食のこばなし

シジミ

NO.103

シジミの語源

シジミの語源は、貝殻の表面の横の縞がちじんで見えるため、チヂム、シジム、シジミと転訛していったものと言われています。

シジミはシジミ科に属する二枚貝の総称でアサリ、ハマグリの仲間です。二枚貝は1500種ほどありますが、そのうちの50種ほどを私達は食料としています。

滋賀県の琵琶湖に行ったときに食べた瀬田シジミ汁は、今でも忘れられない味になっています。最高級と言われるだけにコクのある風味が、舌にしみいるようにまとわりついて、その味わいを大いに堪能したものです。

瀬田シジミのべっ甲色をした貝殻は、意外と小ぶりでしたが身は大きくて、歯が軽く身を砕くと、中からしみ出てくる汁が口中いっぱいに広がって、独特のしじみ風味を楽しませてくれたのです。

 

代表的な3種のシジミ

シジミは、左右対称の2枚の殻片を持ち、貝殻を開閉する閉殻筋(通称:貝柱)、貝殻を内部から見張りするような外套膜(通称:ヒモ)があるのが特徴です。ペロンとした脚を使って、砂の中に潜ることができます。

緑色がかった殻に黒っぽい斑紋のあるマシジミ、三角の殻頂が特徴の瀬田シジミ、褐色がかったヤマトシジミの3種類が代表的であり、普段食べているのはヤマトシジミが多いようです。ヤマトシジミは小粒で、淡水域や、汽水(半塩)域の砂地に生息しています。

日本人は、昔から貝を良く食べていました。縄文時代の貝塚は、全国に2500ヶ所もあります。出土する貝は、どこでもハマグリ、カキが多いのですが、静岡の貝塚の遺跡からは、多くのシジミが出土するので有名になり、「蜆塚」の地域名が付けられました。

国内のシジミの産地は、北海道から九州まで広く、青森県の小川原湖、宮城県の北上川、茨城県の利根川、島根県の宍道湖などがあり、特に宍道湖のものは種苗として全国に供給されています。

 

シジミの産地はどこだろうか

天保年間(1830~44年)に、山梨県から諏訪湖に移植されたシジミは、その後も延々と続きましたが湖の汚れやカワヒバリガイの大量発生で養殖を中止しました。近年は北朝鮮、中国、ロシアからの輸入シジミが市場に出回ってきています。

永井龍男「石版東京図絵」には明治後期、大正時代に「シジミ売り」が出てきます。人情噺「シジミ売り」にもありますが、江戸時代に深川方面では早朝、シジミ売りの声で明けたころもありました。

シジミは、今では1年中出回っていますが、1月から2月の“寒シジミ”と、8月猛暑の“土用シジミ”が旬と言われています。冬や夏の産卵期後のあと、グリコーゲンが十分に蓄積したところがおいしく、土用シジミはウナギと並んで、夏のスタミナ源です。

 

肝臓の働きを良くする

シジミは環境が変わるとコハク酸などの栄養価を封じ込めて美味しくなります。生のものを冷凍しておき、小出しにして調理するのもよいようです。シジミは味噌汁が代表的ですが、炊き込みご飯、佃煮、時雨煮、醤油漬けにしてもおいしく食べられます。

シジミ汁は、黄疸に効くということが昔から知られています。二日酔いに効くなど、肝臓病や貧血によいと言われてきました。シジミに含まれるタウリン、オチアミンがコレステロールと結合し、肝臓で作られる胆汁の分泌を促し、肝臓の解毒作用を活発化させて、肝臓の働きを良くするということです。

二日酔いは、飲酒により血中に溶け込んだアルコールが、肝臓で分解されてできるアセトアルデヒドの体内の蓄積によって起こります。シジミは胆汁の分泌を促進し、タウリン、オチアミンの作用により、アセトアルデヒドの分解を促進します。

タンパク質、アミノ酸のバランスがよく、カルシウム、ビタミンB12を含んでいます。特にカルシウムはアサリの4倍、牛乳の3倍含有し、骨粗鬆症に有効です。

マグネシウム、鉄などのミネラル類を含み、グリコーゲンなども豊富です。クエン酸とコハク酸は、グリコーゲンの生成を助けます。コハク酸はクエン酸サイクルを構成する酸の一つで、細胞の活性化で自然治癒力を向上させる作用があり、美肌効果も期待できそうです。

文:ばばれんせい 絵:すなみゆか

 

 

順位 都道府県 漁獲量 (%)
1 島根県 4,286t 51.6
2 青森県 2,045t 24.6
3 茨城県 977t 11.8
4 北海道 341t 4.1
5 鳥取県 270t 3.2
6 東京都 141t 1.7
7 三重県 82t 1
8 宮城県 53t 0.6
9 新潟県 45t 0.5
10 滋賀県 38t 0.5
11 福岡県 25t 0.3
12 岐阜県 6t 0.1
13 愛知県 1t 0
13 徳島県 1t 0
13 宮崎県 1t 0
  出典:地域の入れ物

 

 

 

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