |
群馬県 | 1,620t | 0.3 |
長野県 | 1,370t | 0.2 |
宮城県 | 1,150t | 0.2 |
富山県 | 1,140t | 0.2 |
三重県 | 1,050t | 0.2 |
岡山県 | 1,020t | 0.2 |
福井県 | 955t | 0.2 |
滋賀県 | 846t | 0.1 |
山口県 | 842t | 0.1 |
山形県 | 823t | 0.1 |
京都府 | 810t | 0.1 |
高知県 | 766t | 0.1 |
広島県 | 672t | 0.1 |
島根県 | 659t | 0.1 |
秋田県 | 609t | 0.1 |
愛媛県 | 540t | 0.1 |
奈良県 | 460t | 0.1 |
石川県 | 425t | 0.1 |
佐賀県 | 356t | 0.1 |
山梨県 | 264t | 0 |
大阪府 | 137t | 0 |
出典:地域の入れ物
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